2011年4月25日、セキュリテ被災地応援ファンドは始まりました。
当時、未来のことが全く想像できないような環境の中で
私たちは事業者さんに10年間の事業計画をつくってもらいました。
そして、未来を描いたその計画には
全国からおよそ3万人の方々が一口乗ってくれました。
「苦楽を共に。復興の日を一緒に見届ける」
そう掲げて募集した38社40本のファンドには
10億円を超える温かい資金が集まりました。
東日本大震災から9年が経過し10年目が始まります。
長期的な関わりを謳った
セキュリテ被災地応援ファンドでも
既に7つのファンドが満期を迎え償還しています。
しかし、この期間だけでは
まだまだ時間が足りませんでした。
なぜなら、次から次へと苦難や課題が生まれ
新しい夢や計画も生まれてくるからです。
今年、私たちは事業者さんと皆さんが、
次の10年も一緒に歩いていくためのきっかけづくりをしていきます。
また皆さんに同じ船に乗っていただけますように。
「for 復興 (425)」の願いを込めて、2011年4月25日に最初のファンドを募集開始しました。それ以降2014年8月までに38社、40本のファンドを募集しました。1口金額の半分は返済義務のない「応援金(寄付)」として、半分は事業の売上に連動して分配する「出資金(投資)」として、応援したい企業に直接届けることができる半分寄付・半分投資の仕組みを取り入れたファンドです。
長期的な支援をするため、セキュリテ被災地応援ファンドでは、事業開始から最長10年間の会計期間の設定を可能にしていましたが、2018年7月には初めて、被災地応援ファンドの1つが会計期間満了により償還しました。斉吉商店ファンドです。斉吉商店は、震災後に立てた事業計画を見事に達成し、171.2%という高い償還率を残しました。
その後、2020年2月末までに、7本のファンドが償還し、中でも津田鮮魚店ファンドは、セキュリテの歴代ファンドの中でも最高となる194.94%の償還率を記録しました。1口あたり9,747円の分配を行い、応援金(寄付)部分のほぼ全額までお返しする実績を上げました。しかし、40ファンド中、3本のファンドは事業の継続ができなくなる等の理由により期間途中で終了し、分配を全くできないファンドもありました。
セキュリテ被災地応援ファンド全体でみると、会社により状況は様々で、償還率にも大きなバラつきがあります。過半数は当初立てた事業計画の売上には達しておらず、このまま推移すれば償還時に、償還率100%を下回る水準にあります。一方で、売上が立っている場合でも、実は利益が出ておらず、経営が苦しいという声も聞きます。
切実な状況があります。問題の中には、震災によってそうなったもの、震災前からあった問題、業界に固有の問題、個社の事情によるもの等、その背景は様々です。しかし、いずれにしろ、「苦楽を共にすること」。これは、セキュリテ被災地応援ファンドを立ち上げた時から、決めていたことです。未曾有の被害を受けた被災地を見て、事業の再建や継続が簡単ではないこと、時にはうまくいかないことも、想定されていたことでした。震災から9年という月日の中で、事業者さんだけではなく、出資者の皆さんの置かれた状況もそれぞれに変わったことでしょう。あの時は出資できたけど今は難しい方、逆に、あの時はできなかったけど今ならできる方、あるいは、出資は難しいけど商品の購入ならできる方等、今の皆さんのそれぞれの立場から、無理なくできることを、あらためて一緒にやっていきませんか。東北の被災地では今も皆さんの応援が必要とされています。
事業者の皆さんの声と、出資者の皆さんの声をヒントに、今からでもできることを考えました。
私たちに期待されていることは、とてもシンプルで簡単なことでした。
やはり、直接顔と顔を合わすことで、生まれるパワーはかけがえのないものです。セキュリテでは、これまでにたくさんのイベントや被災地応援ツアーを実施してきました。
これは、震災から1年、という時に制作した動画です。投資によって生まれる、 笑顔や勇気、人と人とのつながりを伝えたいと思いました。動画の素材は、丸の内の説明会や大崎・気仙沼・陸前高田のツアーです。
これは、震災から7年、震災後に生まれた「震災を知らない子どもたち」が小学校に上がった頃のツアーを素材に制作した動画です。復興が進み、変わりゆく街並みを見ながら、どうしたら震災の記憶を風化させずに残していけるのか、そう話された事業者さんの言葉が印象に残りました。 私たちは、今年も、そして次の10年も、事業者の皆さんと出資者の皆さんの「会う」機会を、いろいろな場、いろいろな形でつくっていきます。
地域の事業者さんにとって、人とのつながりを一番感じられる瞬間が、お買い上げいただいた時なのかもしれません。しかし、今年は、新型コロナウイルスの影響で、東日本大震災の被災地でも多くの行事が縮小・中止され、事業者さんにも様々な影響が及んでいます。
今回、セキュリテストアでは、新商品もいくつかご用意しました。セキュリテストアでしか取扱いのない商品もございます。定番商品と併せて、ぜひこの機会に、お求めください。分配金をお持ちの方は、セキュリテならではの「出資」→「分配」→「購入」のサイクルで、ぜひ継続的な応援をお楽しみください。
「分配金の受け取りを辞退したい」、近年、そういう声を出資者の方から多く聞くようになっていました。一方で、「分配金の支払いが不安だ」という事業者さんの声もありました。そこで、セキュリテでは昨年の冬、試験的にいくつかのファンドで「出資金(出資持分)の寄付(分配金等の受け取り放棄)」の受付を行いました。その結果、少なくない方にご賛同いただき、そこには、たくさんの温かいメッセージが添えられていました。
事業者さんからは「出資者にそんなことまでお願いするのは申し訳ない」という声もいただきました。しかし、この取り組みが、出資者の意思にも添うこと、事業者の資金繰りの助けになることを踏まえ、今年はセキュリテ被災地応援ファンド全体として、取り組むことにしました。準備が整いましたら、運用中のファンドの出資者の皆さんに当社からご連絡いたしますので、ご希望される方は、ご協力をお願いいたします。
事業を継続する上で、常に直面するのが「お金」の問題です。震災後に借りた融資の返済も始まっており、運転資金から投資資金まで、これまで以上に資金ニーズは切実です。また、出資者の方からは、ファンド償還の際に「つながりが切れてしまうようで寂しい。また出資したい」という声を頂きます。そこで、私たちは次の10年に向け、事業者の皆さんの新たなニーズに応え、共に歩いていくための、新しいファンドをこれからどんどん作ってまいります。
災害は日本全国どこにでも起こります。その度に一時的に思いを寄せることはあっても、すぐに忘れてしまいがちです。しかし、「長期的につながる仕組み」でもあるセキュリテの被災地応援ファンドなら、その時に支援をするだけでなく、その後も関係が続きます。そして分配を受ければ、それを原資にまた別の被災地支援のファンドに出資することも可能です。セキュリテの「出資」→「分配」→「出資」のサイクルで、持続可能な被災地支援に取り組める「応援投資」のスタイルをぜひこの機会に始めてみてください。