LIVING IN PEACE BLOG 2009年04月
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勉強会・セミナー2009年4月26日 16:25
LIP Report No.1 公開のご連絡
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みなさん、こんにちは!
LIPでファンドプロジェクトのプロジェクト・マネジャーをしている杉山です。
このたびLIP Report No.1「マイクロファイナンスの商業化:マイクロファイナンス機関の資金調達とマイクロファイナンス投資」http://www.living-in-peace.org/reportpub/ を公開しましたので、ご連絡します。
このレポートでは、ここ数年以内の新しい文献をもとに、マイクロファイナンスの商業化という現象をマイクロファイナンス機関の資金調達に焦点を当て、マイクロファイナンス機関の業務形態、資金調達方法、資金の供給者を整理しました。そして、マイクロファイナンスの商業化が次の三つの側面から進行していることを明らかにしました。
① マイクロファイナンス機関がマイクロファイナンス銀行になるという需要サイドのアップスケーリングによる商業化
② 商業銀行がマイクロファイナンスセクターに参入するという需要サイドのダウンスケーリングによる商業化
③ 供給サイドにマイクロファイナンス投資を通して民間資本が入ってきたことによる商業化
マイクロファイナンス機関の資本市場における資金調達の実態は、このレポートで参照した文献もほとんどは英語で書かれているように、日本ではまだあまり知られていません。このレポートによって、皆さんが興味を持っていただけたなら幸いです。
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メールマガジン2009年4月25日 17:34
メールマガジン Piece & Peace No.006
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リビング.イン.ピース(LIP)メールマガジン Piece & Peace No.006 09/04/16号
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こんにちは。
暖かい日が続きますね。
桜が綺麗でしたが、皆様もお花見等には行かれましたでしたしょうか。
さて早速ですが、第3回の現地視察レポートを代表の慎よりお届けします。 今回の内容は
、マイクロファイナンス機関等のご紹介というよりも、慎自身の考え方となっておりま
す。
下記サイトにて、ファンドの1口あたりの金額につきまして、アンケート調査を実施し
ております。宜しければ、ぜひ回答にご協力ください!
http://www.smaster.jp/Sheet.aspx?SheetID=14590
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2009年4月2日(木) 第五日目
午前中は、Ministry of Economy and Financeを訪問。日本でいう財務省か。
出迎えてくれたのは、事務次官のChou Vannakさん。
カンボジアの金融関係の規制について、これまでMinistry of Economy and Financeと
中央銀行での線引きはあまり明確ではなかったものの、最近においてそれが明確化して
きたとのこと。省庁では全般的な方向性を打ち出し、具体的な規制は中央銀行がまとめ
て行うということになっているようだ。
午後は、Toul Sleng虐殺博物館へ*1。
ここはもともと学校で、ポルポト率いるクメール・ルージュが政権を取得したのち、保
安事務所として使われたものだ。
プノンペンにいる人びとの多くは、クメール・ルージュが政権につく以前の内戦が郊外
で行われていたため、安全を求めて来た人たちだ。クメール・ルージュは、「カンボジア
を解放させるための闘いから逃げた人びと」を「新市民」と呼び、粛清の対象と考えた。
首都にいる人びとの多くは郊外に強制移住させられ、過酷な労働条件のもとで亡くなっ
た。スパイの容疑をかけられた人びとは、この刑務所に連れてこられた後に、拷問によ
って(おそらくその多くは嘘の)自白をさせられ、カンボジア国内に数100とあった処
刑場(Killing field)に連れていかれ、殺された。
ポルポト以前のカンボジアの人口は700万人だった。それが、ポルポト政権が壊滅する
ころには400万人になったとガイドの人は話していた。100~200万人が殺され、その他の
人々は国外に難民として逃れた。ガイドさんは当時8歳だったが、プノンペンから南東の
都市に強制移住させられた。移住先に着いた直後に父が殺され、残された彼女の家族は
ベトナムに亡命したと話していた。
博物館に入って最初の棟には、部屋ごとに鉄のベッドが一つぽつんと置かれている。
部屋に大きくかけられている写真は、その鉄のベッドの上で無残に死に絶えた人のもの
だ。これは、ベトナム軍がプノンペンに侵攻した際に撮った写真なのだという。
次の棟には、亡くなった人の写真と、殺す側にいたクメール・ルージュの戦闘員たちの
写真が並んでいる。最後の棟には、さらに絵や写真があり、3階で映画を見ることができ
る。
当時、クメール・ルージュに所属し、この虐殺に関与した青年の多くは罰を受けていな
い。彼・彼女らの多くは、自らの過去をひた隠しにし、普通に生活しているのだという。
元・クメール・ルージュの人びとのインタビューが博物館の一室で展示されていた 。
多くの人が言うことは「自分だってこんなことはしたくなかった。だけど、やらなかっ
たら自分が殺されたのだ」というものだ。中には、「自分は、自分のしたことを一切
やましいとは思っていない」と言う人も。
体制に加担しなければ殺されるという状況の下で、虐殺に加担する人を、倫理的な観点
から批判することはたやすい。でも、自分自身が同じ状況に陥ったらどう行動している
のだろうか。はたして、正しいことのために死ねると、100%の確かさをもって言い切れ
るか。もし、そのときに、自分に愛する家族がいて、それだけはどうしても守りたいと
考えていたら?
ある問題について考える際に重要なことの一つは、自分が当事者であればどうするかと
いうことを慮ることにあると思う。そういった思考の過程を経ないで、わかりやすい正
義を振りかざすことに僕は断固反対する。
より問題にするべきは、こういう普段は普通の人を殺人マシーンに変えてしまう仕組みに
あり、どのようにすればこういった仕組みの支配を止めることができるの か、にあると
思う。僕は、ポイントはいくつかあると考える。
・言論の自由を死守すること
人びとの思考を麻痺させるような言論に対して異議申し立てをし続けること。
歴史を振り返ってみると、悲劇は言論の自由が守られなかったときに引き起こされること
が多い。
・自分の頭でものを考えることを教える教育
批判精神が養われない教育は、社会を一気に全体主義化しうる。また、社会における教育
の水準が低いことも、同じ問題を惹起する原因となりうる。
・貧困の撲滅
多くの虐殺を後押しする要因のひとつに、虐殺者が被虐殺者によって経済的に抑圧され
ていた、ということがある。貧困は直接的に人を殺すのみならず、憎悪の温床ともなり
うる。改めて、貧困の終焉を目指す僕たちの名前をLiving in Peaceとしたことに間違い
はなかったと思うようになった。
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2009年4月3日(金) 第六日目
カンボジア最後の朝。相変わらず、朝日は暖かく迎えてくれる。
午前中は、カンボジアの中央銀行へ。
重役の方にお会いして、カンボジアへの投資の規制について質問をする。
カンボジアのマイクロファイナンス周りの規制は、世界でも有数の優れたものだ。
これには二つの理由がある。
1)カンボジアの市場システムがポルポト政権下で完全に破壊されたこ と
2)内戦が終わりカンボジア王国として再出発した1993年以降、 ドナーからの
アドバイスを忠実に受け入れたこと
カンボジアではマイクロファイナンス金融機関は当局の管理下にあり、現在、登録を受け
ている機関数は18。これは他の国と比べれば非常に少なく、その分規制が十分に行き届い
ていると考えられる。
また、マイクロファイナンス金融機関への投資において外資規制は一切存 在していない。
拍子抜けするくらいだった。原則として、資金調達を行うマイクロファイナンス金融機関
の同意が得られるのなら、どんな形態であれ外国からカンボジアへ資金が流入すること
に対する制限はない。もちろん、マネーロンダリング等は厳しくチェックをしていると
のことだったが。
ミーティングが終了し、最後の自由時間。
昨日の虐殺博物館に続き、多くの無辜の人々が殺されたKilling
Fieldに行ってきた。プノンペンから10kmほど離れたところにある。現地特有の交通
手段であるトゥクトゥクに乗って移動。
フィールドの中央には慰霊塔があり、塔の上にまで死者の骸骨が積み上げられている。
骸骨はガラスケースの中に入っていて外から見ることができるので、強烈な印象を来訪
者に与える。
塔の前で合掌した後に、実際に虐殺が行われた現場へ。
現場はとてもここで2万人が殺されたとは思われないほど、平和な空気に満ち溢れている。
しかし、足元には、展示目的からか、亡くなった人びとの服や白骨が一部そのままに残
されている。いたるところに深さ1mほどの穴があり、人びとはこの前で殺され、穴に
埋められていったのだという。ガイドさんは、どうやって人びとが殺されたのか、一つ
一つ話してくれた。ガイドさんの親も殺されたという。
けれど、僕にはどうしても納得できないことがあったので、説明を終えてくれたガイド
さんに質問をする。
「あなたが教えてくれたように、まだそこら辺に骨がむき出しになって残ってあります
よね。
もしこの骨があなたの親のものだったらどう思いますか?」
「いや、私の親はここでは殺されていない。」
「いえ、そうじゃないんです。もしもの話で、もしそこに落ちていた骨が、あなたのお父
さんやお母さんのものだったら、あなたはどう思いますか?
ちゃんと弔ってあげるべきだと思いませんか?私には、あの骨は単に展示用に利用され
ているだけに感じてしまうんです。」
「申し訳ないと思う。」
確かに、事件の残虐性を人びとにしっかりと伝えるために、処刑場(Killing Field)の
中にむき出しの骨や脱がされた服を放置するのは有効なことだと思う。これらは、人びと
の想像を助けてくれるし、想像を通じて得られる対体験は、過ちを繰り返さないために
有用だからだ。
だけど、そのために死者の骨を放っておくことが許されるのか。僕は、もしその骨が自分
の親のものだったら、こんなところに置かずにちゃんと弔ってあげたいと思う。
この問題は、より一般化して考えることができる。
「全体としての目的を遂行するために、一部の人々に負担をもたらすことは許容される
のか」、という問題だ。
多くの政治家やリアリストは、「許容される」と答えるだろう。
僕はどう答えるだろう。
難しい問題について考えるとき、僕は自分の尊敬する人々ならどうするかを考える。
僕の尊敬するガンジーは、「断じて許容されない」と答えると思う。目的のために手段が
正当化されることはあってはならない、というのが彼の信条だからだ。
ガンジーは、全体の利益のために少数派が不利益を被ることは決してあってはな らない、
と言うはずだ。
人が何らかの不利益を被るのは、自らを含めた皆が受け入れた法のみによるべきで、それ
以外の場合には許容されるべきではない。これが永遠平和のためには必要だとエマニュ
エル・カントは考えた。僕も同感だ。個人が、自分以外の大多数の都合のみによって不利
益を被ることは、あってはならない。
僕が自らの浅薄な知識と経験、それに一時的に昂ぶっている感情に基づいて話している
だけかもしれない。また考えを改める日も来るかもしれないけれど、 今の自分の考えは記
録しておきたいと思う。
いったんホテルに戻る。
頭痛がするので、また睡眠。
起きたら、もう出発の時間になっていた。
ホテルから車に乗って、プノンペン国際空港へ。
飛行機でベトナムまで移動。今は、ホーチミン空港内のコーヒーショップでこれを書い
ている。
今日23時35分の飛行機で、日本に戻る予定だ。
今回の旅行全体の感想は、また帰りの飛行機の中で反芻して、日本で友達と話しながら
まとめていきたいと思う。
*1 虐殺博物館HP(英語):http://www.killingfieldsmuseum.com/
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いかがでしたでしょうか?読者の皆様とは、慎の考え方と異なっている方もいらっしゃる
思います。もちろん、私たちの団体内でもそうだと思います。とはいえ、私たち(コミュ
ニティに登録してくださった皆様も含めて)は、発展途上国の貧困をマイクロファイナ
ンスを通じて解決したいと願い、行動する人たちの集まりです。
こうした巡りあわせに感謝したいような今日この頃です。
それでは。
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代表の慎が今月、ダイヤモンド社より本を出版致します。タイトルは『15歳からのファ
イナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?』です。
こちらも宜しければ、まずは書店で手にとって頂ければと思います。
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メールマガジン2009年4月17日 08:47
メールマガジン Piece & Peace No.005
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リビング.イン.ピース(LIP)メールマガジン Piece & Peace No.005 09/04/06号
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こんにちは。
第2回の現地視察レポートを代表の慎よりお届けします。なお、慎および同行者一名は、
先週末無事に帰国いたしましたので、ご報告申し上げます。近日中に、報告会を行う
予定ですので、その際には、ぜひ皆様のご来場をお待ち申し上げております。
(詳細につきましては、決定次第、改めてご連絡申し上げます。)
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2009年3月31日(火) 第三日目
7時に起床。すがすがしい朝だ。
道がところどころ濡れている。僕が片頭痛になると、ほとんどの場合、雨が降る場合
が降るのだけれど、この片頭痛天気予報はカンボジアでも有効なのかもしれない。
タクシーのドライバーに年を聞かれた。「何歳だと思う?」と、相手に聞き返すと、
相手は、「十代後半くらいだろ?」と答えられた。
うーむ。
でも、つい最近道でばったり会った、高校サッカー部の友達にも若くなったと言われ
ているし、僕は見た目的には若返っているのかもしれない。ブラピ主演の、そういう
映画があったっけ*2。
車に乗って、Pursatを後にする。
2時間と少し車に乗り、プノンペンに戻る。
午後2時ごろから、もう一つのマイクロファイナンス金融機関とミーティング。
Living in PeaceのことやMusic Securitiesとのことについてのプレゼンや、
ターム、スキームについてかなり突っ込んだ話し合いをする。
相手の技術担当者からは、システムについての説明を受ける。ここのシステムも
ソフトウェアはかなりしっかりと作りこまれている。
ただし、データベースを作ったことがある経験からすると、いちばん重要なことは
決してシステムそのものではなく(極論すれば、エクセルとVBA*3だけで十分に
データベースは作れる)、データの正確さがどの程度まで担保されているのかにある。
いつか、スポットチェック*4でよいので契約書とデータベースを突き合わせてみる
必要がありそうだ。
今日のミーティングはこれで終了。
夕方に、市街を散歩する。独立記念塔の近くは広場になっていて、いろんな人がスポーツをして遊んでいる。 羽根のついたスプリングを蹴る遊びに混ぜてもらう。
結構面白い。カンボジアではサッカーとバレーボール、
バスケットボールが盛ん
なのだそう。幸いサッカーとバレーはちょっとやったことがあるし、また夕方に
混ぜてもらおう。
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2009年4月1日(水) 第四日目
今日は朝6時に起床。といっても、カンボジア時間での朝六6なので、日本時間
だと午前8時。普通の時間だ。
カーテンを開けたら、プノンペンの朝日が迎えてくれた。太陽はどこにいっても
暖かい光をくれる。ありがたいことだ。 シャワーを浴びて、食事をして、6時半
に第2回フィールドスタディに出発。
今日向かうのは、プノンペンから南西に150kmくらいのところにあるKampo t地方*4。
フランス植民地時代に栄えていた都市らしく、今も道路はその面影を残している。
町全体がとても美しい。
今日はグループで借入をしている人たちに会いに行ってきた。
最初に会ったのは11人のグループ。それぞれが100ドル以下のローンを借りていて、
金利は月率で3.25%だ。借りたお金の主な用途は、家畜の購入だったり、漁業道具
の購入だったり、その他農業の道具の購入だったりする。農業で得られる収入は、
必ずしも毎日というわけではないため、毎月の支払では金利のみが払われ、最後の
満期に元本が返済される返済プランとなっている(ただし、資金に余裕があれば、
借入の半年後から元本を返済してもよいことになっている)。担保は土地や家の
場合が多い。
3.25%の金利のうち、0.25%は、Village Bankの担当者の手元に入る。
Village Bankは、村の中にある一種の信用組合のようなもので、その担当者の一人
が、グループの組み合わせを選ぶプロセスを取り仕切り、マイクロファイナンス金
融機関とのやり取りを担当する。
グループの選出方法は投票によっているそうだ。借り入れる人は女性がやはり多い。
満期までにお金を返せない人が来ていた。母が病気になり入院していることや、
お米の売り上げが思った以上に少なかったってことが、手元にお金がない理由だ。
満期をなんとか伸ばすことができないかと彼女は申し出るが、ローンオフィサーは、
「あなたが返せないと他の人が借りられないから、返してほしい」と。結局、彼女
は、なんとか期日中に返済することになり、返し方について相談することになった。
このグループローンでも借り入れの際に担保がとられている。金融機関の人に質問。
「最悪の場合、あなたたちはこの人たちから家を取り上げることもあるのですか? 」
「あまりそういうことはしないし、話し合っていい方法を見つける努力をしている
けれど、たまにはそういう場合もある。」
アメリカでマイクロファイナンスを行っている栃迫さんが、僕たちに、「マイクロ
ファイナンスのオペレーションは闘いです」と話してくださったのを思い出す。
このマイクロファイナンス金融機関では生命保険を提供している。つい最近も、結
婚の直前に亡くなってしまった人がいて、その人に保険金を支払ったそうだ。
「モラルハザードはありえないのか?」と質問。
「ひとつひとつのケースをしっかりと検分するので、それはない」との答えr。
もうひとつ質問。「天候保険を提供する予定は?農村部の人たちの収入の不確実性
の多くが天候に来ているのだから、よいサービスだと思うのだけれど。」
「規制があり、それは今のところは難しいが、将来的には検討している」とのこと。
もう一つの村を訪ねる。
今度は9人のグループローン。お金の用途は、前の村と同じように家畜購入、漁業
用の道具購入、農地開拓のための費用など。2008年4月に、この村で初めてのマイ
クロファイナンス貸し付けがされた。
今日は満期の返済日だ。それぞれの女性が札束をもって村の会議所に集まってきた。
無事に返済を終えた皆の顔は、心なしか晴れやかだ。
また質問。
Q:最初にマイクロファイナンス金融機関の人が来てプロモーションを したとき、
怪しい人だと思わなかった?
A:特にそうは思わなかった。この人たちはお金を持ってきてくれたし。
(個人的には驚きの答え。僕ならまず疑いそう。)
Q:マイクロファイナンスの仕組みが村にできて良かったと思う?
A:良かったと思う(全員一致で)
Q:マイクロファイナンスが出来る前と後で比べると、生活水準はどっちの方が
よくなった?
A:今の方が良くなった(これも全員一致)
マイクロファイナンスは万能薬では決してないけれど、ある程度の段階におい
ては、確実に貧困を削減するのを手伝っているということを実感すること がで
きた。日々の返済のためのオペレーションは、決して牧歌的なものではなく、
「闘い」と呼ぶにふさわしいものだ。だけど、その「闘い」をいとわない気持
ちこそが、開発において一番大切だと僕は考えるし、Living in Peaceの信ず
ることの一つだ。
最も貧しい人はそもそも借入ができないという問題がある。これについて、
「何か対策を考えているか」という話を聞いてみた。
「ある村のコミュニティに5年以上所属している人であれば、貸し付けを行っ
ている」という答えが返ってきた。これは素晴らしいことだと思う。
だけど、5年間というのは、気の遠くなるような年月に感じられる。その5年間
で死んでしまう人たちがいるのかもしれない。また、コミュニティには、貧し
い人を受け入れる経済的なインセンティヴがあまり高くないと思われるので、
カンボジアのコミュニティの人的連帯の強さにかなり依存するのかもしれない。
もちろん、最貧困層に対してまでマイクロファイナンスが有効だと僕たちは思
っていない。もっとも貧しい人たちに対してまず必要なのは、ドナーと政府に
よる効果的な援助というのが僕たちの信じていることでもある。
*1 『ベンジャミン・バトン』
(公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/)
*2 Visual Basic for Applications(ビジュアルベーシック・フォー・アプリ
ケーションズ、VBA)は、マイクロソフト社製のMicrosoft Officeシリーズに
搭載されているプログラミング言語である。
*3 スポットチェックって何でしょうか???
*4 カンボジアの地図。http://www.maplandia.com/cambodia/kampot/
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先ほど、HPを確認しましたら、ちょうど100名の方が、リビング・イン・ピー
スのコミュニティ・メンバーに登録してくださったようです!ありがとうご
ざいます。今後とも、少しでも皆様のご関心にお応えできるようなメルマガ
を発信してまいりますので、ご質問等ございましたら、お気軽にご連絡くだ
さい。
それでは。
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代表の慎が今月、ダイヤモンド社より本を出版致します。タイトルは『15歳から
のファイナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?』です。
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勉強会・セミナー2009年4月9日 23:19
セキュリテオープン記念イベント(3/13)
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2009年3月13日にミュージックセキュリティーズ社主催の、セキュリテオープン記念イベントが開催されました。
セキュリテのプラットフォームを使って、資金調達に挑戦している他団体の関係者も含めて100名以上の方々にお越しいただきました。
当日の代表の慎とプロジェクトマネジャー杉山のプレゼンテーションをご紹介します。
〈動画〉
・セキュリテ説明会2 (プロジェクトマネジャー 杉山)
〈資料(PPT)〉
Lip セキュリテオープン記念 20090313View more presentations from livinginpece. -
勉強会・セミナー2009年4月8日 08:54
Living in Peace勉強会(3/24)
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3月24日(火)に『金融NPO』(岩波書店、2007年)の著者でもある上智大学教授の藤井良広先生をお招きして、Living in Peaceの勉強会を開催いたしました。(場所:新丸ビル10階)
突然にお願いにもかかわらず、快く講師を引受けてくださった藤井先生に心より御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
『金融NPO』の特にアメリカについての記述の部分を、サブプライム後としてアップデートされた講義をお聞きし、大変に参考になりました。とりわけ、興味深かったのは、アメリカのような国や先生は、政府の役割を、民間をサポートするためのものと明確に位置づけられていたことです。日本では、どうしても政府で補えないところを民間が埋める的な発想から抜けられないところがあるような気がするのですが、そうではなく民間主導で変えていくことの意義を改めて実感した勉強会となりました。
勉強会内容の要旨は簡単ではありますが、以下をご参照下さい。
<はじめに>
・お金は、どんな活動にも必要
ミッションだけでなく持続可能性を維持していくためには、収益力を維持していくことが必要である。
・実態として、市場原理の下では、お金が回らない場所がある。
回っていないところにお金を回すことが必要。そうしなければ、社会が回っていかない。
・米国NPOは、現在の金融危機下で変わろうとしている。
<サブプライムローン問題を背景に>
・NPOバンクの融資先は、従来低所得者であった(銀行が貸付対象にしていないところ)。
・低金利の環境下で、銀行が収益をあげるために、比較的リスクが高いとされる低所得者に対して住宅ローン融資を開始しはじめるようになった。
・米国では、住居と雇用はセットで考えられるために、社会的に、個人が住居を所有することに対するインセンティブは高かった。
・忍者ローン(安定収入、職業、資産不要の住宅融資)で1000万円
・けちらされたCDFIs("Community Development Finance Institution"の略称。米英などの地域再生事業において、投融資を行う金融機関のこと。親切なCDFIは生活指導など行うことも。)
・ハイリスクハイリターンのローン。営利銀行は、リターンとリスクを切り離すことで成長していった。
<世界の経済状況>
・実態経済が、50兆ドル→196兆まで成長した。
・営利を求めてお金が流れた
・経済格差の実態として、200兆のうち4割を世界人口の1%の人々が保有し、35億の人々が、1兆ドルを保有している。
<米国のCDFIs>
・1933年 証券法
Small Offering 500万ドルを非営利に回すこと情報の開示義務が発生しない。
・1964年 公民権法
・1967年 公正住民法
・1974年 信用機会均等法
・1975年 住宅ローン開示法
・1977年Community Reinvestment Act 営利民間金融機関による地域社会への資金供給が義務づけられている。
・1990年代 改正CRA CRA格付け制度の導入 各金融機関が地域の金融ニーズに対応しているかどうか評価する。
・1994年リーグル地域開発 規制改善法
→公的支援ファンド CDFIファンドを設立
※CRAは、営利金融に対する政策指導の性格をもった法制度
→営利金融と非営利金融の融合化を可能とした
<CDFI組織>
・CDB
・CDCU
・CDLF
・CDVC
・MDLF
・CDC
※財務省認定CDFI : 819団体 (2009年3月現在)
CDFIファンドの供与先として認定されると、活動がしやすくなるだけでなく、社会的な認知度も高まる
<CDFIの見方>
営利:健全性
非営利:健全性及びマネーの循環 (ダブルスタンダード)
→お金を地域のために回しているのか
<米国におけるCDFIをめぐる動き>
CDFIファンド強化
・Housing Economic Recovering Act of 2008
・American Recovery Reinvestment act of 2009
<コミュニティファンドについて>
・善意は必要 だが
・お金に余裕
・信用力
・元本の回収可能性 の確保をしなくてはならない
上記を補完するために、公的な仕組みが必要
→営利と非営利をつなぐ仕組み
<日本のお金の流れ>
・中央集権的
・東京の営業力
・薄れる協同組合組織
預金>貸金 (地方)
預金<貸金 (都内)
企業が育つためには?
・自ら寄付する
・銀行を選ぶ
・知り合いと資金を融通しあう
・自らバンクを作る
<アメリカと日本の金融ピラミッド>
アメリカと日本の金融ピラミッドは対称的
米国 銀行<協同組合金融<CDFI
日本 銀行>信用組合>NPOバンク
<ケーススタディ>
・ポストコミュニティーキャピタル(http://www.bostoncommunitycapital.org/)
→スラム街開発、住宅再生、治安回復、ボストン市当局と連携
・ロンドンCDFI フェアファイナンス(http://www.fairfinance.org.uk/)
・London Rebuilding society (http://www.londonrebuilding.com/)
・ドイツ銀行 マイクロファイナンス
(http://www.db.com/csr/en/content/microfinance_3827.htm)
→インドMFIに対する投資、7,500万ドルのポートフォリオ
→USAID、ドイツ銀行、DFIDが入ることで信用補完することで、シニア部分はマーケットで売却可能。
・郵貯ボランティア貯金
(http://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/tukau/fukusi/kj_tk_fk_volunteer.html)
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メールマガジン2009年4月7日 09:25
メールマガジン Piece & Peace No.004
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リビング.イン.ピース(LIP)メールマガジン Piece & Peace No.004 09/04/03号
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こんにちは。
第1回現地視察に続いて、第2回の現地視察レポートを代表の慎よりお届けします。
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2009年3月29日(日) 第一日目
ベトナム航空で、カンボジアの首都プノンペン入り。
空港を出ると、南国の暑さが迎えてくれる。日本の真夏くらい。
空港出口には、旅行客を捕まえるタクシーの客引きの人だかり。 「9ドルでホテルに
連れてっていってくれる」という客引きに、「そりゃ高いよ」と言ったが、ラチがあ
かない。タクシー業者でトラストを組んでいるようなので諦めて、9ドルでホテルへ。
町は、雑然としつつも活気であふれている。こういう雰囲気、すごく好き。
タクシーの隣を、家族5人乗りバイクが走り去っていったり。
タクシードライバーはボブディランを流していた。こんなところでLike a Rolling
Stone*2を聞けるとは思ってなかったのでびっくり。このCDは、日本人の旅行客がく
れたのだそう。
宿泊先で夕食。ココナッツミルクのたっぷり入ったカレーと、地ビールであるAngkor
Beer。とても美味しい。職場の人の忠告を守り、氷だけは飲まないように注意する。
食後ホテルでボーっとしていてももったいないので、プノンペン市街に繰り出す。
ここは、数か所以外に信号がなく、道路を渡るのもちょっと大変。路上で寝ている人も少なくない。一応蚊帳を張ってはあるが、決して快適ではなさそうだ。夜中に
ゴミ処理車が活動していて、街のいろいろな所に山積しているゴミを片付けていた。
道の片隅でトランプをしている人を隣で見ていたら受け入れてくれた。後でこの国
の至る所で感じることになるのだけれど、カンボジアの人たちは皆とてもフレンド
リーだ。
混じって一緒にトランプをする。6枚のカードが配られ、3枚と3枚の組み合わせ
でオイチョカブのようなものをするルールのようだけれど、やっている人たちはほ
とんど英語を使えないので、理解にてこずった。最初は勝っていたのだけれど、負
けがこんでしまい、終了。その場を後にする。
************************************************************ ********************
2009年3月30日(月) 第二日目
今日は、プノンペン市内のマイクロファイナンス金融機関を訪ねる。
CEOから直接プレゼンを受け、それ以外にもファイナンス担当者やITシステム担当
者からも話を聞く。
ITシステムが予想をはるかに超えて、しっかりと整備されていてビックリした。
現場担当者のインプットの質がしっかりと担保されているのなら、かなり確実に顧
客の信用情報を管理できていることになる。技術進歩はすごい。特に、それが多く
の国に直接移植できるという点において。ここのビジネスパーソンの多くは携帯を
持っているし、無線LANの設備も充実している。
僕の親であれば、今のカンボジアの状況は戦後間もないころの日本のそれに似てい
ると話すのかもしれない。ただし、唯一違うのは、いくつかのハイテク機器の存在
だろう。こういった技術の移転可能性があるからこそ、カンボジアの経済はアメリ
カや日本のそれに近づいていくことができるのだと思う。
マイクロファイナンス金融機関の人たちに、路上でトランプを一緒にしたことを話
したらビックリされた。ルールについて教えてもらおうとしたが、その人たちもあ
まり分からないようだ。
その後、このマイクロファイナンス金融機関の支店がある、Pursat *3まで車で移
動。プノンペンから北西に約170km。この幹線道路には信号が一つもない。道の
周りは多くが畑で、牛が普通に道を横断している。右側車線で、前の車を追い越す
ときには反対車線に飛び出してから追い越すことになる。なので、向かってくる
車と至近距離ですれ違うこともしばしば。お互い時速100kmくらいで走っている
ので、ぶつかったら大惨事になることは間違いない。交通事故も少なくないよう
だ。移動中に2件の交通事故を見かけた。比率としては、かなり高い。
Pursatに到着。標識にもほとんど英語を見かけない。外国人の姿も見られない。
さっそく現地でマイクロファイナンス金融機関から借入を行っている人のところ
を訪ねていく。
最初に訪ねたのはMen Pheroさん。6人家族のお母さん。
彼女は何回かの融資サイクルを経て、今は3種類のローンを借りている。一つは豚
の飼育、一つは警官たちをターゲットにしたモーテル、一つはタクシーのための
車の購入のため。最初は100ドルからの借り入れだったが、それを着実に返すに
つれ借入額は大きくなり、いま車について借りているローンは2,000ドル。満期
は2年で、金利は月に2.5%。これはかなり一般的なレートのようだ。毎月、金利
と元本の支払い額が決まっていて、彼女はそれを返済しないといけない。このロ
ーンでは土地の権利が担保になっている。また、彼女は借入の際に、その金額の
3%をデポジットとしてマイクロファイナンス金融機関に預けないとい けない。
グループ貸付・無担保というのが、マイクロファイナンスのステレオタイプとし
て語られることが多い。でもカンボジアではどちらかというと個人貸付の方が多
いし、担保がついている場合も少なくない。その意味では、カンボジアでのマイ
クロファイナンスと、普通の貸し付けを分けることは難しい。ただし、マイクロ
ファイナンスが登場する前までは、彼女のような人々は金融サービスに触れる機
会がなかった。今、彼女のビジネスは幸いにもうまく行っていて、家も大きくな
っているが、金融サービスがなければ、このような初期資本投資もできなかった
だろう。
彼女に、「最初にお金を借りるときは怖くなかった?」と聞いてみたると、「確
かに少し怖かった。だけど、自分が行うビジネスがうまくいくという確信があっ
たから、借入への一歩を踏み出すことができたの」と彼女は答えた。『ユヌス自
伝』に出てくる、最初に借入を始める人の話を思い出した。
もう一件を訪ねる。
今度の借入人は男性で、Chhoeum Bummarathさん。
大理石を削って置き物を作って売るのが彼の仕事だ。3回目となるローン金額は
1500ドルで、2009年3月30日の今日借りたばかり。満期は18カ月で、金利は月に
3%。 彼はこのお金で大理石を買う。それは、1kgで1.5ドル。50kg分の塊を買う
と、だいたい5体の彫刻品を作ることができて、それは平均すると20ドルで売れ
るのだそうだ。他のより小さいサイズの彫刻品も併せて、彼の一か月あたりの
売上は305ドルから360ドル。
うん?疑問が2つ。
50kgの大理石は75ドルする。これに彫刻を施して売ると100ドル。彼の一カ月の
売上が300ドルということは、彼は月に225ドルを材料費に充てていることになる。
1.じゃあ、そもそも彼はなんで1500ドルも借りる必要があるのだろう?
「残るお金はモーテル購入に充てるのだ」とのこと。なるほど。
本業で必要な運転資金は常に300ドル弱なので、このローンの主な使途はモーテ
ル購入ということになる。
2.彫刻稼業のキャッシュフローは回るのか?
彼の彫刻品稼業では、75ドルの原材料から100ドルの商品が作られる。ただし、
他に器具その他も買わないといけないので、これも考慮すると、彼の売上に対
する利益率は20%弱になる。ここから月の利子である3%を返済すると、15%
程度しか残らない。一カ月の300ドルの売上から手に入る収入は50ドルくらい。
この状態が続くのなら彼のキャッシュフローはちゃんと回るのだけれど、こ
の売上はかなり不確実だ。かつ、彫刻品の購入者の多くは観光客であること
も考えると、今後一気に売り上げが落ち込む可能性がある。
彼に聞いてみた。「本当にこれは返せると思う?」 すると、「このローン期
間に返さないといけないお金は2,000ドル弱だけど、全部返した後に500ドル
くらいは手元に残る計算でいるよ」という答えが返ってきた。
僕たちが直接会えるということは、今日会った2人は成功事例なのだろう。
これは日本でも同じだと思うけれど、お金を稼ぐことは決して簡単じゃない。
でも、失敗を恐れずにビジネスを始めようとする人のために、マイクロファ
イナンスは力を貸してあげることができるのだと感じた。
でも、この人たちが事業で失敗したら?残念ながら、まだこの国では、セー
フティネットは十分ではない。
また、マイクロファイナンスでお金を借りると、その次の月から返済が始ま
るため、借り手には早期に稼ぎを出せる事業を選択するインセンティヴが生
じる。これが昂じて、国の産業の在り方が変化する可能性があるのではない
かと、少し不安になった。 カンボジアでは、国民の80%が農業従事者で、
貧困層は農業従事者に集中している。マイクロファイナンスによって、これ
まで農業に従事していた人たちが、離農してしまう可能性があるのだ。もち
ろん、農業ではなくても生産性の高い事業を行えることができれば問題は な
いのだが。
一人当たりの貸付金額も決して高くないため、農業従事者に対してはグルー
プ貸付を提供している場合がほとんどだ。その代り、今日会ったような個人
事業者は個人で担保をつけて借入をしている場合が多い。
その日は現地のホテルへ。インターネットは一切使えない。
僕たちを案内してくれた人たちと一緒に食事をする。カンボジアでは、どこ
で食事をしても全部とても美味しい。
その日は片頭痛がやってきた。夕方の8時に就寝して、11時間寝ることに。
夢の中でも片頭痛から来る熱に浮かされたのだけれど、夢の中でトライアス
ロンのアイアンマンレースでゴールした直後に、一気に楽になる。
*1 慎は朝鮮籍保有者です。この国籍は、植民地後、日本に住んでいた朝鮮
半島出身者に便宜的につけられたものです。韓国籍を取得した人は、国籍
保有者としてみなされますが、慎の家庭ではそうしておらず、法律上は無
国籍者となります。そのため、パスポートも保有しておりません。
*2 YouTubeでのライブ映像。 http://www.youtube.com/watch?v=xO0gSJGJ7Fs
*3 カンボジアの地図。http://www.maplandia.com/cambodia/pursat/
************************************************************ ****
いかがでしたでしょうか?前回までのマイクロファイナンス機関の説明に
加え、慎や私たちの考え方についても、少しはお伝えできましたでしょう
か?
それでは。
************************************************************ ****
代表の慎が今月、ダイヤモンド社より本を出版致します。タイトルは『15歳からのファイナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?』、 こちらも宜しければ、まずは書店で手にとって頂ければと思います。
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勉強会・セミナー2009年4月3日 18:39
メールマガジン Piece & Peace No.003
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リビング.イン.ピース(LIP)メールマガジン Piece & Peace No.003
09/04/01号
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こんにちは。
リビング・イン・ピース(LIP)の神谷です。
前回に続いて、コミュニケーション・チームの土屋亮より、現地レポートをお送
りします。土屋は無事に帰国し、現在は代表の慎ほか1名が現地を訪れています。
************************************************************ ****
2009年3月20日(金) 第三日目
昨夜に合流したLIPメンバー1人も加え、私を入れて計3人で朝食をとりながら本
日の作戦会議。質問事項などをしっかりと確認。
今日の予定は、投資先候補である2つのマイクロファイナンス機関( Cambodian
Health Committee
Limited:CHCとSeilanithih(セラニティ))の本部を訪問し、データでは分か
らない人間的な部分を見ること、言うなれば感性デューデリをすることだ。
朝食後、今回の訪問を仲介し同行してくださるCARD Cambodia(CARD
Bankはフィリピンで生まれた有名なマイクロファイナンス機関だけど、カンボジ
アでも支援活動を行っている)のRoseさんとホテルにて合流。電話ではおしとや
かな英語を話していたので、待っている間はちょっと緊張。実際に会ってみる
と、とても気さくで話しやすい女性だった。歳は・・・初対面で聞けるワケない
けど、20代後半くらいかな??(笑)
まずはCHCへ。
さすがに昨日の飛び込みインタビューとは違って、Roseさんの仲介があったの
で、すぐに奥の部屋に通されジェネラル・マネージャー(GM)以下数名の幹部メ
ンバーと名刺交換。1時間程度お互いの活動や事務的な項目を確認した。
先方の私たちに対する姿勢も非常に好意的。「もし現地ツアーみないなものを計
画するとしたらどこか実際の貸出顧客のところまで日本の投資家を連れていって
もいいか?」と聞くと、GMがすぐさま「もちろん!」と返してくれた。
一通り話が済んだ後、日本のお土産を渡す。実はLIPメンバーの考案で、先方も
時間を割いてくれるのに手ぶらで行くのも気が引けるから、100円ショップグッ
ズをお土産として持参。実際に渡すととても喜んでくれ、GMとがっちり握手まで
できた。その時に、先方からも、同行したLIPメンバーからも、写真を撮られ、
何だか首脳会談をしたような気分だった(笑)
その後は実際のCHC顧客を3件見学させてもらった。
- 借り入れたお金でバイクの部品工場を営んでいる男性。
- ミシンを買って主にドレスを作ってそれをレンタルしている女性のその姪っ子。
- グループでローンを組んで、そのおカネでブロックを積み上げて以前悩まされ
ていた洪水から解放された女性。
彼らはほとんど英語を話せないので直接はコミュニケーションをとれなかった
が、突然の訪問にもかかわらずサッと椅子を差出し、笑顔でCHC社員を介した通
訳インタビューに応じてくれていたのが印象的だった。
ドレスのレンタルを営んでいる女性の姪っ子は英語が少しできたので話を聞くこ
とができた。彼女は日本にもとても興味があるらしく、「お金がたまれば行きた
い!」と笑顔で語っていた。もし彼女がマイクロファイナンスで自立して、貯金
ができて日本に来て再会できたらさぞかし感慨深いのだろうな…
ちょっと奇麗事のように聞こえるかも知れないけど、実際に現場に行って彼らの
笑顔のために仕事をしてるのだと実感すると、お金ではない確かな「やりがい」
のようなものを感じた。
昼食後、セラニティへ。
ここは先のCHCよりも規模が小さいようで、CEOが1人でプレゼンやQ&Aに応じて
くれた。それにしてもよく笑うCEOだった、多分2、3分に1回は「ガハハハ!」と
笑いを炸裂させていたような気がする(笑)
ここでも、CHCと同じくらい協力的な姿勢を確認できたので、ひと安心。お土
産、喜んでもらえた。
その後はプノンペン市内にある支店の1つを訪問。20代前半の若い行員女性2、3
名が照れながらも応じてくれた。
ここでまた同行してくださったセラニティCEOが「そちら(同行したLIPメンバー
3人)で独身の人は誰?こっちの女性陣は皆独身だよ!ガハハハ!」と炸裂トー
クをしてくれた。CEOの意図はどうであれ、ちょっとは行員の緊張も和らいだよ
うで、普段の雰囲気を感じることができた。
今日の訪問ここで終了。
今日1日の予定をアレンジ・同行してくれたRoseさんに日本から扇子のお土産を
渡し、明日の予定(Roseさん他数名のCARD
Cambodiaメンバーとミーティング予定)を確認。
うん、今日も昨日と同じくらい精力的に動いたからよく眠れそうだzzz
************************************************************ ****
2009年3月21日(土) 第四日目
カンボジア4日目にして最終日。
今日は土曜日のためMFI訪問の予定は特になし。午前はパッキングとこのレポー
トをまとめる作業、それに、このところ見ていなかったウェブ・メールをチェッ
ク。日本でも着々と作業が進んでいるようだ。
昼は、これからいろいろお世話になるであろうCARD
CambodiaのRoseさん他数名のメンバーと、関係構築も含めてランチミーティン
グ。どうしても、地理的に私たちが頻繁にカンボジアに足を運ぶことが難しいた
め、現地に滞在している彼女たちのサポートは不可欠なのである。
Roseさんは自分から「Do you mind if I ask you your
age?(年齢をお聞きしても宜しいですか?)」と言っておきながら、実際に私た
ちが20代だと知ると、何故かショックを受けたようだった(笑)LIPメンバーの
写真を見せながら、私が「これが代表の慎ですよ」と言うと、これまた「He
is so young!(若すぎる!)」と驚愕の表情を見せていた。
お腹も満たしたところで、お土産を買いにヤミ市場のようなところへ。Roseさん
曰、くここは英名がRussian
Marketらしいのだが、どこを見てもロシアの面影は何一つない。それはさてお
き、市場では箸セット(明日は新婚の友人新居にお邪魔するので)と360°に開く
形の扇子を購入。
驚いたのが、今年のアカデミー賞を総なめにしたSLAMDOG MILLIONAREがもう海賊
版で出回っていたこと。早いな…
次にスーパーに向かい、会社用のお土産を購入。社会人でよく旅に行く人は、同
じような問題を抱えていらっしゃると思うのだが、特に途上国のような場所で会
社用のお土産を買うのは難しい。基本的に食べ物でなければただの荷物→ゴミに
なってしまう可能性が大きい。闇市で売ってる食べ物なんて、もちろん検疫で
引っ掛かる・かといって休みをもらっているので手ぶらで帰るわけにもいかな
い…となると、最終手段は空港で高い代金を払って現地のラベルが貼ってある
(実際に生産はしてないだろうが)チョコか何かを買う羽目になってしまうの
だ。ただ今回は、立ち寄ったスーパーで、カンボジア製というラベル付きのクッ
キーセットを幸いにも見つけることができたので、即それに決定した。
その後少しカフェで時間を潰した後、空港へ。4日間の滞在は本当にあっという
間だった。
この滞在で気付いたこと。
・日本では机上でしかMFを学んでいなかったが、現地を回ることによって自分
たちがやろうとしていることの大きさや、社会的意味などを改めて強く実感した。
・CHCとセラ二ティのデータ的なデューデリは既に日本で済んでい たが、やはり
実際に彼らに会って数字では分からない雰囲気をつかむことができたことも大き
な収穫だった。これからWeb2.0時代が本格化していくにつれてますます距離の壁
は小さくなっていくが、何をやるにしても最後はやはり人と人が実際に会うこと
がポイントなのだと感じた。
・LIPメンバーで今回の同行者に本田という姓の者がいるのだが、 やはりアジア
地域では絶大な威力を発揮するのだと思った。自己紹介の時の人々のリアクショ
ンが私とは明らかに違う(笑)あっぱれHONDA。
これからもどんどん現場を飛び回っていきたい。
************************************************************ ****
いかがでしたでしょうか?少しは、カンボジアでのマイクロファイナンス機関の
様子や、私たちがどういうふうに投資先候補先とコンタクトしているかが、 お分
かりになられましたでしょうか。
なお、代表の慎の滞在記はリアルタイムでブログに書き込まれております ので、
ご覧ください(http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/)。また、同ブログでも
紹介されておりますが、慎が今月、ダイヤモンド社より本を出版致します。タイ
トルは『15歳からのファイナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間
にしたのか?』、こちらも宜しければ、まず
は書店で手にとって頂ければと思います。
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勉強会・セミナー2009年4月1日 18:38
メールマガジン Piece & Peace No.002
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リビング.イン.ピース(LIP)メールマガジン Piece & Peace No.002 09/03/23号
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こんにちは。
リビング.イン.ピース(LIP)の神谷です。
前回のメール・マガジンでご案内していましたが、LIPのメンバー3人がカンボジアの
マイクロファイナンス機関の視察に行っています。
コミュニケーション・チームの土屋亮より早速、現地からのレポートをお送りします。
************************************************************ ****
2009年3月18日(水) 第一日目
プノンペン空港に降り立つ、お、日本と同じ湿気たっぷりの夏の気候がここには
一足先に来ているようだ。
アジアの夏はどこも似たようなものなのかな?
さてさて、まずはメールをチェック・・・
え、ブラックベリーが圏外で使えない!!
昨年の夏にガーナとトーゴに行ったけど、そこでは使えていた。アジアならどこでも
大丈夫だろうとタカをくくっていたら、いきなりの不意打ち。
日本のLIP仲間に連絡しようにも、どこを見渡しても公衆電話が無い。案内所で
聞いたら「ポストオフィスに行け」と。
ポストオフィスには公衆電話があるのかと思いきや、こちらがかけたい番号を書いて、
どう見ても個人の私物にしか見えない携帯電話でおばちゃんがかける・・・
あいにくつながらず、他の仲間の番号にもいくつかチャレンジ。
うん、みんな仕事があるから忙しいんだな。
そして留守電につながった分、しっかり料金取られたさ。
インド系なまりの英語で「とぅーだらーず(2ドル)」。
ぼったくりなのか、カンボジアの国際電話料金が高いのかよく分からず、ここで
言い返すのも面倒だから支払った。(注1)
とりあえず、別便で合流する仲間が来るまで到着ロビー近くのフードコートで
腹ごしらえ。
うん、腹が減ってる時の飯は何でもうまい!
ふと店内のドアを見渡せば、ドアボーイもどきでその日のお金をやりくりしている
少年を発見。
もちろんこれは世界のどこでも割と目にする光景だけれども、改めてMFの活動を
通して、お金をあげる/与えるという関係ではなく、融資/活用という流れを日本
から作る使命感のようなものを感じた。
仲間と何とか合流し、東南アジア特有の交通手段トゥクトゥクでホテルへ。運転手
が我々の告げたホテルを知らなかったというオチが道中に発覚したが、仲間に道を
聞いたらしく無事到着。
部屋に入って間もなくすると、代表の慎から電話が。我々のチェックインが予定
よりも遅くて心配をかけてしまったようだ。
ふと時計をみると、午前0時を回っている。「え」、ということは日本は+2時間の
時差だから午前2時過ぎ!?
「そろそろ帰社しようかな・・・」とつぶやく彼。彼も第二陣で現地に入るので、
その有休の為に必死で働いているのだと悟る。
決して弱音は吐かないが。いやー、代表がここまで体張ってるんだからこっちだ
ってやるしかない!
そう思って初日の床に着く。
注1
この方がそうかどうかは分かりませんが、最近では最もよく見られるマイクロク
レジット起業の1つ。
女性たちが、マイクロクレジットで携帯電話を買って、使用料を取る。融資を
受けた次の日から収入が発生するため、マイクロクレジットの趣旨にも
合致している。
************************************************************ ****
2009年3月19日(木)
今日の予定:マイクロファイナンス機関(MFI)の支店を見て回り、実際にマイクロ
ファイナンス(MF)が人びとの生活にどの程度浸透しているのか、支店の雰囲気は
どのようなものか、を肌で感じてみる。
朝食後、まずはyellow pageで行く場所をリストアップ。規模の大小に分けて、
それぞれ一つずつ回ることにした。yellow
pageでは、規模の大きいMFIは”Banking”のカテゴリーだったが、小さいところは
”Aid”としてカテゴライズされていた。
最初は規模の小さいChamreum(チャムロン)というMFIの支店へ。
MFIの調査をしているので話を聞かせてもらえないかと頼んだところ、たまたま
支店長(といってもまだ20代)が帰ってきたところだったので話を聞くことが
できた。細かい話は本部の許可が必要なためできないとのことだったが、 以下
の内容は分かった。
・個人ローン、グループローンなどいくつか種類があるが、最低200,000リエル
(約50米ドル)から貸出をしている。
・貸出のプロセスは、
借り手の来店
スタッフが自宅訪問をし、実際にその人のビジネスがうまくいく見込みがあるか
どうかなどをデューデリする(※注2)
再び借り手が来店し、返済のためのレクチャーを受けた後、実際に融資を受ける。
・貸出対象者は、ビジネスを自分でやっている人。
とのことだった。
その他、最近Chamreumが取り上げられたプレスリリースが張り出さ れていた。
彼らは、他の多くのMFIが「Richest of poor(貧困者のなかの富裕者)」に
貸出しているのに対し、「Poorest of Poor(貧困者のなかの貧困者)」に貸出て
いるとのこと。確かに店に来る人の身なりからも、敷居の高さは全く感じなかった。
子ども連れの母親、老人、若者・・・我々の取材中にもわりと頻繁に人々が出入り
していた。
次に大規模MFIの一つ、Aceledaへ。
ここは、4・5人の警備員ががっちり目を光らせており、入口からして先の
Chamreumと明らかに違った。
店内も普通の銀行とほぼ変わらず、Chamreumがカウンターでの応対ブースで
あったのに対し、ガラス越しに店員とやりとりする形だった。
こちらもあまり詳しい事は聞けなかったが、支店長が「我々は金融危機の前は
カンボジア第二の規模だったが、金融危機後は第一位になった!」と豪語して
いたのが印象的だった。
2つの支店周りを終え、規模の違いや敷居の高低はあるにせよ、どちらの店も
そこそこ人が出入りしていることから、MFがカンボジアに浸透している様子は
実感できた。
また、私たちがアポ無しで訪問したにもかかわらず、忙しい立場の支店長が
割と丁寧に対応してくれたと感じた。
注2
デューデリジェンスの略。 デューデリジェンスは、英語のDue(当然の、正当な)と
Diligence(勤勉、精励、努力)を組み合わせた言葉で、直訳すると、
「当然の努力」の意。そこから派生して、金融用語では主として投資・取引先の
リスク洗い出し等の詳細調査を指す。
************************************************************ ****
いかがでしたでしょうか?少しは、カンボジアでのマイクロファイナンス機関の
実際の様子が、お分かりになられましたでしょうか。
引き続き、現地からのレポートをお届けしますので、楽しみにお待ちください。
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