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勉強会・セミナー2009年6月7日 10:55

5/24マイクロファインスセミナー要約&動画&資料UP

先日5月24日、JICA地球ひろばでLIPとセキュリテ共催のマイクロファイナンスセミナーを開催いたしました。
当日は足下が悪いのにも関わらず、140名以上の方にご来場していただき、本当にありがとうございました。
 
ここでは、簡単ではありますが、セミナーの要約を動画&写真と共に記載いたします。
当日の資料もアップいたしますので、ご参照下さい。
 
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1. 挨拶
 
<第1部>
 
 
2.LIPの活動紹介 (LIP代表 慎)
動画


 
・ビジネスと両立しながら活動する
・LIPの比較優位
・日本におけるマイクロファイナンスの知名度、理解の向上
 
 
3.プロジェクトの概要について(LIP 杉山)
資料(PDF版) 資料(SlideShare版) 動画


 
・MFI:貧困層向けの金融サービスを提供する機関
・MFI投資:2000年度以降、民間資本が参入。MFF(マイクロファイナンスファンド)の設立
・MFIへの資金供給が不足している実態
・LIPマイクロファイナンスファンドプロジェクトについて
 
 
4.メンバーの活動報告
 
①カンボジア報告
資料(PDF版) 資料(SlideShare版) 動画

 
・カンボジアの概要
東南アジアの貧困国の一つであり、一人当たりのGDPが、日本が約4万ドルであるのに対してカンボジアは600ドル弱。
UNDP人間開発指数136位/179位中(2008年)であり、人口の35%の人々が貧困線(一日の生活費約2ドル以下)以下の生活を強いられている。
 
 ・カンボジアMFI概要
比較的良好なマイクロファイナンス市況である。
 90年代よりマイクロファイナンスとしてのビジネスが確立され、2000年代に入ると従来の商業銀行も市場参入を開始した。
MFIは政府による認可制であり、現在17の機関がMFIとして認可されている。 
 
・カンボジア現地ユーザーの紹介 (バイク部品工場経営の男性、ドレスレンタル経営の女性、グループローン顧客など)
 ユーザーにとっては、MFIは非常に身近に根付いた存在である。
資金の用途は主に事業の運転資金であり、従来は銀行から借り入れができなかった層でも”借入→設備投資→売上→返済”というビジネスのサイクルに乗ることができるようになった。 
 
まとめ
・マイクロファイナンスは、貧困層が商業銀行から借り入れができるようになるための橋渡し。最貧困層には援助が必要。
・マイクロファイナンスはユーザーにとっては無くてはならないものであり、この需要に応える社会的意義は非常に大きい。
 
 
②-1 フィリピンのMFI研修の紹介(LIP織部)
資料(PDF版)  資料(SlideShare版) 動画


・CARDのマイクロファイナンスについて
借り手の選定基準は女性への融資、自営業があることなど。
最初の貸付額は約2千円~1万4千円、金利は23週間で15%。
 
・アカウントオフィサー(AO)について
借り手と親密にコミュニケーションを取りながら回収業務等を行う顧客担当。
借り手の前進のプロセスを見ることにやりがいを感じながらも、新規顧客獲得・高い返済率を保つ努力をしている。
 
・センターミーティングの役割
借り手の返済の場でもあり、研修・コミュニケーションの場でもある
 
 ・借り手へのインタビュー
事業の紹介。ローンの使途は、事業をする材料の購入や、事業拡大など。
ローンを借りられるだけでなく、借り手同士のコミュニケーションができるところや、研修などのサービスを好んでいる。
 
 
②-2 ローンの借入の方法 動画

 
・新規ローンの借入れに関する審査と基準
 
(必要書類など一式)
-ローン申込書
-AOによる申請者の面談と家庭訪問
-AOと申請者によるPoverty Score の採点
-保証人(多くの場合夫)からのサイン
-証明写真
 
◇ローン申込書とは
新規ローン申請者は事前にAOにローン申込書を提出する。申込書には、申請者の氏名や住所、最終学歴などの一般的な項目の他に一週間の家計の収入と支出など、
AOがローンの貸付の実行および金額を決定するのに参考とする事項が記載されている。   
申込書を何枚か見せてもらったが、光熱費、食費、事業に関連した支出など細かく記載されていた。
 
◇ Poverty Scoreとは
AOが申請者の家庭を訪問した際に、調度品(ソファー、ダイニングテーブルの有無etc.)娯楽品(テレビ、ラジオ、カラオケの有無etc.)、住居の素材(壁、天井の素材)、子供の数などからなるPoverty Scoreの採点を行う。各項目に指定された点数を加算しその点数によって、Poor、Moderately Poor、Very Poor に分類されVery Poor となった場合にはローンの返済が難しいと判断され貸付は行われない。これはローンは援助ではなく、借り手の返済能力を求めているからである。
 
・初回のローン借入までの流れ
AOによってローンの貸付が決定された借り手は初回のローンを受け取る前に2回センターミーティングに参加し、保険金の支払いと貯蓄額の払い込みを行う。
健康保険や生命保険からなる保険は強制加入であり、加入している期間の長さに応じて補償額が決定される。
借り手に保険が強制でなくオプションの場合でも加入するか質問したところ、ポジティブな意見が大多数を占めていた。
 
 
・成功した借り手の例
今回の新規ローン申請者の様な個人営業の事業のためにローンを借りる人ではなく、ローンを借り入れて成功し現在60人の雇用主である借り手の工場を見学した。
インタビューをすると、当初は家族経営の小さな工場だったが、借入回数を増すごとに工場の規模が拡大したとのこと。
マイクロファイナンスの借り手の成功だけでなく、成功した借り手によって新たな雇用機会が創造されるなどマイクロファイナンスの波及効果を確認した。
 
 
<質疑応答>
 
Q1.
カンボジア、フィリピンを対象国として選んだ理由
 
A1.
・CARDがパートナーであること
・GDP(600ドル)が低い、知名度が日本においても比較的高く、成長性(①教育②金融の規制)も見込めるから。
 
 
Q2.
マイクロファイナンス機関の優位性(商業銀行の優位性)とは何か。
 
A2.
・顧客のビジネスが対象としているものが違う。リスクのエクスポージャーが違う。
・リスクファクターが異なる(MFIは世界の経済の影響を受けにくい)。
・対象者:現地個人ビジネス(国内消費が落ち込んだ場合の影響あり)。
・資金調達が比較的容易
 
 
Q3.
組織としてのサステイナビリティーはどうなのか。
パートタイムで活動する団体にお金を預けることについて、どのようにお客さんに納得させるのか。
 
A3.(当日ご回答した内容に追記させていただきます。)
私たちの提案するスキームでは、投資家は、第二種金融商品取引業者のライセンスを持つ、ミュージックセキュリティーズ社のブラットフォームを通して、マイクロファイナンス機関に直接お金を預ける仕組みです。お金の預け先となるマイクロファイナンス機関は、実績のあるCARDバンクの目利きで厳選され、かつCARDが出資もしている信頼でき、将来性の見込めるマイクロファイナンス機関です。私たちは、金融の知識を生かし財務データの月次モニタリングやアナリストレポートの作成などを通じて、マイクロファイナンス機関と投資家のコミュニケーションを円滑にするための役割を果たします
 
  
Q4.
(フィリピンのMFの審査基準について)
・お父さんがいない人に貸し付けができるのか。
・Very Poorの方に対してどのようなケアされているのか。
 
A4.
貸付は可能。Very Poorに対してはCardは貸付は行わないスタンス。
 
 
Q5.
マイクロファイナンスファンドの団体は、オルタナティブ投資の一環としてやっているのか。
それとも、MFIだけに注力しているのか。
 
A5.
オルタナティブ投資としてやっている機関もあるが、主流は、マイクロファイナンス投資を主にやっている。
例としては、Responsibility、OikoCreditなど。
 
 
Q6.
共にプロジェクトを行うマイクロファイナンス機関としてどういうところを基準に選んでいるのか。
 
A6.借入ニーズがあること。
財務状況、金利収入、成長性の見込みがあるのかを基準としている。
 
  
Q7.
MFIをどのように選択したのか、LIPの理念をきかせてほしい。
 
A7.
定量面で判断したことに加え、人間性を見て一緒に仕事をしたいと思えたことが大きい
 
 
Q8.
・投資にリスク分散をしないことについて。
・LIPのミッションは何か。
 
 
A8.
・長期的には、リスク分散は必要と考えている。
・LIPの活動目標は貧困削減に貢献することであり、
会社勤めでもその枠にだけ捕らわれない社会貢献ができるロールモデルを作りたい。

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