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被災地からのレポート2012年10月30日 12:47

震災から21隻目の船が、昨日無事着水!

時(秋)は、仲秋から晩秋へと刻まれ様としています。この時、今だからこそ心身共に自らの心(しん)を感じる事ができる時間(季節)です。これまでも、これからも、共にある生命の営み、あらゆる命の物語が受継がれてゆくことに感謝致します。

さて、10月も残りわずかですが先月分も含め近況を報告させて頂きます。

9月初めは、19GTの底引き漁船のお客様に休漁期(7~8月 2カ月間)解禁(9/1より)早々に漁場でのトラブルがあり、9/3~9/8まで緊急の出張工事を行いました。今回の事故は夜間、兄弟船(兄船)に電気系統のトラブルにより、航行不能になり、弟船が漁場から港に向けて曳航しているときに発生しました。牽引する弟船の舫い綱(もやいづな)を掛けておく、両舷にあるボラード(係留柱)の左舷側が破損してしまいました。

幸いに乗組員の方にケガはありませんでしたが、人を直撃したら即死だったと話してくれました。

当時は、かなり波のうねりもあるなかでの曳航だったので相当(何十㌧)の力が加わり破損したと思われます。その瞬間の音がものすごい音がしたそうで、操舵室に居て、エンジン音があるなかでの衝撃音だったので船体が壊れたかと思い、すぐさま操舵室を飛び出し、現状を把握し、破損した左舷側のボラードを見た時に、右舷側のボラードもおそらくまともな状態ではないと思ったそうです。しかし、点検して見れば右舷側のボラードは、びくともしていなかったそうです。船主様もかなり驚いておりました。実は、右舷側のボラードは、私達が休漁期間中に出張工事でに交換修理をさせて頂いておりました。破損状態を見た時に、今回、私達が行った修理は、ボラードの心材は変わったにせよ、同じような構造で接着をしていたら、おそらくもたなかったろうと・・・。改めて、与えられた現状の中で最善を尽くすことの大切さを確認させて頂きました。

私達は、何事も現状を受け入れた時(とき)に、新たなる可能性が拓ける事を伝えてくれた先人達に心から感謝すると共に、これまでも、これからも船大工としてのよろこびの選択をして行きます。

9月は、慌ただしい幕開けでしたが、先月の25日に上架した、第十二 金比羅丸(震災から12隻目の船 カキ養殖船)を9月8日に無事着水させました。

その後は、20日に場内にクレーンで陸揚げしていた和船 弥生丸(船外機船)(震災から13、14隻目の船 海苔養殖船)2隻を着水させ、21日の8時半位に第五 進栄丸(震災から15隻目の船 カキ養殖船)を着水、26日の10時半位に第八 宝栄丸(震災から16隻目の船 遊漁船)を着水しました

佐藤造船所


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そして、同じ日の11時過ぎに第十二 福徳丸(震災から17隻目の船 カキ養殖船)を上架いたしました。

佐藤造船所

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10月は、月初めから台風の影響もあり、仕事がはかどりませんでしたが、9日の10時過ぎ位に第十二 福徳丸(震災から17隻目の船 カキ養殖船)を無事着水させ、その日の10時半過ぎ頃に第十一 新勝丸(震災から18隻目の船 定置網船)を上架いたしました。この船は、昨年の震災前の10日に下架し、翌日の震災では、港内で津波を受けましたが奇跡的に船体等にも致命的な損傷を受けずに済みました。

佐藤造船所

船主の新沼則雄さんは高台にある自宅か港に押し寄せる津波を見ながら、船は、もうだめだと思ったそうです。夜が明けてみたら港内で辛うじて浮いた状態で見つけたそうです。・・・言葉にならないです。

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その第十一 新勝丸は、ペンドックを終え12日の11時位に着水し、19日には、15日に上架した第三 観音丸(震災から19隻目の船 カキ養殖船)を8時半過ぎ位に着水。

佐藤造船所


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26日には、19日に上架した第七 勝福丸(震災から20隻目の船 カキ養殖船)を12時過ぎに着水しました。

佐藤造船所


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その日の13時過ぎ位に第一 隼 丸(震災から21隻目の船 カキ養殖船)を上架いたしました。
この船は、当所が平成3年5月に進水した新造船でもあります。(この船以降は、新造船は手掛けてはおりません。)

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早いもので20年の歳月が刻まれてきたんですね。実は、船主の石森祐治さんは、私達(佐藤兄弟)の高校のラグビー部の先輩でもあります。私(文彦)の4年上で、伝説の先輩になっています。(当時、ライバル校で同年代で日本代表に選ばれ、大学4年で主将で大学日本一になった方とも交友があり、凄まじいタックルで一目置かれる存在でした。)


佐藤造船所

震災後、電話でお互いの無事を確認しておりましたが、2年振りに、こうして顔を見ながら話が出来、船をメンテできることに、心から感謝しております。

文彦:「祐治さん。腹にラグビーボールかくしてないですか?」・・・
本人:「最近、甘いものをとり過ぎだ。」・・・ご想像にお任せいたします。

現在も18隻の上架予約を頂いております。お客様には多々ご不便をお掛け致しておりますが、この地区の防潮堤の線引きも、概ね確定し、一部工事が始まっております。

当所の設備復旧工事計画も、マスタープランが出来あがり、行政、金融機関、工事関連業者等の方々のご協力をいただきながら今後、より詳細な検討を重ねながら、早急な復旧復興を目指します。

今後も最善を尽くしていきます。

ありがとうございます。

(株)佐藤造船所 佐藤文彦


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