日本とアメリカのカレッジスポーツの圧倒的な環境の違いを目の当たりにし、東大アメフト部ウォリアーズは世界基準の環境整備を掲げて、安全対策の徹底やトレーニング環境、指導者の充実を実行してきました。
東大ウォリアーズは2017年からこのような改革を始動し、2018年シーズンには関東トップリーグである1部リーグTOP8に昇格が決定し、以降TOP8で学生日本一を目指して戦っています。
日本でも学生スポーツの改革の動きは徐々に出てきてはいますが、まだまだ大きな波にはなっていません。
東大ウォリアーズが学生日本一になれば、「東大がこんなに強いなんて、何かが起きているのでは?」と世間の注目を一気に集めることができます。こうして東大ウォリアーズの取り組みを世の中に発信していくことで、先導となってカレッジスポーツ全体を改革していく。ウォリアーズが日本一になれば東大卒業生の愛校心をも刺激し、東大への寄付の増加などに繋がればそれは東大の改革にも繋がります。日本の大学の象徴である東大が変われば日本の大学全体の改革にもつながり、それはやがて日本を再び蘇らせることになると信じています。
現在、世界大学ランキングを見るまでもなく、日米の大学には大きな差が開いてしまっています。しかし、東大(29位)の学生と、ハーバード(3位)やスタンフォード(2位)の学生のレベルに、それほど差があるのかというとそんなことはないはずです。この差を作っているのは何なのでしょうか。それは圧倒的な環境の違いです。そして、この圧倒的な環境の差を生み出しているものの一つは、スポーツの力だと言われています。
大学ランキングの話をしましたが、これは学生にフィーチャーしても同様のことが言えます。ハーバードやスタンフォードの学生たちは、NFLやNBAという世界最高峰のプロスポーツリーグで活躍するほどの選手でありながら、医者や弁護士、学者、起業家、経営者、スーパーサラリーマンとしてグローバルリーダーとして大きく躍動しています。大学入学時の18歳の時点では、東大、京大、一橋、早慶の学生と彼らには大して変わりはありません。でも、4年間で大きな差が生まれてしまうのです。この原因は環境、それだけです。ハーバード、スタンフォード等の学生たちの環境がとにかくすごい。その背景には、スポーツが大きく関与していると言われています。
その話で外せないのが、大学スポーツなのです。冒頭で、大学スポーツは教育だと言いましたが、具体的には二つの意味で教育だと思っています。一つは、リーダーシップやチームビルディング、強靭な精神力、弱者に対する慈しみの心など、机上の勉強では学べないスキルを身につけることです。もう一つは大学スポーツが生み出す莫大な富が、アカデミックの分野も含めて大学に還元されることで大学全体のレベルの裾上げ が行われるという意味でです。
学生スポーツの生み出す富について、日本の高校野球と全米の大学バスケットボール選手権大会 ( マー チ・マッドネス ) を比較しながら紹介します。マーチ・マッドネスは、全米大学ナンバーワンを決める大会で、とてつもない規模で開催されていて、ものすごく人気があります。この二つのスポーツイベントは、実は観客数と視聴率に関しては同じくらいの数字なのですが、夏の甲子園大会の収入が約8億円なのに対して、マーチ・マッドネスは約140倍の1100億円です。この1100億円から運営費を引いた金額が、各大学に還元されます。資金が大学に入ってくるわけですから、学部の施設を拡充するために使っても、教授の研究費に回してもいいわけで、結果として研究領域を含む大学全体の価値が高まっていくことになります。
この大学スポーツの生む富はチケット収入やグッズ収入といった直接的な利益に限らず、チームの活躍による大学への寄付金などもそうです。例えばハーバード大学では、教授がノーベル賞を受賞しても大学自体への寄付はそれほど増えませんが、アメフト部が活躍すると一気に寄付が増えるそうです。卒業生にとってはアメフト部の活躍は愛校心を刺激されるのでしょう。皆さんも同様のことを感じた瞬間はあると思います。例えば自分があまり知らない競技でも、ワールドカップで日本代表の試合を応援したり、高校野球で自分の出身県の高校を応援したりしたことはあるのではないでしょうか。これこそスポーツが人々のロイヤリティを刺激している象徴です。
アメリカではスポーツが大学ののれんのような役割を果たしていて、母校愛をアクティベートして収益を得られるシステムを作り上げてきたのです。しかしアメリカの大学がスポーツに力を入れて多額の寄付金を集められるようになったのは、つい20年前、30年前のことです。そういった意味では、日本の大学もやり方次第では今よりもはるかに多額の寄付金を集めることができると考えてます。また大学スポーツ全体でも、この母校愛をマネタイズしたアメリカの大学スポーツは、 1年間で1兆4300億円もの収益をあげており、アメリカの4大プロスポーツにも劣らないほどの収益となっています。しかも、出身者の誰かが研究等で功績をあげたとしても、そう簡単に寄付は増えませんが、大学のスポーツチームが活躍するとあっという間に莫大な額の寄付が集まる。東大も多くの寄付を集めてはいますが、その規模は100億円や200億円です。一方、アメリカの大学は兆単位、つまり二桁違う寄付金を集めており、そこで大きな差ができてしまっているのです。
このような日本とアメリカのカレッジスポーツの圧倒的な環境の違いを目の当たりにし、東大ウォリアーズは世界基準の環境整備を掲げて、安全対策の徹底やトレーニング環境、指導者の充実を実行してきました。東大ウォリアーズが学生日本一になり、ウォリアーズの取り組みが世の中で注目されることで、ウォリアーズが先導となってカレッジスポーツ全体を改革していけると信じています。
また現在、東大ウォリアーズの日本一に向けたシーズンを戦っており、10月27日には横浜スタジアムでの試合も予定されております。ぜひ一度会場で試合の熱気を味わってみてくださいませ。
詳細はhttp://www.tokyowarriors.com/2024autumn/からご確認ください。
【主将小城陽人からのメッセージ】
東大アメフト部WARRIORSは現在関東1部のTOP8で戦い、スポーツ推薦のあるアメフト経験者ばかりの私立の強豪校を倒して、日本一になるという目標を掲げています。そのために大きく強い体を作るための補食や、頭部外傷などの怪我から身を守り安全にアメフトをプレーするためのしっかりとした防具を揃えることも必要です。自分がこの部に在籍している間においても年々環境が良くなり日本一への道が近づいていると感じており、皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。少しでも多くの方々にWARRIORSの活動に賛同していただき、ご支援いただけることを願っております。