未電化ソーラー市場トレンドレポートより (I)

2018年7月26日
途上国未電化家庭用太陽光システムファンド

やっと破壊的に忙しかった状況が一段落しました.まだいろいろあるにはあるのですが,これから,ブログの頻度も上げていこうと思います.

コントローラーの製作は,佳境に入っています.
 
今回は,現在の世界の未電化地域用ソーラー製品の市場の状況を分析した “The 2018 Global Off-Grid Solar Market Trends Report” というレポートを紹介いたしましょう.
 

 
今回は,市場の概況を,次回はその中でビジネスを行うにあたっての,重要なポイントをみてみることにします.
 
 
市場の大きさ という点で,このレポートの特筆できる点は,不安定なグリッド(電気が来ているけど停電などが頻発するケースで統計の正確性はやや怪しいですが)の推計も行っているということです.グリッドが来ていないところとほぼ同じ規模のポテンシャルがあることがわかります(それぞれ 2億世帯程度で 10億人ずつですね).また,その数は プラスマイナスの要因が打ち消し合って,ほぼ安定しています.新規購入者だけでなく,既存のアップグレードや買い換え需要も 1.2億世帯と 3割近くにのぼる大きな市場だと言うことが分かります(彼らはSHSの利点をよく知っていて,かつ TVなどの新しい価値を求めるため,購入のバリアが小さく,われわれのビジネス面のターゲットとして重要です).
 
 
不安定なグリッドの現況(主として都市域)は,上図のように,「回数」の多い国ではほぼ毎日停電が起き,「一回の停電の時間」は,最低でも 1時間程度,普通は 5時間程度といったところでしょうか.別のレポートですが,このような状態で,ユーザーは大きなフラストレーションを覚えるようです(とくにTVなどを見ているときには).
 
 
上図は,こんどはオフグリッド(未電化)家庭における 伝統的照明用燃料(ほぼ灯油ですね)のコストと,携帯電話(どの家庭にもほぼあります)の充電コストです(年間).エチオピアは 平均 120ドル程度で少なめですが,その他のアフリカ諸国では 200ドル前後 です.言い換えると,その 1/10 程度は,彼らは(分割払いなら)毎月 払えるということです.SHSは 伝統的なものよりはるかに明るく,便利ですから,それを望む「欲求」も,加味されます.とくに誰か身近な人が持っている場合には 満足度を実感できますし,別レポートでは「人々をもてなす」という点でのインセンティブも強いようです.
 
一方で,Ability-to-Payに関するサプライヤーインタビューや,Lighting Globalなどのデータベースからの,「月賦」よりも「初期費用(頭金)」の重要性を念頭に置いた分析では,20ドルだとポテンシャルの 72%が購入可能ですが,36ドルになると それが 12%に落ち込む という結果が出ています.このあたりに閾値があるようですね.
 
 
まだまだ,興味深い分析はあるのですが,きょうはこのくらいで.

次回を,乞ご期待!


松尾 直樹


P.S.
すこし前に紹介した パリ協定のルールデザインに関するレポートが完成しました.
パリ協定のルール設計: 透明性を超えた実効性のある枠組みをどう創るか?」というものですので,ご興味がある方は,こちらもどうぞ.
英語版もあります.


ファンド情報

途上国未電化家庭用太陽光システムファンド
株式会社PEARカーボンオフセット・イニシアティブ
会計期間
2019年1月1日 ~ 2021年12月31日
一口
10,500
償還率
3.98 %
参加人数
526
調達実績
17,490,000
【ご留意事項】
当社が取り扱うファンドには、所定の取扱手数料(別途金融機関へのお振込手数料が必要となる場合があります。)がかかるほか、出資金の元本が割れる等のリスクがあります。
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