いわ井 器・和雑貨・地酒ファンド ファンドニュース 2012年06月
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被災地からのレポート2012年6月19日 11:32
ぬくもりある空間と黒板消し
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岩手県陸前高田市で和雑貨や地酒、陶磁器の小売業を営む「いわ井」から近況のお便りが届きました。ストラップがとってもカワイイですね!---------------------------------------さて今日は、開店直後の4月28日29日に開催された札幌の木工作家、三島チエさんによる店頭での実演販売の様子や三島さんの札幌の作家仲間の方々「札幌スタイル」によるさまざまな工芸品の展示販売をレポートします。今回三島さんの実演作品は、これです。そう、なんと黒板消しのストラップなのです。これを三島さんは、いとも簡単そうに一つ一つ丁寧にしかも、ほんの数分で仕上げてくれます。布の部分は色とりどり、好きな柄が選べます。そしてその場で、細い焼き鏝でお名前まで入れてくれるのです。今回は特別無料でやっていただきました。焼き鏝一本である程度字体の変化をつけられます。これは私の店「いわ井」の印です。当日は肌寒い中店の外のデッキで実演していただいたのですが、寒いはずの札幌から来た三島さんが「寒いですねー」といいながらも、本当は1日だけの予定が、帰りのバスの連絡がない関係で翌日も「いいですよー」って感じで頑張って100個ほどのリクエストに応えていただきました。三島さんのお父様は家具職人なのだそうです。さすがに器用で集中力がすごいのです。でも、頑固な職人という感じではなく、物静かだけれども、気さくでチャーミングな女性でした。そんな三島さんが陸前高田に実演に行くということで作家のお仲間のグループ「札幌スタイル」の方々がいろいろな素敵な作品を送っていただきました。札幌スタイルは札幌で活躍する工芸作家さんたちを札幌市が選抜し、全国に紹介していこうとする団体なのだそうです。当日は店頭に作品を並べさせていただきお客様方に手に取ってもらって、札幌の作家さんたちのぬくもりを味わっていただきました。並べきれないほどのたくさんの作品でしたが二日ほどでほとんど無くなってしまう人気でした。札幌の作家のみなさん、有難うございました。三島さん、札幌の作家のみなさん、本当にありがとうございました。
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被災地からのレポート2012年6月14日 11:36
ドタバタアクセク 何とか開店!
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共同仮設店舗の開店以来、レポートも長らくご無沙汰してしまいました。申し訳ありません。言い訳しても始まらないのですが、ゴールデンウィークに間に合わせようと無理やりオープンしたのはいいのですが、オープンと同時に戦争のような忙しさ。本当にありがたい話なのですが、休む暇もない状態となりました。私たちの共同店舗「栃ヶ沢ベース」の1号棟1階、ウッドデッキで繋がっているお隣さんこのファンドでもおなじみの「おかし工房 木村屋」さんや「きそば やぶ屋」さんも同様で皆で、うれしい悲鳴を上げています。感謝!ところでこの三軒はどういう関係かというと震災前からうちの店では近隣の町からドライブがてらお出でになるお客様が「いま、やぶ屋さんにいってきたのよ、あ~おいしかった!」とか「これから木村屋さんに寄って行くんだ」とかよく話していらっしゃいました。私は単純に「いつか一緒に商売出来たらいいな~」なんて思っていたのですが、この震災で三軒とも店を失ってしまったのです。しかし途方にくれながらも「いつかこんな店をやってみたいな」とか、「頑固だけどこれだけは譲れないんだ」とか、夢のような話をしながら過ごすうちにこの人たちとなら楽しく一緒に商売ができると思ったのです。それはほかの二人も同じだったようで、お互い二つ返事で誘いをOKしたのでした。そして今、お客様から「三軒が一緒で良かったね」「ここのスペースとってもゆったりとした気分になれるよ」とか「やぶ屋さんでおそば食べて、いわ井さんで面白いもの探して、木村屋さんでお菓子買って帰るのよ」なんてお客様の方から言って頂けるようになりました。
誰にも強制されない、ちょっとしたコミュニティが出来つつあります。これって、商売の醍醐味かもしれません。本当に有難く、そして嬉しい限りです。
という訳で、なんとか地元はもとより遠くからの支援のお客さまの笑顔と励ましに助けられて毎日張りのあるスタートを切ることができました。
岩手、陸前高田は今、一年のうちで秋のひと時とともに最も過ごしやすい季節で 。新店舗から荒涼とした以前の市街地跡が見渡せるのですが。
店の入り口を開け放すと爽やかな風が入り込みます。心なしか、お買い物のお客様の表情もゆったりと見えます。今はお気軽にお出で下さいとは言いにくいほど不便な町ですが、こんな中にも「おいしい、楽しい、ほっと一息の」スポットがあります。いつか、いつの日か遊びに来てください。お待ちしています。では次回まで、ごきげんよう。