百年の森を育てる - ニュース -
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インタビュー・メッセージ2010年12月13日 00:00
ファンドへの出資は10年間の約束 出資者インタビュー
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ファンドへの出資は10年間の約束
Q. 「西粟倉村共有の森ファンド2009」( http://www.tobimushi.jp/ )に参加いただいていて、現地を7回も訪れていらっしゃる亀田さんに、お話をおうかがいしたいと思います。出資をしていることで、事業者であるトビムシや、西粟倉村の人たちと、ちょっと普通とは違う関係かな、というようなところはありますか。
「共有の森ファンド2009に出資いただいており、インタビューに応じていただいた亀田さん」
A.出資者と言う立場ではありますが、トビムシや森の学校、西粟倉村と「仲間」になったという感覚でいるところが、普通の投資とは、ちょっと違うかもしれません。
最近ファンド仲間とよく話すのは、「ファンドに投資したっていうのは『10年間の約束』だよね」ということです。つまり、「10年間しっかりお付き合いしますよ」ということで、出資者である私の立場からすれば、「ちゃんと見ているよ」、「応援しているよ」というプレッシャーをかけ続ける約束なのかもしれません。トビムシや現地の方には、よく冗談で「(出資金が)返ってくるか見てますから(笑)」とは言うんですが。
とはいえ、決して上下関係という意識ではないのが面白いです。
もちろん、投資家割引をしてもらったり、希望すればツアーのアレンジをしてもらったりと、たくさん助けていただいています。それに、事業者であるトビムシからは、ちゃんとニュースレターや郵便物で報告が来るので、安心感がありますし。
私としては、面白そうというか、ぜひ実現して欲しいというプロジェクトなので投資をしたので、変な話、ファイナンシャルリターンは私にとっては、どうでもいいというか、最悪返ってこなくてもいい。返ってきたらオマケでラッキーくらいのイメージで始めました。でも、寄付したくらいの気持ちとはいえ、返ってこなかったら、たぶんがっかりするんですよ(笑)。
こういう気持ちは、出資をしていない場合とは違うのかなと思います。ただ面白いから西粟倉村へ行ったりするのとは、やはり違って、5万円でしかないですけど、本気感はあります。
自然・プロジェクト・人間が西粟倉の魅力
Q. 『10年間の約束』というのは良い言葉ですね。そういう約束のなかで、現地に7回も訪れられているわけですが、縁もゆかりもない場所に、それだけ行かれるのは、何らかの魅力が「西粟倉村」にあるのだと思うのですが、魅力はどんなところにあるのですか。
A. 私にとっての魅力は、3つほどあるように思います。1つは、"自然が美しい"ということですね。ブナの原生林や、地元の方がしっかり管理している山は美しくて、訪問するのが楽しいです。
「西粟倉の原生林を訪れているところ」
2つ目は、"林業を帰る先進的な取り組み"に感動したことです。初めて西粟倉を訪れたときに、トビムシの方から、スキーム図を見せてもらったんことにあるんですよ。
まだファンド募集が始まる前の昨年2月に、1つのパソコンを皆で囲んで「これ本当にできたら凄いよね!」ということを言い合いました。その時まだ「絵」でしかなかったものが、本当に実現するのかどうかを見たい、出来る範囲で協力したい、と強く思いました。
3つ目は、やっぱり"人との出会い、つながり"だと思います。西粟倉への熱い想いを持った地元の人たち、寝食を忘れて頑張る森の学校のスタッフや役場、森林組合、Iターンした職人さん。なかには、始めに、「西粟倉村共有の森ファンド2009」へのお金の投資をして、時間を投資して、就職をして、人生を投資してしまった私の友人もいます。皆さんすてきな方なので、「最近どうしているかなぁ」と思うと、つい会いに行ってしまいますね。
「西粟倉共有の森ファンドに出資をし、西粟倉で就職をし、人生を賭けてしまった坂田さん」
日本全国を変える可能性があるイノベーションの種を見られるのが醍醐味
Q. 面白そうなことをやっている場所には、人が人を呼ぶという連鎖が起こっていくのですね。亀田さんも「面白そうなこと」を西粟倉村や今回のファンドに見つけたので出資をされたと思うのですが、具体的には、どういうことですか。
A. トビムシや森の学校の皆さんの姿勢に共感しています。もちろん西粟倉で頑張ろう、何とか突き抜けていこう、というのを大前提とした上で、日本全体の林業、第1次産業をどうしようかというところまで考えているのが、とても興味深いです。
だから、「西粟倉村共有の森ファンド2009」に参加している醍醐味は、イノベーションの種を初期段階から見守っているところにあるのかなと思います。
日本の林業というのは、いろいろ難しい問題をたくさん抱えていそうなんですが、だれかが変えていかなくてはならないのだと、西粟倉を見ていて改めて痛感します。そのためには、様々な地域での成功事例というのがあって、それをモデルにして、どう法制度を変えていくのかとか、そういうところまで踏み込んでいくことも必要なのかもしれません。西粟倉が成功モデルとして輝いていくのが、パイオニアのあって欲しい姿ですし、これからも都会に住んではいても、「仲間」として、出来る範囲で応援していきたいと思っています。
「出資者と西粟倉の方との懇親の風景」