LIVING IN PEACE BLOG
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勉強会・セミナー2010年5月10日 22:32
4/24 LIP教育プロジェクト主催 セミナー&ワークショップ報告
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皆さんこんにちは。メンバーの高橋です。
5月に入り、さわやかな陽気が続いていますね。今日は、4月24日に行われた、LIPメンバーの後藤宗明氏によるセミナー&ワークショップ【「一番近い他人」が日本を変える~教育格差を乗り越える~】での前半のセミナーについてお伝えします。
セミナーは、教育プロジェクトリーダーの松田より、松田自身がLIPにかかわったきっかけと、プロジェクトの説明から始まりました。松田は、社会人になってからの周囲とのかかわりから、恵まれた環境にいる人とそうでない人には、ちょっとしたチャンスの差があり、その格差に対して自分にもできることがある、という思いから、「すべてのこどもに夢をくれる大人との出会いを。」というマントラを掲げるLIP教育プロジェクトに携わっています。そして、プロジェクトでは、毎月の児童養護施設訪問を通じて、子どもたちの自己肯定感の向上をサポートするための活動をしています。
続いて後藤氏より、自身の人生と教育や貧困課題に携わった経緯について話していただきました。後藤氏は、ニューヨークで語学学校の運営に携わりながら、日米を往復する生活をしていましたが、その間、日本の社会環境の変化を敏感に感じ、ニューヨークで目の当たりにした格差社会や貧困の問題が、日本にも来ると確信していました。
後藤氏が感じる日本の貧困の実情とは、経済的なものといえる、年収が200万円以下の世帯等ということだけではなく、精神的なもの、例えば、児童養護施設で生活する子どもたちは、近親者からの虐待を経験していることがある、というようなものも指します。
そして、この虐待の影響として、継続力や自己肯定感(self-esteem:自分を誇りに思い、他者からも認められる自尊心)の低さがあること。また、施設には18歳までの滞在となることから、その後の進路として就職を選ぶ生徒が多いことと、学歴と収入が比例している日本社会では、彼らが高収入を得る見込みが低い現実や継続力の弱さなどが災いして、施設を出た後に再び貧困に陥るという悪循環を紹介しました。
後藤氏は、ニューヨーク滞在中に、自己肯定感の低い若者へのロールモデル教育を実施していました。ここでいうロールモデルとは、自分が抱えている問題を過去に克服した人や将来の目標となる人を指します。後藤氏は、自身の活動経験から、「一番近い他人」、つまり、親でも友人でもないが、信頼し共感できる第三者の存在の重要性を実感したそうです。それは、その第三者であった後藤氏が、生徒たちの親や友人には心配や関係性の悪化の懸念から話すことができなかった過去に触れることができたからです。その立場でまず互いに信頼を築き、生徒たちへ実際のロールモデルを仲介しました。
帰国後も後藤氏は、教育格差を改善するための様々な活動に引き続き従事しています。そして、貧困とは「ある種のうつ状態」であり、受け入れる私たちの思考プロセスの変化が求められているのではと結んでいます。つまり、日本の貧困というと、当事者の人生への取り組む姿勢や努力の欠如がその状態を招いていると考えがちだが、実際はそうとは言い切れないことを理解する必要があるとのことでした。
この後は、いよいよワークショップです。
児童養護施設の中高生を対象とし、中退率を下げ進学率を上げるために、社会人がパートタイムの活動でできることは何かを考えます。
次回の報告をお楽しみに!
文責 高橋正子
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