LIVING IN PEACE BLOG

お知らせ2009年3月4日 21:42

このブログについて

LIPのブログでは今後、私たちの活動報告やマイクロファイナンスの基本的な説明から、専門的なことまで各種情報をできるだけ多く紹介していく予定です。

結成から1年以上過ぎ、勉強会やマイクロファイナンスフォーラムなどを行ってきましたが、実際私たちLIPがどのような団体なのか、文字だけでは分かりにくい部分も多いと思います。

これからはこのブログを皆さんとの情報交流の場として、LIPの気持ちを少しでも感じ取って頂けるようにメンバーみんなで走っていきますので、是非よろしくお願いします!


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マイクロファイナンス情報2009年3月4日 08:00

音楽ファンドや純米酒ファンドを運営するミュージックセキュリティーズと業務提携


音楽ファンドや純米酒ファンドを運営するミュージックセキュリティーズと
貧困削減に取り組むリビング・イン・ピースが業務提携
~ 日本・丸の内から、発展途上国におけるマイクロファイナンスの支援を目指す ~



貧困削減に取り組む民間団体であるリビング・イン・ピース(代表:慎 泰俊、以下「LIP」)と、音楽ファンドや純米酒ファンドを運営するミュージックセキュリティーズ株式会社(代表取締役:小松真実、本社:東京都千代田 区、以下「MS社」)は、 3月4日(水)、発展途上国のマイクロファイナンス(貧困者向け金融サービス)を日本から支援することを目的に、業務提携契約を締結しました。

LIPは、MS社が提供する未来につながる事業のための応援・投資プラットフォーム「セキュリテ」を活用することで、発展途上国で貧困者の自立のために 金融サービスを提供するマイクロファイナンス機関を支援します。現在、支援先のマイクロファイナンス機関の選定、および支援方法の確立を進めています。

なお、MS社は、新丸の内ビル(東京都千代田区丸の内)の「日本創生ビレッジ(EGG JAPAN)」を活動拠点として、金融都市でもある丸の内から、崩壊した金融資本主義に代わる、新しい日本型の世界中の一人一人に届く金融モデルの構築を目指しています。


■マイクロファイナンスについて
「マイクロファイナンス」とは、マイクロクレジット(小口融資)を始めとする、貯蓄・保険・送金などの貧困者向けの小口での金融サービスの総称です。 2006年には、マイクロファイナンスの貧困削減における効果が認められ、グラミン銀行と創設者のユヌス氏がノーベル平和賞を受賞しました。マイクロクレ ジットの潜在的な需要は2,800億ドルとも言われていますが、現状では170億ドルほどしか供給されておらず、広く民間からの資金供給が期待されていま す。

■LIPについて
LIPは、金融機関で働く若者たちを中心に、貧困の削減を目指して結成させた団体です。それぞれのメンバーが専門性を活かして行動することで、限られた 時間のなかでも積極的な活動を展開しています。2008年11月にはマイクロファイナンスについてのフォーラムを開催し、100名近くの参加者が集まりま した。
<団体概要>
団体名 : リビング・イン・ピース
設立日 : 2007年10月28日 (2009年4月にNPO法人化を予定)
代表者 : 慎 泰俊 (しん てじゅん)
ホームページ : http://www.living-in-peace.org/

■「セキュリテ」について
生活者は、「セキュリテ」を通じて1口1万~5万円などの小額のお金を出資することで、金融資産を増やすためだけではなく、大切に思うもの・共感できる事業者を直接応援することができます。
「セキュリテ」を利用する事業者は、MS社が築いた投資ファンドの手法と個人投資家の会員ネットワークを活用して、事業者自身でファンドをつくることが できます。生活者に対して実績や想いを訴え、共感を得ることができれば、インターネットを通じて一人ひとりの投資家から、小額の投資でリスクを限定させた 形で、事業単位の資金を集めることが可能です。これまでの、土地などの不動産を担保にした借入や、株式の公開に加わる新しい資金調達手段となります。
MS社は、第2種金融商品取引業者の第三者的な立場として、ファンドの組成・販売・運営の専門業務を担うことで、資産を有効に活用したいと願う生活者と、持続的な成長のために資金を必要とする事業者をつないでいきます。
「セキュリテ」 : https://www.securite.jp/


>>詳細をみる(PDF)

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お知らせ2009年3月3日 23:29

サイトオープンしました

LIVING IN PEACEのWebサイトがオープンしました。

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勉強会・セミナー2009年1月28日 15:00

マイクロファイナンス・フォーラム動画&資料公開!

非常に遅ればせながらですが、去年2008年11月28日に世界銀行東京ラーニングセンターで行われたマイクロファイナンス・フォーラムの動画と資料です。

動画はPeeVee.TVを利用。資料は以前こちらでも公開しましたが、今回はSlideShareというサイトを使ってスライドショー形式にしてみました。

 

最初にLIPの紹介文はこちらへ。

 

①イントロダクション-マイクロファイナンスの商業化

福井 龍 氏(世界銀行東京開発ラーニングセンターマネージャー)

動画はこちらへ

 

②&③基調講演-貧困層がマイクロファイナンスに求めている事 (その1&2)

Stuart Rutherford 氏(マイクロファイナンス機関SafeSave 共同代表)

動画はこちらへ(その1) 動画はこちらへ(その2) 資料はこちらへ まとめ資料

 

④世界におけるマイクロファイナンスの適用可能性-グラミンモデルの複製事業からの学びについて

Abul Kalam氏 (グラミン銀行 シニアプリンシパルオフィサー)

動画はこちらへ 資料はこちらへ

 

⑤格付けの方法論、マイクロファイナンスビジネスにおける用途、業界の展望について

Otto Wormgoor 氏(Planet Rating オペレーション マネージャー)

動画はこちらへ 資料はこちらへ

 

⑥スタンダード・チャータードがマイクロファイナンスに見出しているビジネス機会、投資パフォーマンスについて

Prashant Thakker 氏(Standard Chartered銀行 マイクロファイナンス グローバルビジネスヘッド)

動画はこちらへ 資料はこちらへ

 

⑦経済理論と最新データから見たマイクロファイナンスについて

慎 泰俊 氏 (Living in Peace代表)

動画はこちらへ 資料はこちらへ

 

もう終わって2ヶ月も経つんですね。また皆さんの前に立つことが近々あると思いますが、さらに大きくなったLIPの姿を見せられるように着実に歩んでいきたいと思います。

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勉強会・セミナー2009年1月10日 14:58

新年のご挨拶

謹賀新年

 

明けましておめでとうございます。昨年は、多大なるご支援を賜り誠にありがとうございました。本年も、何卒宜しくお願い申し上げます。

私たちは今後も貧困の削減を主眼としつつ、人間の安全保障全般に対する関心を忘れずに、活動を続けていきたいと考えております。こうした活動の一貫として、昨年は、マイクロファイナンスフォーラム「マイクロファイナンスの新地平」を開催することができました。本年も、引き続き、日本におけるマイクロファイナンスの定着、および国内外での貧困の解決に貢献してまいります。

LIPの一人一人のメンバーができることは限られております。しかしながら、多くの方々のご協力を得たことで、できることが増え、フォーラムを成功させることができました。私たちも、皆様の力をお借りしながらできることを行い、現状を変えていきたいと考えております。

最後になりましたが、本年の皆様のご健康とご多幸とをお祈り申し上げます。

 

2009年1月10日

LIP代表 慎泰俊

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勉強会・セミナー2008年12月24日 14:53

マイクロファイナンスフォーラムの資料を公開しました!

何人かの方々からリクエストをいただきましたフォーラム当日の資料です。(LIP20081128_full.zip 12/15修正)

グラミン銀行の報告資料 2.Applicability of MF to the world.pdfが抜けておりました。合わせて、ダウンロード先のアドレスが変更になりました。申し訳ございません。

下記新URLより、ダウンロードしてください。

https://www.webfile.jp/dl.php?i=468538&s=8a9d02180bd14747a0a0

(2009/01/27修正済)

 

全部で7つのファイルが保存されています。

0.Living_in_Peaceについて2008-1120.pdf
1-1.Why do the poor need financial services.pdf
1-2.Outline of Tokyo talk_ Stuart.pdf
2.Applicability of MF to the world.pdf
3.Planet Rating Presentation.pdf
4.SCB MFand role of investors Tokyo1108.pdf
5.マイクロファイナンスの新地平-FINAL.pdf


アドバンスな内容が英語で記述されているということもあり、以下、要旨を日本語でまとめておきます。

 

0.Living_in_Peaceについて2008-1120.pdf

我々Living In Peaceのプロフィールです。

 

1-1.Why do the poor need financial services.pdf

1-2.Outline of Tokyo talk_ Stuart.pdf

基調講演者Stuart氏のスライドとアウトラインです。

・貧困層は他のどの層よりも金融サービスを必要としている
・世界各国の貧困層が書いた金融日誌を読むと、彼らが借入れや貯蓄などのあらゆる手段を通じて、年収より多くの金額で切り盛りしていることがわかる
・インフォーマル金融は、貧困層が必要としているまとまったお金を、いつ貯め、いつ使うかによって(先に使う(ローン)、後に使う(貯金)、途中で使う(ROS­CA))三分類できる。

 


2.Applicability of MF to the world.pdf

Grameen BankのKalam氏の報告資料です。

・成功事例として、グラミン銀行のマイクロファイナンスを紹介
・その応用事例として、ミャンマーとコソボの事例紹介
・グラミン銀行の方法は世界各地で応用できるものであり、商業的にも持続可能である

 


3.Planet Rating Presentation.pdf

Planet RatingのOtto氏の報告資料です。

・世界的なマイクロファイナンス格付け機関としてのPlanet Ratingの会社概要
・格付け機関としての評価及び実績

・株主の紹介

・マイクロファイナンスのリスク評価
・格付け方法の概要、マイクロファイナンスの格付けと信用格付けの相違点及び共通点

・社会的実績格付け
・MFIを社会的貢献の観点から格付けする方法について紹介

 

 

4.SCB MFand role of investors Tokyo1108.pdf

Standard Chartered BankのThakker氏の報告資料です。

・Standard Chartered Bankの会社概要
・マイクロファイナンスの取り組み
・2006年9月21日におけるMervyn Davies氏(Chief Exective)のコミットメント

「この5年の間に5億米ドルをマイクロファイナンス分野に投資し、金融市場から締め出された4百万人を幸せにする。」

・マイクロファイナンスの実務
・ビジネスモデル、金融商品、ミッション等について

・社会的責任投資としてマイクロファイナンスに投資しよう!
・マーケットのアウトルック、アジアからの投資の必要性、投資の方法について等について

 

 

5.マイクロファイナンスの新地平-FINAL.pdf

我々LIPの報告資料です。

・投資対象としてのマイクロファイナンス単体としてパフォーマンスが高く、伝統資産との相関も低いマイクロファイナンスは、魅力的な投資対象となりうる。
・最新データから見たマイクロファイナンス2001年以降、市場は年率45%で拡大しているものの、日本からの資金供給は非常に少ない。
・経済理論から見たマイクロファイナンスマイクロファイナンスのスキームは、情報の非対称性から生じる諸問題を低減することに成功している。

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勉強会・セミナー2008年11月26日 14:48

大竹文雄教授のブログで本フォーラムが紹介されました

おかげさまでマイクロファイナンス・フォーラム(11/28)のご出席者が90名を超えました!

2006年に石川賞を受賞された大竹文雄教授のブログ(11/26付)で、我々のフォーラムが紹介されました。

大竹教授のブログはこちら

 

今回のフォーラムでは、残念ながら日本の学術関係者の講師をお呼びすることができませんでした。これをきっかけに、日本の学術の分野でもマイクロファイナンスの研究が進むことを期待しております。

大竹先生の著書はたくさんありますが、『格差と希望』『経済学的思考のセンス』は、我々の勉強会でも取り上げたことがあります。

日本の格差・不平等や貧困を経済学的視点から学ぶことで、世界の貧困を考える良いきっかけになっています。

大竹文雄教授には、ご多用のところご好意で宣伝していただいたことをお礼申し上げます。

 

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勉強会・セミナー2008年11月26日 14:42

マイクロファイナンス・フォーラム(11/28)直前対策②!!! -マイクロファイナンス機関の資金調達

さて、28日のフォーラムでは、スタンダードチャータードのプレゼンもありますが、昨今の欧米におけるマイクロファイナンス投資を理解するためには、MFIsの資金調達の仕組みを理解することが不可欠です。前回、商業化するMFIsの業態転換の流れをまとめましたが、段階の異なるMFIsでは、資金ニーズや資金調達の選択肢が異なるのです。今回は、商業化の各段階におけるMFIsの資金調達方法をまとめてみようと思います。

 

通常、初期MFIs(NGO-MFIs)は、マイクロクレジットの原資となる資本は補助金等により既に確保されています。(予算がついた上で、プログラムが始められる場合が多いでしょう。)このため、初期のオペレーションにおいては、MFIsは主にバランスシートのアセット側のマネジメント、つまり、ポートフォリオの拡大、経営情報システム(Management Information System: MIS)の導入、キャッシュ・マネジメント等に経営努力が注がれます。やがて、これらの努力によりビジネスが軌道に乗ると、ポートフォリオを拡大するために、バランスシートの右側の構築、すなわち、新たな資金調達方法の開拓が始まります。

 

 

表にあるように、受贈資本のみで始めた初期NGOに、新たな資金ニーズがある場合、まずは援助資金を頼みとし、ドナーの新規開拓や既存ドナーからの追加的な補助金により調達をします。次に、収支が均衡し多少の剰余金を生み出せる自立的NGOになると、多少の信用ができるため、今度は同じ援助資金でも、補助金ではなく、ドナーや援助機関から市場金利より低い金利での借入れ(Concessional loan)ができるようになります。金利は払うものの、選択の幅は広がり、自由度が高まります。

 

しかし、一般的に援助資金というものは、限定的で、中・長期的な資金計画を立てる上では、非常に不安定な財源と言えます。なぜなら、MFIs自身のパフォーマンスとは無関係に、政治的、経済的状況等により、いつ打ち切られるのか、次年度あてにできるのかすら確かではないからです。また、マイクロクレジットが高金利なのはよく知られていますが、追加融資の条件として、それがコストをカバーするのに必要な金利であるかどうかに関わらず、一方的に金利の引き下げを要求されることもあると言います。

 

さらにビジネスが拡大し、資金ニーズが高まると、今度は市場金利での商業借入(Commercial borrowing)により資金調達を図ります。しかし、この段階で、NGO-MFIsは壁にぶち当たります。いくら実績のある成熟NGOとは言え、貸し手は、特に地場銀行は、なかなかNGOには融資をしないからです。仮にしたとしても、高リスクとみなされるため金利は高く、融資限度額も低い(エクイティに対して、同程度か最大でも2倍程度)ので、急成長するポートフォリオの成長速度を維持するのは困難になります。事実、多くのMFIsにとって最大の成長制約要因は資金調達であることが指摘されています。

 

例えば、MFのパフォーマンス評価基準の一つであるAccion CAMELでは、MFIsの負債比率は6倍以下であること、つまり自己資本比率が17%以上であることが推奨されています。 しかし、このようなMFIs対象の基準はあっても、前提となっているのは、業態転換を遂げたMFI銀行だけであり、NGO-MFIsなどは、そもそも想定の範囲外ということになります。つまり、MFIssがレバレッジを効かせ、資本市場からより多くの資金を調達するためには、NGOからMFI銀行への転換を遂げることが不可欠であり、それが、預金業務の展開と並んで、MFIsが甚大なコストをかけても商業化していく大きな要因となっています。

 

このような事情を背景に、見事業態転換を果たしたtransformed MFIsは、資金調達手段として、預金の動員、株式発行、そして債券発行と、その選択肢を広げていくのです。

 

預金については、しばしば最も低廉な調達手段と思われがちです。しかし、商業借入がオペレーションコスト等の追加的なコストが一切かからず、金利のみを負担すればよい一方で、transformed MFIsが新たに預金サービスを始める際には、貯蓄商品の開発、マーケティング、セールス、新たなMISの導入等のインフラ整備に多大なコストがかかるため、少なくとも短期で見れば、必ずしも最安の調達方法とはいえないわけです。ただし、預金サービスの提供はMFIにとって重要な資金調達源を確保するのと同時に、顧客サービスの向上であり、マイクロクレジットは必要としていないが、安全なお金の保管場所を必要としている多くの貧困層へアウトリーチを広げる可能性がある、という点も忘れてはなりません。

 

ということで、今日はここまでにしたいと思います。フォーラムまで本当にもう少しですが、明日時間が作れれば、MIVs(Microfinance Investment Vehicles)についても、簡単にまとめたいと思います。

 

 

《参照文献》

・Burand, Debora. 2007. “Chapter6.: The funding structure”, Transforming Microfinance Institutions, p163.
・CGAP/MIXが2004年に行った調査。http://microfinancegateway.org/files/14588_CGAP_MIX_MFI_Demand_for_Funding_Survey_Report.doc
・Saltzman,Sonia. and Darcy Salinger. 1998. “The ACCION CAMEL - Technical Note”, Accion International, USAID - Microenterprise Best Practices (MBP) Project. p137.

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マイクロファイナンスフォーラム2008年11月25日 14:37

マイクロファイナンス・フォーラム(11/28)直前対策①!!! -マイクロファイナンス機関の商業化

皆さん、こんにちは。もうマイクロファイナンス・フォーラム(11/28)のお申込はされましたか?講演者の方からのプレゼン資料が揃いつつありますが、かなり面白いです!まだお申込をされていない方は、そろそろ定員に達しそうな勢いですので、お早めにお申込ください。

 

さて、プレゼン資料を確認したところ、皆さんのプレゼンの中でカバーされていないけれども、前提として知っておいた方がいい点にいくつか気付きました。もうあまり時間はありませんが、これからフォーラム当日までの間に、できる範囲でまとめてみようと思います。

 

まずは、マイクロファイナンス機関(MFIs)の商業化についてです。MFIsの商業化とは、言ってみれば、MFIsの業態転換の繰り返しに他なりません。

 

MFIsの類型

MFIsは一般的に、創設期にはNGOの形をとり(NGO-MFIs)、やがてビジネスを拡大させ、よりフォーマルな金融仲介業者としての地位を確立していく中で許認可を取り、公的機関の監督下に入り(regulated MFIs)、さらには「MFI銀行」へと業態転換していきます(transformed MFIs、或いはMFI Banks)。また、国により異なりますが、預金業務をするためには特別なライセンスが必要な場合が多く、そのため、預金業務を行えるMFIsのことを特に区別して呼ぶ場合もあります(deposit-taking MFIs) 。

 

業態転換の過程で満たさなければならない要件は、国際金融システムにおけるグローバル・スタンダードに則った適切な財務管理や財務報告書の作成、外部監査、内部統制、リスク管理、透明性の確保、情報開示など多岐にわたり、MFIsにとってはかなり厳しいものです。しかし、だからこそ、見事、業態転換を遂げ、組織の足腰を強化したMFIsは、先進国の投資家からも認められ、資本市場での資金調達が可能になるのです。

 

ダウンスケーリング

世界人口の8割には金融サービスへのアクセスがない(Unbanked)と言われるほど、これまでは、伝統的な銀行や金融機関は、途上国・先進国を問わず、低所得層への与信には極めて慎重でした。しかし、MFIsの中からいくつもの成功モデルが出現し、MFの社会的な効率性と収益性が認められるにつれ、少なからぬ商業銀行・金融機関が、MFIへの技術支援、リファイナンス、エクイティ投資等の間接的な方法や、ダウンスケーリングと言う直接的方法でMF市場に参入するようになっています。

 

ダウンスケーリングの手法としては、既存の銀行・金融機関がその枠組みの中で、MF層向けの金融商品やサービスを開発する方法や新たにマイクロファイナンスに特化した部・局や子会社をつくる方法、マイクロクレジットの引受業務を地場のMFIにアウトソーシングする方法等があります 。いずれにしても、商業銀行がMFに参入した場合、新たにMF市場の知識、クレジット手法、適切な組織文化などが求められる一方で、既存のインフラやネットーワークが使える点や資金調達の容易さ、知名度などで優位性が認められるようです。

 

このようなプライベート・セクターの参入は、これまではもっぱら貧困削減という社会的使命によって支えられていたマイクロファイナンス機関の商業化を加速させました。商業化とは、利潤を追求していくことですが、その中で、貧困対策という組織の元々の理念とどのように両立させるのかが最も難しい課題の一つとなっています。完全な商業主義の道を選択する例はほとんどなく、多くの場合には、貧困層へのアプローチと利潤追求の両方を目指す「ダブルボトムライン」を掲げるようです。

 

次回は、MFIsが業務形態に応じて、いかに資金調達を行うのかをまとめようと思います。

 

 

《参照文献》

・ADB年次報告2004.「特別レポート 変貌しつつあるマイクロファイナンス業界:貧困層のための金融システムの構築」
・CGAP. 2006. “Good Practice Guidelines for Founders of Microfinance”.p35.
・CGAP. 2004. “Financial Institutions with a ‘Double Bottom Line’: Implications for the Future of Microfinance.” Occasional Paper No.8, CGAP, Washington, DC.
・PlanetFinance. “Downscaling in Microfinance: A market opportunity for banks”. http://www.planetfinance.org/documents/EN/note-downscaling-eng.pdf
・Accion. “Commercial Banks in Microfinancing: Downscaling to reach the majority”.(presentation).

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勉強会・セミナー2008年11月13日 14:32

マイクロファイナンスフォーラムのお知らせ

たくさんの方のご協力のおかげで、11月28日(金)15時から、我々LIPが主催するマイクロファイナンス・フォーラム『マイクロファイナンスの新地平』を開催するに至りました。

皆様のご出席をお待ちしております。

 

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【フォーラム案内】  マイクロファイナンスの新地平

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開発と金融の分野を両立させる革新的な小規模金融手法として

世界中で注目を集めているマイクロファイナンス。

その商業化傾向が世界的な潮流になりつつあります。

しかし、日本の金融実務では、

・言語的な問題による情報伝達の不十分さやそのタイムラグの問題

・開発は利益提供の機会にならないので金融実務とは両立しないという誤解

によって、未だこの分野への参入に対して消極的です。

このような現状を打開し、日本におけるマイクロファイナンス実務の進展

を目的に、このフォーラムを開催することにしました。

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【テーマ】

本フォーラムではマイクロファイナンスへの理解を深め、

その商業化がどのように成り立っているのか、

投資対象としてのマイクロファイナンスの魅力はどのような点にあり、

今現在、直面している問題は何なのか、

といった点について、最先端の理論と実務における知見を基に検証します。

その上で、日本の金融実務における可能性を模索しようと思います。

(同時通訳付)

扱うトピックは以下の通り。

・「マイクロファイナンスの商業化の全体像」

・「マイクロファイナンスにおける需給ギャップ」

・「マイクロファイナンス金融機関への格付け」

・「マイクロファイナンスというアセットクラスの魅力」

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【講演者】

■基調講演者

・ スチュアート・ラザフォード氏 (マイクロファイナンス機関SafeSave共同代表)

http://www.thepoorandtheirmoney.com/Background.htm

■スピーカー

・ 福井 龍氏(世界銀行東京開発ラーニングセンターマネージャー)

・ Abul Kalam氏(グラミン銀行)

・ Otto Wormgoor氏(Planet Rating)

・ Prashant Thakker氏(Standard Chartered銀行 Global Business head- Microfinance)

・ LIP(本フォーラム主催団体)

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【日時】2008年11月28日(金)

受付開始:14:30、講演会:15:00~19:00、懇親会:19:30~21:00

【会場】「世界銀行東京開発ラーニングセンター」

http://www.jointokyo.org/ja/about/location/

住所:〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階

電話:03-3597-1333

最寄り駅:都営三田線 内幸町駅(A6・A7番出口) 徒歩1分

千代田線 霞ヶ関駅(C4番出口) 徒歩3分

【定員】100名

【参加費】一般:3,000円、学生:1,000円 (懇親会参加の方は+3,000円)

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【主催】 LIP (Living in Peace)

【協賛】 モルガン・スタンレー

東京フィナンシャル・アドバイザーズ株式会社

株式会社 金融エンジニアリング・グループ (FEG)

【後援】 JICA(独立行政法人 国際協力機構)

【協力】 世界銀行東京開発ラーニングセンター

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【主催者紹介】

本フォーラムの主催団体であるLIP(Living in Peace)とは、

開発に関心のある金融機関関係者を中心に2007年10月に設立された団体です。

 

その他にも公務員、国際機関関係者、学生などがメンバーになっており、

4月にはNPO法人設立予定です。

HP:http://www.living-in-peace.org/

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【ご留意事項】
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取扱手数料及びリスクはファンドによって異なりますので、詳細は各ファンドの匿名組合契約説明書をご確認ください。
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