LIVING IN PEACE BLOG
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2009年6月14日 22:10
メールマガジン Piece & Peace No.012
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リビング.イン.ピース(LIP)メールマガジン Piece & Peace No.012 09/05/29号
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こんにちは。
今回は、5/24のセミナーにご参加いただけなかった皆様に、マイクロファイナンス機関の資金
ニーズと、Living in Peaceがミュージックセキュリティーズ株式会社と提携して、ファ
ンドを組成することの意義について、ご説明させていただきます。
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代表の慎の初の著作がダイヤモンド社より本を出版しました。タイトルは『15歳から
のファイナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?』
(http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4478008256/)です。
こちらも宜しければ、まずは書店で手にとって頂ければと思います。
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シンは、アキに言われたとおり、マイクロファイナンス・セミナーに参加しました。
懇親会では、またアキを質問攻めにしているようです。
シン. やぁ、発表お疲れさま。今日は、マイクロファイナンスの仕組みのことや、フィ
リピンやカンボジアでの実情を聞くことができてよかったよ。でも、いくつか復習も兼
ねながら質問させてもらってもいいかな。
アキ. 来てくれたのね、ありがとう。ラジオの収録もうまくいったようね。
(http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/blog-entry-1219.html)
今日の発表内容に関する質問ね、いいわよ。
シン. まずMIXでは世界1,400程度登録されているという、マイクロファイナンス機関の
ことについて聞きたいんだけど、グラミン銀行のように特殊銀行であったり、NGOのまま
であったりといろいろな形態があるようだけど、それは何でなの?
アキ. それは、資金調達と密接な関係にあると考えているわ。まず、マイクロファイナン
ス機関には、大きく分けて2つの系統があるの。1つはNGOとして創設されたマイクロファ
イナンス機関で、もう1つは既存の金融機関がマイクロファイナンス事業へと取り組 みを
拡大したケースね。
NGOから始まる方が、オーソドックスと言えるから、まずはこっちから説明するわね。
ビジネスが順調に進めば、それに伴って、多くの資金を必要とすることになるわね。
でも往々にして、NGOのまま大規模な資金を集めることは、信用面や規制面で難しいこと
があるの。だから、主務官庁への登録や許認可を取って、よりフォーマルな金融仲介業者
としての地位を確立していくなかで、マイクロファイナンス銀行などへ業態を変えていく
ことがあるわ。
シン. つまり、必要とする資金額に応じて、NGOとして開始したマイクロファイナンス機
関が組織形態を変更させつつ、次第に商業化していくというわけだね。でも、そうした
転換のなかで、貧困対策という組織の社会的使命と、元々の理念と商業化という利潤の
追求をどう両立させているの?
アキ. いい指摘ね。その2つをどうやって両立させるかは、最も難しい課題の一つとなっ
ているわ。こうした問題を解決するために、たとえば、銀行への転換をする際に、前者に
絞った活動をするために別組織としてNGOはそのまま残す方法などもよく見られるわ。
次に、もう1つの商業銀行がマイクロファイナンス事業に乗り出す場合ね 。
マイクロファイナンス機関が成功をおさめるまでは、貧しさへの理解もなく、担保もなく
ハイリスクで、融資も小額すぎて貸付・回収業務が高コスト、顧客を選ぶ基準や方法もな
い等の理由で敬遠していた先進国を含む商業銀行や金融機関が、この分野に参入するよう
になったということね。これが直接的なかかわり方で、もう1つは、技術支援、借り換え、
株式投資等を通じて、間接的に関係するという方法があるわ。
もちろん、こういう商業銀行の態度を批判することは簡単ね。でも、商業銀行がマイクロ
ファイナンス事業に携わるようになったことで、競争が加速することで貸出利息が低下す
る可能性もあるわ。
シン. マイクロファイナンスが成功したことで、地元のマイクロファイナンス機関だけが
プレーヤーとなるのではなくて、まさにグローバルな展開がなされるようになってきたん
だね。
いま説明してもらった商業化の流れのおかげで、マイクロファイナンス機関は、十分な資
金を得ることができるようになったの?
アキ. 残念ながら、まだまだといったところね。というのも、潜在的な資金需要が約28兆
円(2,800億ドル)とも言われているのに対して、供給はわずか1兆7千億円(170億ドル)
しかないからなの。*1
シン. そんなに多くのニーズがあるの?! マイクロファイナンスというから、市場全体でも
、もっと小さい額を想像していたよ。
アキ. びっくりするのも無理はないかもしれないわね。
これだけ多くのお金を必要とするのは、現在、実際にマイクロファイナンスのサービスを
受けることができている人たちが1億人いる一方で、潜在的な顧客数は15億人と考えられて
いるからなの。*2こうしたギャップを埋めるためには、マイクロファイナンス機関がより多
くの顧客にサービスを提供できるように、その原資となるマイクロファイナンス機関の資
金需要を満たしていくことが求められていると言えるわね。
それに、最近の金融危機の影響で、デフォルト率は上がったものの(1%前後→2,3%前後)
、それ以上に借り換えが難しくなっているという記事もあるわ。これまで資金を供給して
いた欧米の民間金融機関が、金融危機の影響で、借り換えに応じるのが難しくなってきて
いるようよ。*3
シン. そうか。金融危機によって、貧しい人たちも影響を受けるだろうし、これまでは相
対的に裕福だった人たちも生活が厳しくなって、需要は増えているかもしれないね。
日本から支援する方法って何かあるの?
アキ. たとえば、Kiva*4やMicroPlace*5を利用する方法があるわ。でも、日本から直接的
にマイクロファイナンス機関を支援する仕組みは、今のところないわね。
シン. 民間からの資金調達を行っている日本の金融機関はないの?
アキ. それもないわね。モルガンスタンレーのように欧米の金融機関もファンドを組成し
たりしているわ。ほかにも、世界的には、Oikocredit*6やresponsAbility*7、
MicroCredit Enterprises*8のように、マイクロファイナンスなど社会的投資を主たる目的
に活動している金融機関があるわ。でも、残念ながら今の日本にはないわ。
でも、日本にも、資金の出し手はいると思うわ。たとえば、大和證券株式会社が発行した
第1回ワクチン債では、200億円以上を集めることができたと聞いたことがあるわ。 金銭的
なリターンだけではなく、社会的なリターンも達成したいと考える投資家は多いと思うの。
シン. つまり、世界には貧困などの社会的問題の解決とビジネス上の課題に取り組 むため
に資金を必要としている人がいて、日本にはそうしたダブルボトムラインの成功を望む投
資家がたくさんいるにもかかわらず、まだまだ架け橋となるものが少ないということだね。
アキ. そうなのよ。それで何だけど、シン、架け橋のひとつの手段として、私と一緒に
ファンドを作らない?
*1 Ehrbeck, Tilman. 2006. "Optimizing Capital Supply in Support of Microfinance
Industry Growth." A Working Paper for the Microfinance Investor Roundtable -
Hosted by Omidyar Network. and the SEEP Network. Washington, D.C., October 24-25.)。
なお、資金調達の詳細につきましては、LIP Report 1「マイクロファイナンスの商業化」
をご覧ください。
http://www.living-in-peace.org/_common/img/pdf/LIP_ Report_No1.pdf
*2 同上
*3 "Sub-par but not Subpraime" in The Economist (Mar 19 2009)
http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm? story_id=13342261
*4 Kiva(英語): http://www.kiva.org/
*5 MicroPlace(英語): https://www.microplace.com/
*6 オイコクレジットジャパン(日本語):http://oikocredit.blog32.fc2.com/
*7 responsAbility(英語、独語、仏語)
: http://www.responsability.com/site/index.cfm/id_art/42498
*8 MicroCedit Enterprises(英語) (http://www.mcenterprises.org/)
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代表の慎の「勝間和代のBook Lovers」(J-Wave FM81.3)出演しています!ぜひお聞き
ください。
放送予定:5月25日(月)~29日(金)12:30~12:45
ウェブサイト:http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/book_lovers/
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