世嬉の一酒造 蔵とビールファンド ファンドニュース

被災地からのレポート2013年3月10日 12:33

テレビ番組を見て・・・蔵を残すこと

今日は曇り空・・・・
世嬉の一の裏手のいわい川も白鳥が飛んでいき、春の前のちょっと静かな雰囲気です。
これからの季節、桜が咲き、次は菜の花で一杯になりますよ。
 

世嬉の一では、やっと福寿草が芽をだしました。

世嬉の一の2人の座敷わらしちゃんは、おめかしちゅうです。
お姉ちゃん座敷わらしが妹座敷わらしの髪の毛をといています。

いつの間にか、おしゃれ好きになっていますが・・・いまだにどんぶく姿の子ども達です。

今日も朝早くから調理場では餅米を蒸かした蒸気が上がっています。
ビール工場も仕込みを始めています。
酒造りは8日に造留めがありました。
これから後の仕事をして、杜氏さんたちは4月には帰っていきます。

さて、そんな中、昨日家内が取ってくれたビデオを見ました。
当社の会長の30年以上前の葛藤と本当に似ていた中で、
当社の会長とはまったく異なった結論をだしているところに興味を持ちました。

それは、内陸の同業者(酒蔵)が被災して引っ越すという話です。
その蔵の5代目になる経営者は私とそんなに年が離れていません。
社長杜氏さんで技術者でもあります。

今回の震災で140年以上の蔵が震災で全壊判定をうけ、蔵を建て直すことになるのですが、
同じ土地に蔵を建てるか別なところに引っ越すのか悩みながら、
結局、工場は90km離れた別の町に新しい酒工場をつくったとのことです。

その決め手は、「より美味しいお酒を創りたい」から。

引っ越す際には、地域の方にずいぶん止められたようです。
町の看板だから同じ場所に建てて欲しい。
蔵を修復してほしい。などです。
・・・町の人の気持ちもわかりますが、蔵を残すとなると相当の覚悟がいります。

5代目は、美味しい酒をつくりたい、
また、次の代にゆるい地盤の場で多額の借金を残して譲りたくない、
とのことでした。温かい人だなぁと思いました。
本人もいまだに正しい判断か悩んでいたようだったのが印象的です。

結局、5代目は工場を移し、跡地に本社機能を残すときめたそうです。
かなり距離がある中、難しい判断だと思いました。
長い年月で、確かに町の顔になっていたんだろうなぁ・・・

同業者の目で見ていると、私は5代目の考え方が正しいかわからないですが、
支持しています。
蔵を残すというのは膨大は費用がかかるので、
最終的に会社の存続問題につながります。
いい商品をつくるというのはクラフトマンとして至極当然のことだし、
また、そのために努力すると言うことも大切です。
移転もつぎへのステップとしてすばらしい判断だと・・・

多くの方々が残して欲しい言ってこられるかもしれないけど、
会社が倒産したら町の顔どころか、社員の生活も守れません。
きっと町の人との繋がりもたくさんあって難しい判断だったのだろうと思いますが、
震災の後には両方の意見を聞くことができない状況だと容易に判断できました。
(現在は、美味しいお酒がつくり、より発展しているように見えましたので、
他社ながら嬉しかったです。)


当社の会長もお酒の席でよく言っているそうです。
「息子に多額の借金を残して申し訳ないと思っている」とこぼしているようです。
確かに、会長がこの蔵を残すために費やした費用と能力は膨大です。
ここ30年間で地震も3度大きなのがあっため、修復費も含めるともう一度蔵をつくれたでしょう。
数億を費やしております。
私も四代目になっての最初の仕事はお金の工面でした。
 
会長は70過ぎ、私に代を譲っても悩むときがあるんだと思いました。

一方引き継いだ私はそうは思っていないのですが・・・
「蔵を残してくれた、ありがとう。」という気持ちでいっぱいなのです。
当社の会長と専務は、私達に酒だけではなく、
郷土料理レストランやビール事業という新しいエンジンを残してくれたこと。
また、この地域で会長や専務が作ってくれた信用や人とのつながりは大きな資産です。
これを活用しスタッフがいきいき人生を送れるようにするのが私の役割なんだと思います。
また、蔵を残すのは本当にしんどいことですが、
何より、95年前の蔵が残っているということが、
蔵という見える建物だけでなくその中に染込んでいる世嬉の一のDNA「生き方や考え方」
というものを残していただいていると思います。
多分、普通の酒蔵だったら、私は実家に四代目として戻ってこなかったでしょう。
戻って家業を継ぎたい、世嬉の一をさらによりよいものにしたいという思いにさせてくれたのが
会長と専務が蔵を残し今の業態にしてくれた大きな資産と今は思えます。

とはいえ、私も5代目に譲る際にはすこし軽くなるよう、企業経営に注力したいと思います。
テレビ番組を見て、同業者の5代目にはエールをお送りしたいし、
当社の先代には感謝したいと思いました。

今日も世嬉の一のスタッフは先代の思いを誇りに思い、元気に営業中です!

【ご連絡1】
本日、東京巣鴨地蔵通り商店街にて、一関観光と物産展が開催中です!
ちなみに吉田さんが二年間と同じように販売しています。

【ご連絡2】
当社は震災後、3.11は避難訓練の日となっています。
14時半頃来るお客様は、この避難訓練に一緒に参加していただいております。
ご面倒かもしれませんが、今後とも安全に施設を利用していただきたくご理解のほど宜しくお願いします。


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