LIVING IN PEACE BLOG

勉強会・セミナー2009年6月21日 16:28

6/13ワクチン債×マイクロファインスファンドセミナー要約&動画&資料UP

613日、東京体育館の第一会議室でLIPとセキュリテ共催のワクチン債×マイクロファイナンスファンドセミナーを開催いたしました。 
当日は60名以上の方の前でマイクロファイナンスファンドの概要を初めてお話しすることができ、ファンド募集開始に向け、さらに身が引き締まる思いでした。 

ブログでは、セミナーの要約を資料&写真&動画と共にアップしますので、是非ご参照下さい!

 

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挨拶 (LIP代表 慎)動画

 


【第一部】

1.  ワクチン債について (世界銀行財務局駐日代表 有馬良行氏)動画 資料(PDF版) 資料(SlideShare版)

 


(1)  概要

IFFImの概要

-2006年に多国間開発機として設立

-AAAの格付け・BISリスクウェイト0%

-世界銀行が財務マネジャーとして管轄

 

IFFIm2015年までの目標

-IFFImは寄付金加盟国からの法的強制力のある将来にわたる寄付金を背景としたワクチン債を発行し、2015年までに40億ドルの資金調達を行う

-5億人以上の子供達への予防接種の実現

 

GAVIアライアンスとは?

-ワクチンと予防接種のための世界同盟

-民間機関と公的機関のパートナーシップ

 

 

(2)  GAVIアライアンスとIFFImの成果

GAVIの具体的成果

-21,300万人の子供達が新ワクチンで救われた

-340万人以上の乳幼児の早期死亡が予防された

-累積19,200万人の子供達がB型肝炎の予防接種を受けた

-累積4,170万人の子供たちがインフルエンザ菌b(Hib)の予防接種を受けた

-累積3,650万人の子供たちが黄熱病の予防接種を受けた

 

・ワクチン価格の低下が実現する「持続可能な支援」

-GAVIの大規模な活動によりワクチンが低価格で製造できるようになった

 

・インフルエンザ菌b(Hib)についての説明とケーススタディ

・黄熱病についての説明と黄熱病ケーススタディ

・妊産婦及び新生児の破傷風(MNT)の説明とケーススタディ

 

 

3IFFImの資金調達と世界銀行の役割

・世界銀行によるIFFImの資金調達

-財務マネジャーとして管轄

-各加盟国からの寄付金は借入返済の原資となる

-AAA格付けの基盤

 

IFFImの主な財務方針

-寄付金・負債比率(ギアリングレシオ)を70%に抑えている

-流動性を今後12ヶ月の負債元利支払額に抑えている

-通貨スワップの利用によるリスク管理を行っている

 

・寄付金支払い条件

-支援対象国の債務延滞による寄付金減額のシステム

-「自らの責任と努力」によって「持続可能な発展」を実現し、最終的には途上国を「自らの力」で卒業することを促す目的

 

・債権の発行・販売の方法

-2006年の初回起債の概要

-日本でのワクチン債発行(2008-2009)の概要

-日本の特徴は個人投資家の支援が大きいこと

 

・ワクチン債は、GAVIが将来に渡って得られる寄付金のキャッシュフローを先取りすることにより、ワクチンの早期的な大量供給を可能にした

 

 

2.  質疑応答

 

Q1.

アフリカの保険セクターではセクター財政支援であるSWAps(セクターワイドアプローチ)が発展している。これをGAVIにどれくらい導入できるかについてコメントを伺いたい。 

A1.

私は、借金の技術者ですのでGAVIがどのようなポリシーを持って活動しているのかについては詳しくありません。GAVIによく知っている人がおりますので聞いてみることは可能です。 


Q2.

ワクチン債の担保は寄付金であるとのことですが、寄付金の回収に対しては法的にどれくらいの優先順位がありますか?

A2.

国債と同じくもっとも高い優先順位となっています。軽いものではなく、寄付金が払えないなら国債もデフォルトしているというレベルのものです。

 

Q3.

寄付を表明している国に日本、アメリカが入っていないのは何故ですか? 

A3.

意外と単純です。欧州の国では将来にわたり寄付金を会計上処理しやすいのに対して、日本とアメリカは20年に渡って「これこれの金額を支払う」いう約束するのが難しい会計システムになっているからです。 

 

Q4.

予防接種に関して、従来は誰が主に資金供給をしていたか? 

A4.

あまりよく知りません。GAVIの登場によって大規模な資金供給者が突然現れたのです。 

 

Q5.

ワクチン債はグローバルにマーケットがある。日本の特徴と可能性、期待についてどうお考えですか? 

A5.

日本の特徴としては個人投資家の規模が大きいことが挙げられます。日本の個人投資家はSRIへの意識が高い。個人向け外債を売っている中でそれは感じている。ここが欧米市場と違うところです。欧米は機関投資家のSRIの意識は日本の組織よりもとても高いけれでも、個人の意識は日本のそれよりも低い。イギリスでワクチン債を発行した時に、個人向けは期待を下回ったが、機関投資家はその10倍売れた。日本では個人向けとして、大和証券で2回、東京三菱UFJ証券で1回、現在HSBCを主幹事として19社で1回、全部個人向けとして販売している。今後も個人向けが中心になっていくと考えています。

 

 

【第二部】

 

1.民間マイクロファイナンスファンドの意義 (LIP 杉山)動画

 


・貧困削減への処方箋

-個人のニーズと社会のニーズを理解する必要がある

-官民の役割分担と財源の最適化を図る必要がある

 

・開発途上国に本当に必要なものは

-安心して飲める水

-栄養価の高い食べ物

-ぐっすり眠れる家

-健康を守る保険・医療

-子どもの権利

-生活を支える収入

 

・貧困をなくすために必要な6つの資本

-ビジネス資

-人的資本

-知的資本

-インフラストラクチャ

-自然資本

-公共施設資本

 

・貧困削減に必要な金額

-GNP0.6%ODAに利用することで極貧層を基本的なニーズを満たせるレベルまで引上げることができる。

 

ODA開発援助額の順位と金額の推移
-
貧困削減に対してODAではまかないきれない。
-
官民協働して支援していく必要があるが、マイクロファイナンスなどのビジネス資本への支援については、特に民が適している。

 

・公的資金の性質

-公益性が高ければ収益性が低い事業に援助できる(民がとれないリスクもとれる)

-国民のコンセンサスが必要

-予算制限がある

 

・民間マイクロファイナンスファンドの意義

-これまでの開発援助においては、無償資金協力(「官」「あげる」)、円借款(「官」「貸す」)、寄付(「民」「あげる」)が主流であり、民間マイクロファイナンスファンドのような「民」が途上国への民間部門へ「貸す」スキームは、ほとんど存在しなかった。


・ワクチン債とマロファイナンスファンドの違い
-
民間の貸付である点は一緒だが、返済原資について、ワクチン債が先進国政府の寄付金(ODA)であるのに対して、マイクロファイナンスファンドは事業収益である。

 

 

2.  マイクロファイナンスファンドの概要について (LIP 岩楯)動画 資料(PDF版)

 


・マイクロファイナンスとは

-貸付対象と考えられなかった人々への金融サービス

-MFI数は約1,400

-主に自営業者に貸付

-借手とMFI間の密なコミュニケーション

-ムハンマド・ユヌス氏が2006年にノーベル平和賞受賞

-返済率は概ね9599%

 

・高い返済率の理由

-小規模ビジネスである

-ローンオフィサーと借手の密接なコミュニケーションがある

-コミュニティの仕組みを活用している

 

・実際のオペレーション(借手集会)を現地で見て感じたこと

-驚くのは「私は何回目のローンをかりているんだというようなことを話している」

-返済が滞こうるともう借りられないため、コミュニティを利用した高い返済率が実現している

-とても混んでいてわきあいあいとして身近な存在

-浮き足だったものではなく地に足のついた存在

-マイクロファイナンスは金融の権利を与える

-高い返済率は汗と涙できずかれているもの

 

・MFI職員にとってのMFIとは

-マイクロファイナンス機関に勤めるのは特別なことではない

-一番重要なのは忍耐力

 

・フィールドスタディによって浮かび上がるMFIの姿

-金融の権利

-身近な存在

-コミュニティの力学とローンオフィサーの努力

 

・アセットクラスの可能性

-資金需給ギャップ:21世紀以降、マイクロファイナンス機関の資金授与は常に供給の10倍以上で推移してきた

-2001年以降、年率平均45%のペースで資金需要が増大している

-民間ファンドは総数104本、総額65億ドル(200812月)

-日本のファンドは存在しない

-金融危機以降も安定したパフォーマンスを維持

 

・国の成長性

-周辺国とのGNIギャップ

-日本との関わりの深さ

-親の教育意欲の高さ

 

・パートナーの存在

-CARDの紹介

-CHCの紹介

 

MFIの成長性

-CARDによるCHCへのサポート

-従業員の研修提供、モニタリング実行

-8つの支店を展開

-2005年から2008年の間に売上高は8倍、冬季純利益は30倍に成長

-2009年も成長予定

 

 

3.  マイクロファイナンスファンドの詳細説明 (ミュージックセキュリティーズ株式会社 猪尾)

 


・ミュージックセキュリティーズについて

・セキュリテのシステムについて

・マイクロファイナンスファンドの募集要項について

 

 

4.  質疑応答

 


Q1.

こころのリターンについて、具体的にフィードバックは何ですか? 

A1.

コミュニティリターン=こころのリターンは、自分たちのお金がどのように利用されているかを可視可するためのものです。猪尾からもありましたが、ニュースレターやマイクロ企業家アワード、スタディツアーなどです。蝶蝶のオブジェを作っている女性もCitiのマイクロ企業家アワードで賞をとっています。彼女はそれを誇り思っています。そういったことで、お金の利用法が具体的に見えるようになります。どんな賞がいいのかなどはまだ検討中です。ローンオフィサーにとりまとめをしてもらって、審査をみんなでやるなどという方法があるかもしれません。オンライン投票などや受賞式なども考えています。ニュースレータなどは定期的にやれるようにしたいです。(回答:ミュージックセキュリティーズ株式会社) 

 

Q2.

高い返済率は魅力的ということですが、高い返済率があるから貧困改善につながるのでしょうか? 

A2.

高い返済率は貧困削減の結果と考えています。貧困もいろいろな層があります。寄付やグラントが必要な層もありますし、衣食住については満たされていて事業をやる意思がある人にお金を貸す場合もあります。事業をやる意思がある人にお金を貸して、その自立の結果として高い返済率が達成されているということです。 

 

Q3.

匿名組合に基づく出資契約はミュージックセキュリティーズと契約するのか、もしくは現地のMFIと契約するのかどちらですか? 

A3.

現地のMFIと締結することになります。契約書は日本語で行うようにする予定です。(回答:ミュージックセキュリティーズ株式会社) 

 

Q4.

CHCの機関の性格(法的ステータス)を教えてください。

A4.

Licensed MFIです。

 

Q5.

CHCは預金サービスを提供していますか?

A5.

預金サービスの認可は受けておりません。

 

Q6.

CHCの資金調達先はどこですか?

A6.

海外ファンドのOIKO-CREDIT、BlueOrhandなどです。

 

Q7.

3年間のファンドが終了した時、事業はどのように終了させるのですか?

A7.

事業は終了せず、そのまま進めていきます。(回答:ミュージックセキュリティーズ株式会社)

 

Q8.

CHCの対象事業について農業が半分以上とあります。マイクロファイナンスは短期で繰り返すものという認識があったが、半年、1年という単位で貸すこともあるのですか?

A8.(当日ご回答した内容に追記させていただきます。)

4季の存在する日本の農業(米、野菜、果物など)における2期作などとは異なり、熱帯に属するカンボジアでは季節を問わず生産できるため、主要作物の米、商品作物、共に、種まきのタイミングをずらせば、作物自体の清算サイクルが長期でも、短期的な返済プロセスに見合った売上をあげることができる。

 

Q9.

分散させたほうがいいのでは?

A9.

分散投資という点についてはおっしゃるとおりです。ただ、今回はコンセプトそのものに投資をしていくスタイルをとっております。共感が第一であると考えています。今後はファンドをさらに組成し分散化を行っていく予定ではおります。(回答:ミュージックセキュリティーズ株式会社)

 

Q10.

潜在顧客数15億人の区分は?

A10.

アジア、中南米、中国、インド、東欧など各エリアに分布しております

 

Q11.

現地マイクロファイナンス機関と日本との関わりあいについて教えてください。

A11.

CARD設立時、ALIPさんは日本の基金からお金を出してもらっており、日本に対して感謝されているなど、従来から日本とは良好な関わり合いがあります。

【ご留意事項】
当社が取り扱うファンドには、所定の取扱手数料(別途金融機関へのお振込手数料が必要となる場合があります。)がかかるほか、出資金の元本が割れる等のリスクがあります。
取扱手数料及びリスクはファンドによって異なりますので、詳細は各ファンドの匿名組合契約説明書をご確認ください。
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