三陸とれたて市場ファンド ファンドニュース

被災地からのレポート2011年12月28日 15:50

【三陸とれたて市場】 こころ穏やかな年をお迎えください(年末のご挨拶)

支援者の皆様方へ

 

いつもの町が突然消えた、未曾有の大災害から9ヶ月。
尊い人命を多く失い、残された僕達も瓦礫の中に取り残され、
呆然としたあの頃から、気付けば季節がもう3度も変わり、
街の瓦礫も少しずつ片付いてきました。

 

呼吸も少しずつ落ち着き、変わり果てたこの場所に
冷静な視線を向けられるようになった時、
多くを奪い去ったこの大津波が、
次の時代に繋がる大きな資産を残して行ってくれたことに気付かされました。

 

長年の養殖で疲弊していた海は、何度もの大津波で海底が洗われ、
穏やかな砂地に変わっていました。

 

採算が取れずに強烈な自転車操業をせざるをえなかった生産現場には、
ゆっくりと未来を考える時間も与えてくれました。

 

強烈にかき混ぜられた海には、爆発的にプランクトンが発生し、
いわしの大群やひらめの群れ、ソイや鯛の大漁が続いています。

 

カキやホタテは、津波前の倍の速度で生長が進み、
短期間に高品質の商品が作られる環境も整えられていました。

 

気付けばそこには、被災前とは比べ物にならない、
人間らしい世界が広がっていました。

 

陸をみて絶望していた僕達は、いつの間にか牙を剥いた海に誘い出され、
周りで絶望している多くの生産者に、一刻も早く灯火を燈し、
未来へと歩き出すエネルギーを供給しなければと奮闘した年でした。

 

多くの方々の愛情に囲まれながら、みんなが幸せをかみ締められる
世界を作り上げなければと走り回るチームが出来上がっていました。

 

一人の女性を守らなければと始まった浜のミサンガ「環」作りは、
いつの間にか250人もの生産者を抱え、1億をはるかに超える売上げが、
職を失い未来に絶望した方々に光を射し始めています。

 

振り返れば、荒野と化した凄惨な被災の現場では、
人類が今までに経験したことの無い、新しい時代作りが始まっていました。

 

それもひとえに、多くの方々が参画してくれ、
資金面に加えて被災地を支え続けてくれるという温かな思いに支えられてこそ
できる代物です。

 

オールリセットされたこの現場から、壮大な社会実験が始まろうとしています。
今までやりたくてもできなかった多くの夢を乗せて。
そして何よりもこの震災で命を落とされた数多くの方々の無念に報いるためにも。

 

いつまでも下を向いている訳にはいきません。
やせ我慢をしながらも、一隅を照らす組織でありたい。

 

本年も多くのご支援を賜りましてありがとうございました。

 

心穏やかな新年になりますよう、心からお祈りを申し上げ、
年末のご挨拶に代えさせていただければと思います。

 

三陸とれたて市場代表取締役 
八木 健一郎

 

 

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