百年の森を育てる - ニュース - 2012年01月
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2012年1月30日 17:30
株式会社森の学校 牧大介代表インタビュー 2011年を振り返る
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岡山県西粟倉村で最大規模の民間企業に
Q. 株式会社森の学校の現状を教えていただけますか。
A. 森の学校が活動する岡山県西粟倉村にある純粋な民間企業としては、売上で見ると、地域のなかで最大規模になることができました。現在は、社員23名、アルバイト・ パート7名が働いています。商品の面では、 無垢床タイルが300枚/日くらいのペースで生産できるようになり、主力商品になってきました。無垢床タイルの主たるお客様は、オフィスです。たとえば、東京のビルのなかのオフィスの改修の依頼をいただいた場合、お客様がセルフビルドで、家具や内装の組み立てをするようなサービスが一番伸びています。ワリバシは遅れてはいますが、本格的な生産体制がまもなく整うので、来年はワリバシの売上も期待できるのではないかと思います。
無垢床タイルに加えて、ツアーも伸びてきています。あと、嬉しかったのは、 ファンドメンバーの方が、ツイッターやフェイスブックで宣伝をしれくたこともあって、お米がよく売れたことです。西粟倉村の農家さん18人くらいが、森の学校を通じて、直接、お客さんに販売するというチャレンジを始めていただきました。皆さん、これまでは「農協に売るしかない」と思っていらっしゃったと思うんですけれども、チャレンジしてくださいました。
夏に、18人分の農家さんのお米5トン分くらいの年間契約をしてくれるお客さんを募集しまして、4日で完売しました。ファンドメンバーの方や西粟倉村に関心をもってくださる方がいらっしゃるお陰だと思います。
間伐が進み、商品も生まれるようになった結果、新たな課題も
Q. この1年間で進んだ部分を教えていただけますか。A. 間伐が進むようになった結果、2010年に比べて2011年は森から出てくる木の量が増えてきてました。これに合わせて売上も増えてきて、地域の雇用につながっている量も増えてきていると思います。
Q. 課題は、どのようなところにあるのでしょうか。また、4台の林業機械のうち、1台が稼働できていない期間がありましたが、その理由と対策を教えていただけますか。
A. 木材を加工して商品にして販売していくという流れが出始めたので生まれた、新たな課題ではありますが、間伐して供給される木と、お客様から依頼がある需要のある木のタイミングがかみ合わないことがあるということです。今年からは、役場、森林組合、森の学 校の連係をこれまで以上に密にして、あらかじめ木が必要になるスケジュールや量を共有していきたいと考えています。
また、1台が稼働できなかったのは、集約化が充分に進まなかったことが理由です。村民の方のなかには、「村に山を預けても大丈夫なのか」と考えていらっしゃる方がいらっしゃいます。
とはいえ、売上も伸びつつあり、結果が出始めています。こうした結果を見ていただければ納得していただけると思うので、「もうちょっとかな」というところです。ある面では、地域の人の方が「林業なんて儲かるはずがない」ということを実感されてこられたので、実績をベースに分かりやすく伝えていきたいと考えています。
経営基盤の安定化を目標にQ. 最後に、今年の抱負を教えていただけますか。
A. 森の学校も3年目になるので、しっかりと結果を出していきたいと考えています。数字の面では、昨年の売上金額を、2倍、3倍にして、経営基盤を安定化させたいです。そのために、一つは家具商品や床板も新商品を増やしていきます。もう一つは、国産材の消費を増やそうという動きが東京都港区など行政を中心に見えつつありますので、今年中にしっかりと足場を固めて、来年以降に備えていきたいと考えています。
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2012年1月30日 17:15
トビムシ&ワリバシカンパニー 竹本吉輝代表インタビュー 2011年を振り返って
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変わらないために変わった2011年
Q. 株式会社トビムシにとっての2011年を振り返っていただけますか。
A. 2011年のトビムシにとって一番大きかった変化は、9月30日に、起業以来支援いただいてきたアミタホールディングス株式会社と資本関係を解消することになったことです。
この大きな変化がきっかけで、社員ひとり一人が、「なぜトビムシはあるのか」「なぜ自分はトビムシにいるのか」、といったことに、改めて真摯に向き合える、深く思考することができたと思います。実際、3期目でもあり、節目となる年でした。
ただ、あくまで「変わらないために変わった」のであり、トビムシはトビムシのままでなければいけないし、これまでの方向方法でいかなければならない、ということを再確認することができました。改めて、これまでと変わらずに進められる状況が整ったとご理解いただければと思います。
これまでのトビムシの3期は開発を続けてきた3年で、ようやくその開発がひとつのフェーズとして終わりました。マーケット、そのマーケットに提供するプロダクツ、そのプロダクツを提供するための設備(機械)、その全てを開発してきた3年です。
今年からは、これまでに築いてきたものをきっちり運用、稼働させ、その精度を高めていくことが問われると考えています。
[改めてトビムシ]
本格的にワリバシの販売を開始する2012年Q. ワリバシカンパニーの2011年を振り返っていただけますか。
A. 前期のワリバシの販売は、様々な生産方法を検証、試行錯誤しながら、製造販売のカタチを整えてきた段階にありましたので、製品の安定供給の点で、それほど大きなものとはなりませんでした。
節のある間伐材、小径木でも対応できる機械設備、ライン/仕組み創りに、当初、想定していた以上に長い時間を要することとなり、年末にきてようやく、飛騨高山で準備が整い、西粟倉でも年明けまもなく準備が整う、というところまで辿りつくことができました。
実際に年内は、お客様が「一刻も早くワリバシが欲しい」と言ってくださっているのにお渡しできない、結果として営業(売上)の数字が上がらない、上げられない、という状況にありました。そのため、量をさばくことで目に留まる機会を増やすのではなく、10月のANA(ボーイング787でのワリバシ利用)との企画など、ブランドマーケティングを中心に行って参りました。世の期待をつなぎながら、膨らませながら生産体制の準備を整え、今年からの安定供給体制を礎に、販売に注力して参ります。
Q, 具体的な販売戦略を教えていただけますか。
A. 現在、大手流通とはワリバシの回収までの仕組みづくりまでを視野に入れて話をしています。また、行政機関とも話をしています。当初は大手外食産業を中心とした営業戦略を立てていましたが、今は、2.5円/膳でも(国産間伐材であることを含め)リーズナブルと考えてくださる行政/企業(B to B)や、従前来4円/膳、5円/膳、10円/膳で購買されている小売流通(B to B to C)を中心とする営業戦略に切り替えています。
今春以降、様々な場面で、多くの方々の目に留まるような展開を積極的に行うことで、国産間伐材のワリバシの存在及び存在意義のコミュニケーションを図っていきたいと考えています。