八木澤商店しょうゆ醸造ファンド ファンドニュース

被災地からのレポート2011年12月29日 09:41

【八木澤商店】 年末のご挨拶「本ファンドは大きな希望の光です」

八木澤商店の河野でございます。

この度は、当社「八木澤商店ファンド」
ならびに、「八木澤商店しょうゆ醸造ファンド」
にご出資頂きまして、誠にありがとうございました。

年末のご挨拶に代えて、これまでの経過、
現状、そしてこれからについてご報告を致します。



【震災後の事業の経過】

3月・4月は社員一同地域の支援物資のボランティア
活動を行っていたため売上もゼロでした。

社員の雇用の維持を行うため事業の再開として、
ご縁のあった醤油・味噌の醸造会社に当社の
レシピを伝え、製造を委託した商品の販売を
5月から開始しました。

5月・6月は、岩手県内の直接お届けできる範囲の
お客様へ販売を再開し、売り上げは前年比15%程度
となりました。

7月15日より岩手県外への出荷を開始して、
8月、9月と徐々に売上が上がって、
10月は前年比50%まで回復しました。

11月からは三陸沿岸の水産・畜産加工メーカーさんが
復旧が始まり、委託製造では製造量に限界が来ました。
(委託先工場に製造して頂ける量の上限に達しました。)

一関市の花泉町に工場をお借りすることができ、
震災後に残った2トンの釜を持ち込み、
従来のつゆたれの製造能力の1/4から1/5ですが、
自社製造を一部再開致しました。
11月は前年比で60%まで回復してきています。

お客様の事業再開に少しでもお応えするため、
花泉町まで社員が毎日通い、当社では初めてではありますが、
交代制もしき、借りている小さな仮工場ではありますが、
今はとにかく目の前にできることとして、
いかに生産量をあげるかという努力を続けております。





こうして従業員一人も解雇することなく、
製造スタッフも抱えたまま、全員営業マンとなって
走ってこれたのも、本当に多くの皆様のご協力があっての
ことだと思っております。

特にご出資者の皆さまからのご支援は、震災後、
精神的にも厳しくなる状況の中で、社員一同、
「当社がなくなってもいい会社ではないんだ。」
「世の中から必要とされている会社なんだ。」
という、「自分たちの仕事への誇り」
を取り戻す大きな原動力となりました。

本当に深く感謝しております。



【陸前高田市の現状について】

現在、陸前高田市では、WEBサイトでも公開されておりますが、
復興計画は策定されました。

高台移転のエリア、かさ上げし市街地になるエリア、国道の
整備、仮設居住区など、大きな方針は決まってきましたが、
実行についてはすべてはこれからです。

エリアの整備については、地権者との交渉が残されており、
地権者が他界されている場合は法定相続人との交渉が必要
ですが、その多くは陸前高田を離れている場合があり、
今、行政はこの問題に頭を抱えています。

また、エリアが整備されたとしても、その場所に
自宅を再度建てられるかというと、住宅ローンが
残っていた方々は二重ローンとなるため難しく、
これも大きな問題として残されています。


産業復興においても、先日3次補正予算が決まりましたが、
1次、2次予算で足りなかった部分への補填と
調査費で終わってしまう印象もあり、地域の企業への
支援は圧倒的に足りていません。

補助金がついたとしても全額ではなく、
仮に設備投資6億円の会社があったとすると、
4分の3の補助がついたとしても残り1億5000万を用意
しないといけません。

多くの企業が債務超過に陥っている状況の中で
残りの資金を銀行借入れすることは大変困難な状況です。

現在、多くの企業がこんな状況のなか、
走り続けているため、大変危険な状態であり、
このままでは、来年には資金ショートし、
倒産する会社が続出する可能性も高いです。

【当社の再建について】

上記のとおり、陸前高田市ではまだ様々なことが決まっておらず、
苦渋の決断ではありましたが、製造機能については一関市での
再開を決定したことで、何とか、再開への道筋が見えてきました。
(陸前高田には販売拠点を構築する予定を考えています。)

一部、つゆ・たれの製造は再開していますが、
他社で醸造して頂いた醤油を元にした加工業であり、
当社の中核はあくまでも自社での醸造業でございます。

事業再開の準備を進めていくにあたり、
醤油や味噌などの醸造業の設備投資は大きく、
先代から継承してきた製造設備および
蓄積してきた商品の存在が経営に与えていた影響、
ありがたみを改めて痛感しております。

それを一から作り上げ、返済を行いながら、
創業200年の歴史を終わらせることなく、次の世代に
継承していくことの厳しさに現在、直面しています。


【経営者が白旗さえ揚げなければ絶対に再建できる】

しかし、私たちは諦めていません。

生き残った私たちでこの町を再建する。

家族も友人も失った若者たちが町に残り、
自分たちで町の復興を行うためにも、
雇用を作らないといけない。

そんな中で本当にこのファンドは私たちにとって
大きな希望の光なのです。

資金を調達させて頂けることは大きなことですが、
もう一つは、多くの方々がこれから10年間、見守って頂ける。

私たちに求められていることは無理くりにでも経営革新
することです。震災前と同じことをやっていたのでは、
経営は成り立ちません。

そんな中、中小企業が売上などの経営状況をガラス張り
となって公開していくことは、経営の緊張感につながります。

また、出資者の方々と、これからの戦略や付加価値を
どうやって作っていくか、ということについても、
直接的なニーズを伺いながら進めていけること
はとても重要だと思っています。

こうして、私たちに寄り添って頂き、
これからの再建のプロセスを全て見て頂ける。

これは、強いプレッシャーでもあり、甘くはないと思っています。
でも本当に大きな励みになるのです。

だから、私は当社への寄付を希望して頂く方には
できるだけこのファンドの方にお申込頂くよう、
お願いしてきました。
寄付金は大変有難いのですが、その後、ずっと
つながって頂くことの方が当社にとって重要だからです。

今回、新たに募集させて頂いたファンドは
応援金あわせて「1億円」という大きな金額を
ご支援頂こうとしていることは重々承知しております。

皆様のお力をお借りし、必ず、醸造の再開を成し遂げ、
当社で一から再建した工場、設備で製造した商品を
皆様にお届けできるよう一層邁進して参ります。

来年春に着工、秋には完成し、醤油については
早いもので、再来年の春から出荷予定となります。

「八木澤商店しょうゆ醸造ファンド」、
何卒、応援のほど、よろしくお願い致します。

また、同じく陸前高田で復興に取り組む
同士の応援も何卒宜しくお願いいたします。

本年は本当にありがとうございました。
引き続き、来年もよろしくお願い申し上げます。

八木澤商店 河野通洋

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当社が取り扱うファンドには、所定の取扱手数料(別途金融機関へのお振込手数料が必要となる場合があります。)がかかるほか、出資金の元本が割れる等のリスクがあります。
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