ゆっくり、いそげ?~セキュリテ自由帳~ 2019年10月

ゆっくり、いそげ?~セキュリテ自由帳~

sugi2019年10月22日 06:20

「インパクト投資」を考える (2)

私の書いた「インパクト投資を考える」というブログ記事を受け、投資家の通称 m@(エムアット)さんが「インパクト投資が生み出すのは金銭的価値と社会的価値だけじゃない」という記事で応えてくれました。それを読んで以降、それとなくずっと考えていたのですが、最近の動向も踏まえ、ここで一度、「インパクト投資を考える」の続編をまとめたいと思います。
 

インパクト投資が投資家にもたらす価値


詳細は記事を読んで頂きたいのですがm@さんは、インパクト投資は、金銭的価値、社会的価値に加えて、投資家個人の人生にも価値をもたらすものだということ、インパクト投資は、自分を成長させてくれる存在にもなりえるものだと書かれています。

m@さんのこの仮説というか実感について、複数の投資家の方から同じようなことを聞いたことがあります。投資先を視察するツアーや事業者さんの話を聞くイベントに参加し、その事業の背景や課題、取組みなどこれまで知らなかった事業を、さらには経営者やスタッフの方との交流から、働き方や生き方を学び、中にはm@さんのように投資先に転職する人もいます。

セキュリテが10年前に提唱していた「コミュニティリターン」は、私の理解ではそうした価値も内包したものでした。この場合のコミュニティは、投資家自身を含む、その事業に関わるコミュニティで、今でいう「関係人口」(※)の範囲が、当社が想定していたコミュニティの概念に近かったと思います。

(※)「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと。

投資家も事業者と一緒になって事業を盛り上げていく、そして事業がうまくいけば、自分にもリターンが戻ってくる。この時のリターンには、金銭的リターンとコミュニティリターンがあり、金銭的リターンは全投資家で均等ですが、コミュニティリターンは、投資家自身がコミュニティの一員として積極的に関われば関わるほど、自身への見返りが大きくなると考えられます。

m@さんや上述の他の投資家の方達は、まさにこれが当てはまる方達でした。しかし、大多数の投資家の方には、そういったリターンを受けている実感はないでしょう。すべての投資家や事業者の方に、当社として何かイベントなどの機会を提供できているわけではありませんが、これがセキュリテを支えるコアなファンの方にとって重要な部分だとすれば、リアルなイベントだけでなく、オンライン上のコミュニケーション等も含め、投資家のファンド事業への参加機会やコミュニティの創出も含め、いま一度、優先順位を上げて取り組む必要があると感じました。

一方で、性質は変わりますが、当社のファンドの多くに設定している投資家特典も、コミュニティリターンの一つであると言うことができます。投資家特典は、事業でつくった商品などを投資家にプレゼントするケースが最も多く、非売品なども含まれますが、金額換算が比較的しやすく、セキュリテでは例外を除き、1口価格の20%を上限に特典が設定されています。

ここまでをまとめると、セキュリテの投資により、投資家自身が直接得るリターンは以下のようになります。

投資家が得るリターン
・金銭的リターン(分配金など)
・非金銭的リターン(投資家特典や学び・成長・精神的充足など)

非金銭的なリターンのうち一部は、いわゆるインパクト投資において考慮される社会的リターンとオーバーラップする部分があると考えられますが、特典や事業者との交流を通じた学びなどは、セキュリテ独自の価値と言えます。
 

インパクト投資に関する意識調査


ここで話題を少し変えて、社会変革推進機構と合併し、社会変革推進財団となったSIIF(元・社会的投資推進財団)より10月4日に公表された「社会的インパクト投資に関する一般消費者意識調査」の結果を少しご紹介します。

「インパクト投資」について多少でも知っている人 6.8%
「インパクト投資」という言葉を聞いたことがない人 81.9%


これは国内初の実態調査ということですが、この結果を皆さんはどのように思われたでしょうか。8割以上の方が聞いたこともないというのは、ほとんどの方が知らない、ということですね。「クラウドファンディング」という言葉が出てきた初期を思い出しました。今でこそ「クラウドファンディング」という言葉を知っている人が過半数を超えている、という調査結果もあったりしますが、10年前にはほとんど誰も知りませんでしたので、インパクト投資はまだそういうステージだということですね。

続いて、もうひとつ紹介したい結果がこちらです。

経済的リターンが低くても投資する 11.0%
経済的リターンが他の投資商品と同程度なら投資する 62.5%


金銭的リターンが低くても投資する層が11%というのは、私の実感値にも近いです。セキュリテの投資家にも、該当する方は多いと思いますが、当社のファンドの場合は、社会的インパクトに加えて、特典などそれ以外の非金銭的リターンも考慮した上で、金銭的リターンが低くても投資をする、というのが実態だと思います。

調査の結果を見て思うのは、経済的リターンを他の投資商品と比較して投資する62.5%の層にどうアプローチし、投資してもらえるようにするかが、今後、インパクト投資を広げていく鍵になるだろうということです。仮説としては、この層は経済的なリターンを重視しますが、これは言い換えれば、経済的に合理的な判断をするということなので、利回りだけに限らず、社会的なインパクトの部分や、それ以外の非金銭的なリターンについても、分かりやすく数値化、金額換算ができれば、インパクト投資に向く割合が増えるとも考えられます。

なお、もしかしたら誤解を生んだかもしれませんが、ここではインパクト投資の実際の利回りの話はしていません。実際のところ、インパクト投資の利回りが低いか、高いかの話は、また別の機会にしたいと思います。
 

SOCAP19への参加

最後に共有したいのが、本日10月22日から4日間にわたりサンフランシスコで開催される「SOCAP (Social Capital Markets) 」というカンファレンスについてです。私は今月は、主にアメリカ西海岸にいるのですが、ちょうどいいタイミングでしたので、初めて参加してみることにしました。インパクト投資関連のセッションを中心に、女性 ラテンアメリカ、ブロックチェーンなどをキーワードに、セッションに参加してきます。 

「インパクト投資」というのは海外で生まれた概念ですが、そこから十数年が経ち、今海外のプレーヤーがどのような取り組みを行い、課題を抱えているか、確認したいと思います。

では、行ってきます!


<参考情報>
・SOCAPについては、当社のSIBファンド(SIBは、ソーシャルインパクトボンド(Social Impact Bond)の略)のパートナーでもあるケイスリーさんが、2年前の10周年大会に参加された際のレポートを書かれていますので、ぜひご参考にしてください。
 ▶SOCAP17イベントレポート(https://www.k-three.org/blog/socap17

・SIBファンドについては、また改めてご紹介したいと思いますが、まずは以下をご覧ください。
 ▶セキュリテSIB
 ▶国内初の広域連携型「ソーシャル・インパクト・ボンド」を組成-広島県および県域6自治体と広域連携にて成果連動型の官民連携手法を導入-

・セキュリテの償還済みのファンドの償還率は、検索ページから確認できます。
 ▶検索結果の一覧はこちら

(ミュージックセキュリティーズ・杉山)

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sugi2019年10月11日 03:49

セキュリテの「信託」による分別管理

当社が出資者や事業者の皆さまからの出資金及び分配金をどのように保管しているかは、あまり知られていないと思います。
とても大切なことですし、正しく知って頂きたいので、特に目新しいことがあったわけではありませんが、今日はここに紹介しようと思います。

以下は、当社のウェブサイトからの抜粋になります。
 

信託による分別管理

出資者の皆様からお預かりした出資金は、当社の銀行口座で受け取った後、週に1回、三井住友銀行を受託者とする信託口座に送金され、そこで当社の財産とは分別して管理されます。その後、事業者様のファンド専用口座に送金されます。

事業者様からの分配金は、事業者様から信託口座に直接送金され、再び分別管理されます。信託口座内の分配金は、支払留保金として、ファンドやストアの購入に利用していただくことができます(詳細はこちら)。出金のご指示をいただいた場合には、当社の銀行口座を経由せず、信託口座から直接出資者の皆様の銀行口座に送金されます。

信託口座内の金銭は倒産隔離されており、差押え等の対象とはなりません。また、当社に万が一のことがあった場合には、支払留保金は、受益者代理人である公認会計士を通じて、受益者である出資者の皆様に支払われます。

このように、当社では信託を用いて出資者の皆様の資金を大切に管理しております。

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信託設定をしているというのがポイントですが、日頃、投資信託には投資しているという人でも、「信託」がどういう意味なのか、あまりピンとこないのではないでしょうか。

一般社団法人信託協会の説明(詳細はこちら)を借りて、少し補足しますね。(()内は私が追記しました)

「委託者(当社)は、自分が持つ財産を契約などにより受託者(三井住友銀行)に託します。これを「信託する」などといいます。
信託すると、委託者(当社)の財産の所有権は受託者(三井住友銀行)に移転し、受託者(三井住友銀行)が信託された財産の所有者となります。この点が、他の制度にはない、信託の最も大きな特徴です。」

「信託された財産は、受託者(三井住友銀行)のもとで受益者(出資者)のための財産として管理・運用することになります。
委託者(当社)および受益者(出資者)への大きな責任を負う信託銀行等の受託者(三井住友銀行)には、信託法や信託業法などの法律に基づいて様々な厳しい義務が課せられているため、信託した財産は安全に管理されます。」

実は、当然のことながら、このサービスを維持するためには、費用がかかります。信託口座の残高に応じて、手数料がかかり、それは全て当社が負担しています。(以前、当社が、出資者の皆さまが引き出さずに置いている分配金から、利息を得ているのではないかという指摘・問い合わせがありましたが、それは大きな誤解で、預金の利息よりはるかに高い手数料を当社はお支払いし、皆さまの資金を守っています)

もう何年も前になりますが、当社では、出資者の皆さまの資金を安全に管理することを第一に、いち早くこの仕組みを取り入れました。
そして、この取り組みは、非常にユニークで、この仕組みを導入しているクラウドファンディングの会社は、日本に限らず、世界的にみても、とても珍しいです(私調べ)。

ただ、安全に管理はされていたとしても、支払い留保金として、口座に置いたままでは、せっかくの資金が活きることはないので、支払い留保金をお持ちの会員の皆さんには、ぜひ次のファンドへの投資を検討していただきたいな、と思います。

募集中のファンドの一覧はこちら:

(ミュージックセキュリティーズ・杉山)

 

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【ご留意事項】
当社が取り扱うファンドには、所定の取扱手数料(別途金融機関へのお振込手数料が必要となる場合があります。)がかかるほか、出資金の元本が割れる等のリスクがあります。
取扱手数料及びリスクはファンドによって異なりますので、詳細は各ファンドの匿名組合契約説明書をご確認ください。
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