最高償還率を更新|被災地応援ファンドの石巻津田水産が195%
2018年の5月にここで、「最高償還率を更新(177%)。投資家への分配は『喜びでしかない』」という記事を書いたことがありました。
実は昨年の夏、その記録が、セキュリテ被災地応援ファンドを利用した株式会社石巻津田水産(旧津田鮮魚店)の「津田鮮魚店ファンド」によって更新されています。
東日本大震災の被災企業を支援するため「半分寄付・半分投資」を特長とし、1口1万円のうち、半分の5,000円については返済義務のない義援金としてお渡しするセキュリテ被災地応援ファンドにあって、このファンドは償還率194.94%、つまり1口あたり9,747円の分配を行い、義援金部分のほぼ全額までお返しする実績を上げたのです。
このファンドを募集した2011年時点では想像もしなかった、本当に信じられないような出来事です。このような数字が出た背景には、震災直後の先行き不透明な時期に立てた事業計画から、実際には事業内容や売上実績が大きく乖離したことや、売上連動という当社のファンドの性質等がありますが、理由は何にしろ、それだけの分配をしっかり実行できたという事実が、賞賛に値すると心の底から私は思います。実際にお支払いするのは、本当に大変だったと思います。
それなのに、なぜ去年の夏に償還したファンドを今頃になって、と思われる方もいるかもしれません。普段から当社では、ことさらに償還率をPRするということをほとんどやりません。当然、募集時にも高利回りを期待させるような勧誘はしません。実際にそういう商品設計になっていないということもありますが、そもそも資産運用目的や利益追求型の投資家を求めていないから、というのが大きいと思います。いい結果ばかりを宣伝することは、誤った信号を送ることであり、それを期待する投資家が集まってきても、そういう方たちでは、セキュリテを活用する事業者さんが求める「事業の応援団」を形成できないからです。
しかしです。津田鮮魚店ファンドの償還感謝祭とも言えるイベント「ツダセンナイト」(開催報告はこちらからご覧いただけます)を今週終え、あらためて津田さんのお話をじっくり聞き、参加者が心からお祝いしている様子を見たら、私はこのことをたくさんの方に知って頂きたい、多くの人に伝えたくて伝えたくて、たまらなくなりました(笑)。そういうわけで、今日は「セキュリテ史上、最高償還率」をテーマにこの記事を書くことにしました。
(左から魚谷屋の魚谷さん、私、出資者の佐治さん、津田さん)
【津田鮮魚店ファンドの概要】
営業者:株式会社石巻津田水産
募集総額:15,000,000円
参加人数:550人
1口金額:10,500円(出資金 5,000円、取扱手数料 500円、応援金(寄付) 5,000円)
資金使途:店舗設備(冷蔵・冷凍設備、什器等)や内装工事、車両費等
募集期間:2011年5月25日~2011年9月30日
会計期間:2012年3月1日~2019年5月31日(営業開始日から7年3ヶ月 )
分配総額:9,747円(1口あたり)
償還率:194.94%
ファンド詳細:https://www.securite.jp/fund/detail/175
※償還率は(一口分配総額)/(一口出資金額)で算出されます。
前述のイベントでは、津田さんが、9年前のファンド募集時に立てた復興計画を振り返る時間がありました。
以下がその計画の抜粋です。
復興計画
(1) 第1段階(2011年6月~)
・石巻の浜からの直接買付けによる全国への卸販売再開。→達成!
・石巻漁港仮復旧に合わせて、石巻での仮店舗による営業再開。→達成!
(2) 第2段階(2012年~)
・加工設備も併設した津田鮮魚店の本店舗開設、および本格営業開始。→達成!
・魚の干物等を中心とした加工品を宮城ふるさとプラザ(池袋)等で販売。→達成!
・トレーサビリティシステムを導入。→着手!
(3) 第3段階(2015年~)
・仙台中心部に石巻の鮮魚を扱った海鮮居酒屋の開業を検討。→達成!
・石巻にオーシャンビューの石巻の鮮魚を使ったイタリア料理店の開業を検討。→未達!
非常に具体的な計画ですが、見事にそのほとんどを達成されていました。しかし、ただ一つ、実現できていないのが、最後の石巻のオーシャンビューのイタリア料理店とのことでした。
現在、津田さんの方では、東京、仙台、石巻のそれぞれに、飲食店をつくることを計画中です。非常に具体的なものから、まだ構想段階のものまでありますが、それを実現させる時には、ぜひまたセキュリテを活用していただきたいと思っています。
最初のファンドは償還しましたが、次のステージに向けて、また津田さんと同じ船に乗って頂ける方を募集したいと思います。
未達だった最後の計画が、今後、どういう形で実現されていくのか、本当に楽しみですね!
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最後に。前回、最高償還率のファンドをご紹介した際に書いたのと同じ内容を、改めてこちらにも書いておきたいと思います。
今回ご紹介したのは、最高償還率のファンドでしたが、セキュリテのファンドでは、それなりの割合で元本を割れることがあります。(過去の償還済みファンドの償還率は、ファンド検索ページよりご確認頂けます。検索ページはこちら)
また、割合は少ないですが、中には満期を迎えず破産するなど、ファンドが解散となり分配金が全く支払われないケースもあります。(解散したファンドについては、投資家の方は、マイページからご確認いただけますが、検索ページでは検索いただけません)
セキュリテが新しいチャレンジを後押しするプラットフォームである以上、失敗はつきものであり、すべてのファンドでプラス償還を実現することは困難です。しかし、仮に失敗した時でも、出資者の方にその結果について納得頂けるようなファンドづくりや運営、情報開示に努めてまいります。
そういうサービスでありながら、これまでに多くの方のご賛同を頂き、また、継続的にファンドにご参加下さる出資者の皆さまの存在があるのは、ただただ有難く、同時に、日々責任の重大さを感じています。
いつも本当にどうも有難うございます。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
(ミュージックセキュリティーズ・杉山)
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