LIVING IN PEACE BLOG

メールマガジン2009年8月11日 11:04

メールマガジン Piece & Peace No.020

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リビング.イン.ピース(LIP)メールマガジン Piece & Peace No.020 09/07/31号

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こんにちは。

今朝、慎が無事に帰国いたしました!
現地調査の報告を2回に分けてお届けします!

本日のトピック
・ 慎の第2回現地訪問(前編)

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シェムリアップは、カンボジアの首都プノンペンから車で飛ばして6時間くらいのところにある。
信号はなく、前の車を追い抜くときは一度対向車線に出ないといけないという、
結構リスクの高い6時間の旅。


カンボジア随一の観光資源であるアンコール・ワットがあるシェムリアップでは、
商業やサービス業が盛んで、その都市部に住む人びとは、
観光関連の商売、小売業や、レストラン、モーテル経営、タクシー、建設業、
その他関連業種に勤めている人が多い。これらの人たちは比較的裕福な場合が多い。

だから、シェムリアップ支店で会ってきた顧客の多くは、豊かな人びとだった。
時系列で書いているこの旅行記は、まず、豊かな人々とのインタビューの記録を残している。
しかし、いったん数キロ離れて郊外に出ると、そこには農村地帯があり、
苦しい生活を余儀なくされている人々が多く存在する。

Samicは、多くのMFIがそうであるように、この人びとにも資金を提供する。
もともと貧困削減のためのNGOから始まった遺伝子が、何らかの形で残されているのだろう。
もちろん、このような貧困層向けのローンの金利は、富裕層向けのそれより高く、
そこには厳然とした経済の論理も存在している。



閑話休題。そしてようやくたどり着いたSamicのシェムリアップ支店。


看板は旧称のCHC Limitedのまま。
まだ名称を変えて間もないからだろう。少し経ったら変わっていくのだろうと思う。


今回の現地調査についてきてくれた、マーケティング部門のマネージャーである、
ソンムンさん(愛称、ムンさん、以下そう呼びます)。僕と同い年で、27歳。若い。


カンボジアは、ポルポト政権下の虐殺の影響で、ポルポト政権直後に生まれた
ムンさんら20代後半より上の世代が極端に少ない。

そのため、企業の要職に若い世代がつくことがとても多いことが特徴のひとつだ。


時間も限られているので、さっそく現地調査を開始。

今回の主な目的は、シェムリアップ支店の顧客へのインタビューを通じて、
Samicが本当に返済可能な貸し付けをしているのかどうかを確認することだ。

マイクロファイナンス金融機関(MFI)が返済不可能なほどに資金を貸し付けることは、
借手と貸手双方に深刻な結果をもたらす。

借手の人はより苦しい生活をすることになるし、貸手にとっては不良債権が増加するからだ。
適切な貸し付けは、借手と貸手の双方にとって非常に重要となる。


クルドさんの家では、建設関係の資材の販売や運搬が主な仕事だ。
5,000ドルのローンを、1年満期、金利は月に2%。
借入金の使途は、20,000ドルのトラック購入の一部に充てるほか、残りは資材の調達などに使う。

トラックで荷運びをすることで数10ドルの利益があるため、減価償却や燃料費を差し引いても、
十分に返済は可能な水準。

唯一の心配は、世界経済の落ち込みによるシェムリアップの観光収入の低下だ。
この都市において建設業の収入は観光業のそれと高い相関を持っている。


ただし、シェムリアップという都市は、観光都市としての開発時のマスタープランが十分でなかったため、
下水道やその他インフラなどにおいて未整備のものが非常に多い。

道路についても、表の大通りはきれいに舗装されているが一旦裏道に出ると、
石がむき出しになった道路が多数存在する。

これらを考慮すると、シェムリアップが今後も観光都市として一定の発展を遂げるのなら、
これら建設業の需要は引き続き存在するのだと考えられる。

ちなみに、この家では、ワニを飼っていた。販売用だ。
大きくなったら家の隣の池に移すらしいのだけれど、どうやって運ぶのだろう。



次の顧客は、事故車のリフォームをしているキムさん。


4,000ドルを借入、満期は1年、金利は同様に2%だ。

事故車はだいたい800ドルくらいで購入される。
購入の周期はランダム(カンボジアでは自動車事故が非常に多い)。
その修理代が500ドル程度、修理された車は、1500ドル以上で売れる。
修理1件で1週間かかり、大体400ドルから500ドルの利益がある。
工員の人件費を考慮しても、十分に返済可能なビジネスだ。

MFIからの借入によってビジネスを始めたわけではないが、
MFIは彼の生活に確実に役立っているという。
ただ、他の借手と同様に、金利と元本支払い時には不安がある、という。


次に向かったのは、タイから雑貨品を仕入れカンボジア国内で販売しているベンラフィさん。

第1回の借入は5,000ドルで、現在は2回目として8,000ドルを借り入れている。
満期は20ヶ月で金利は月に2%。

彼女は1か月に3回ほどタイに行き仕入れを行う。
お店は持っているものの、主な顧客は卸売業者。
1度で5,000ドル分の仕入れをして、それがだいたい5,500ドルで売れる。
月に3度行うのなら、移動の費用等を考えても、十分な水準。

しかし、彼女のビジネスの場合、手持ち資金に対し一度の取引の金額が大きいため、リスクは小さくない。
卸業者の支払いが滞ったり、もしくは倒産した場合には、彼女の経営状態は一気に悪化する可能性がある。
今まで10年間この商売を行ってきたので、業者と信頼関係が既に存在しているとはいうものの、リスクは残る。

彼女も、MFIの存在は助かる、と話していた。
このようにある程度のお金を有している人々にとっても、MFIは手軽な資金調達手段として役立っている。

(続く)

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代表の慎の初の著作がダイヤモンド社より本を出版しました。
タイトルは『15歳からのファイナンス理論入門―
桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?』
(http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4478008256/)です。
書店で手にとって頂ければと幸いです。

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