百年の森を育てる - ニュース - 2013年01月
-
2013年1月21日 19:20
ワリバシカンパニー 竹本吉輝代表インタビュー 生産設備が整い、営業活動を本格化
-
行政案件を獲得して好スタートを切れた2012年
Q. 最初に2012年の営業状況を教えていただけますか。
A. 2012年の最初のころは、ワリバシを作る機械の初号機ができましたが、問題が山積みという状況でした。今でも正直なところ、初号機を見ると抱きしめたくなります(笑)
初号機ができたことで、少しずつ営業もとれるようになりました。ワリバシカンパニーにとっては、2012年1月に防災案件(自衛隊案件)の仕事をさせていただいたのが、とても大きかったです。東日本大震災で全国の駐屯地の防災時の割箸の備蓄が使われたそうで、備蓄を補充したいという依頼をいただきました。
この案件の生産を通じてワリバシカンパニーとしてワリバシを提供できるオペレーションが整いました。この案件を通じて飛騨工場の生産ラインが確立し、西粟倉でも、2号機、3号機、4号機も稼動開始し、4ラインがきちんと動くようになりました。さらに行政案件の実績ができたことで、行政用の防災備蓄品カタログに、ワリバシを掲載していただけるようにもなりました。2012年8月にカタログは配布されており、年度末にあたる2013年の年明け以降に発注がくる見込みです。西粟倉工場では、2012年の下半期は在庫作りを行っていました。
大手給食委託会社が運営している会議施設にも、ワリバシを納品させていただけるようになりました。今後この企業が受託運営する全国数百か所の学校、社食、病院などの施設への導入をおこなっていきます。また、全国各地の生協との取引も広がりつつあります。
2012年7月には、ワリバシカンパニーの取組を応援してくださるということで、ミュージシャンの坂本龍一氏と「使われれば使われるほど日本の森の再生に貢献しうるワリバシの普及のために協力しあうことを宣言する」と書かれた「共同宣言文」に調印もいたしました。生協の会員の方に配布されるカタログには、坂本氏の写真やメッセージとともにワリバシが販売されており、会員の方の反応も上々とのことです。まだまだ十分ではありませんが、2012年は徐々に志をもたれた販売先さまとの連携が実現し始めています。また、2013年に向けてさまざまな仕込みも行い始めています。
もっともっと一般の方の目に触れる機会を創出
Q. さまざまな仕込みの具体的な中身を教えていただけますか。
A.大手広告代理店と連携して、箸袋を広告媒体として使うプロジェクトを本格化させていきます。国産間伐材ワリバシのコンセプトをもっと分かりやすく説明できるよう工夫することで、企業のCSRにも使ってもらえるようなものにしていきたいと考えています。
これは広告会社の方や企業の方とお話をさせていただいて分かったのですが、箸袋を広告として使ってもらうにあたっての課題は、箸袋は捨てられてしまういうことです。たとえば、ハンバーガー等のファーストフードに行くと、一人一つトレイをもらいますよね。食事の間、10分間なら10分間、お客様はそこを目にしますので、広告媒体としての価値があることは分かっています。ただ、10分後にクシャッと捨てられてしまうのは、広告主や、そこに登場するタレントの感情からすると許せないとなるわけです。そこは広告の価値ということではなく感情の世界なのですが、それが厳然とあるわけです。
そこで私たちとは、国産間伐材ワリバシを使うことを社会的なムーブメントにすること、箸袋に捨てられないようなメッセージやデザインを施すなどの工夫をすることで、、ワリバシのユーザーと広告主となっていただける方を探していきたいと考えています。そういうなかで、国産間伐材ワリバシを使うことは、漠然と森をよくしたいということではなく、白木のワリバシをつかうことの日本の文化や伝統、技術的な側面も訴えていきたいと思います。つまり、環境面と文化面その2つで持続可能な取り組みを行っていきましょうということでコミュニケーションをしていきたいと考えています。
2013年は、志をもってやっていらっしゃる販売会社や、ノベルティとして使っていただける企業との連携を強化していくことで、もっともっと皆様の目に触れる機会を増やしていきます。 -
インタビュー・メッセージ2013年1月21日 19:20
トビムシ&森の学校 牧大介氏インタビュー 販路の拡大に取り組んだ4年目
-
軌道に乗る株式会社西粟倉・森の学校を通じた販売
Q. まず西粟倉村共有の森ファンドの根幹である間伐に関して、うまくいっている部分やうまくいっていない部分も含めて、進捗状況を教えていただけますか。
A. うまくいっている部分と足踏み状態の部分と両方があります。
うまくいっている部分としては、山から出てきた間伐材の販売面での管理ができるようになってきました。具体的には、森林組合は出荷量の6割くらいを合板メーカーに販売し、残り4割くらいを共有の森ファンドの営業者である株式会社トビムシの子会社である株式会社西粟倉・森の学校(以下、森の学校)に販売しています。どうしても森の学校が商品化するには難しいサイズや曲がり具合というのがあるので、そうした間伐材が合板メーカーに販売されています。
原木市場の価格が全国的に大暴落していますが、原木市場を通さずに森の学校または合板メーカーに直接行きますので、原木市場の影響をうけないように流通させられるようになってきました。
Q. 足踏み状態の部分というのは、具体的にはどういうところですか。
A. 間伐の面積が思ったようには伸びていないところです。「百年の森林構想」に関与していただける村民の方が増えてきたので、面積自体は増えています。
一方で、森林組合に退職者が出てチーム編成が変わったことなどもあり、少し足踏み状態です。早期に体制を立て直して、雪が解けて間伐が再開する2013年春ごろには、目標とする300ヘクタールに近づけていきたいです。さらに、できるだけいい条件で間伐材を買って販売していくことで、森林組合で働いている方がたに安心して働いていただけるような場作りに貢献していきたいと考えています。
進む住宅メーカーとの連携も
Q. やはり現状の課題でいうと、間伐材を高く売るというところなのですね。
A. そうですね。森の学校が設立されてから3年が経過して、ようやく、安定して、かつ、いい値段で買ってくださるお客様の開拓ができつつあります。具体的には、いま岡山市内や大阪、広島、神奈川などの住宅メーカーと連携を進めています。こうした住宅メーカーの一社から森の学校へ、2012年12月末に出資していただけることも決まりました。
こうした住宅メーカーは、各地域でトップのシェアをもっていらっしゃり、それぞれ年間数十棟を建築されています。床材に加えて内装材なども、注文していただけるようになりました。森の学校は、工場設備にだいぶ投資をしていますし、人件費や水道光熱費など、毎月の固定費を回収できるようにすることは重要な経営課題でしたが、毎月、安定して一定量の発注をいただけるお客様が見つかってきたことで、ひと安心しています。Q. ここに来て、そうした住宅メーカーが増えてきた原因というのは何かあるのですか。
A. まず森の学校が3年前に設立された実績のない企業でしたので、プロの方には相手にしてもらえませんでした。ですので、個人の一般消費者向けの商品の販売を、当初は中心に行っていました。認知度が向上し、技術レベルも上がってきたなか、プロの人から見ても、質のよい材料を出す企業として見ていただけるようになってきたというところだと思います。
Q. 取引の始まった住宅メーカーというのは、元々、国産材を使っていたのですか。それとも、外材だったのですか。
A. 両方ありますね。外材を使っていたのを、全部、国産材に切り替えるにあたって、森の学校を選んでくださった方もいます。他の産地から買っていたのを、森の学校に切り替えていただいこともあります。
ファンドのことも含めて、いろんな人が応援してくれてがんばっている林業地ということで、住宅メーカーも、お客様に「こういう地域の材料を使っているんです」と説明しやすいというところがあると思います。
ストーリーだけではなく、価格も、それほど高くはなく買っていただける値段に合わせていくという努力もしています。価格面、品質面の両面で勝負できるようになってきています。林業業界は、まだまだ昔ながらの商慣習が残っていますので、通常ですと、あいだに製品市場や問屋が入って、都度、手数料が必要になります。
一方で、森の学校の場合、丸太から製品にして直接、住宅メーカーに卸します。そのため、森の学校にとって、そこそこの価格で販売したとしても、住宅メーカーにとっては、それほど高くありません。
いま地域密着型で、特定された商圏のなかで高いシェアをとっているという住宅メーカーというのは、年間数十棟くらいの規模です。そういう規模の会社に、ストーリーもあって、品質や価格の面でも、競争力をもてるようになってきた森の学校は非常にいいパートナーになれるのではないかと考えています。販路が拡大するユカハリ パタゴニアの京都店舗などでは西粟倉の間伐で店舗設営
Q. 販売先として、具体的に住宅メーカーとの連携が進んでいるというのは、とてもいいですね。ユカハリファンドでターゲットとしているオフィスなどへの営業はいかがですか。
ユカハリ・タイルについては、ホームセンターなどでも取引が始まる予定です。これまではインターネットでの販売が中心でしたが、今後はインターネットを見ない人へも販売できるようになるのは非常に大きいです。インテリアシップや雑貨ショップなどでも取り扱ってもらえるよう販売チャンネルの開拓も行っていきます。
また、最近では、パタゴニアの京都店やらでぃっしゅぼーや株式会社でもユカハリなど、西粟倉の間伐材を利用してもらえるようになってきました。パタゴニアは、新規出店や既存店の改装の際に、西粟倉の木材を入れてくださる予定です。Q. オフィスや企業での利用が広がると信頼性の向上にもつながりますね。オフィスビル等で一定割合の国産材を利用するよう促している港区での成果はいかがですか。
A. いくつか進んでいる話はありますが、残念ながら、当初想定したよりは時間がかかりそうだなという印象を持っています。一つは、港区自体がビル本体部分でどれくらい木材を使うかというところに注目していることが理由です。内装は、オフィスビルに入居するテナントが決めることが多いので、港区が内装を管理することが難しいという現状があります。そこで、コンクリートにおが粉を混ぜるなどをしているようです。
一方で、もう少し時間がかかりそうだと思っていた住宅向けの方が早いペースで成長しているので、住宅向けをしっかり対応していくことを優先しながら、オフィス向けの販売を徐々に伸ばしていきたいと考えています。4月からは新たに地域の高校卒業生を1人採用予定
Q. 最後に、森の学校の今期の売上げの見込みを教えていただけますか。
A. 1億2千万くらいになりそうです。昨年より20%ほど伸びました。
一般の個人の方を中心に販売していくことから、住宅メーカーへの販売と拡大してきたなかで、少しずつ結果が見えてきました。来年は単年度黒字にもっていきたいと考えていますし、そのためには平均2,000万/月の売上を達成していくことが必要です。
また、住宅メーカーとの連携が進むと、既存の設備では生産量が頭打ちになってしまいます。そこで、来年の4月には新人を入れて作業時間を増やしたりすることで、生産量を拡大していきたいと考えています。