sugi
2020年11月24日 22:00
「インパクト投資に関する意識調査」からの雑感
昨年、日本で初めてインパクト投資の認知度を広く調べた調査ということで、本ブログでも少しご紹介した、社会変革推進財団(SIIF)による「インパクト投資に関する消費者意識調査」が今年も行われ、その結果が、公開されています。
▶昨年の結果を紹介した本ブログの記事はこちら:「インパクト投資」を考える (2)
▶今年のSIIFの調査結果はこちら:「インパクト投資に関する消費者意識調査 2020年度」
今年もこちらで少しご紹介したいと思います。
まずは認知度から。
「インパクト投資」について多少でも知っている人 6.1%
「インパクト投資」という言葉を聞いたことがない人 82.8%
(出所:SIIFの調査結果PDFの15P)
昨年から全く増えていません。数字だけみると、昨年の6.8%から減っていますが、統計的な誤差の範囲ということで、認知度については「横這い」というのがSIIFの見解です。
この1年で、「SDGs」と言ったインパクト投資と切り離せないような言葉が大分普及してきたような印象があったので、個人的には少し意外でもあり、残念な結果でもありました。
また、投資経験と今後の投資意向について尋ねた設問では、
投資経験がない 54.8%
今後も投資に関心がない 45.6%
(出所:SIIFの調査結果PDFの11P)
となっています。そもそもの投資経験や投資への関心自体が、相変わらずの低さです。
この調査を担当された方も書いていますが、「老後、年金だけでは2,000万円足りない」とあれだけ大きく騒がれても、なかなか関心は投資に向かないようです。(多くの方は、節約や貯蓄、就労の継続などを軸に考えているのでしょうか。投資もしたらいいのに…。)
私にすぐに答えはないのですが、「インパクト投資を増やしたい」と考える上では、なぜこんなにも投資に関心がないのか、今後、突き詰めて考える必要があると思いました。
設問の中で、セキュリテのファンドに該当する「投資型クラウドファンディング」については、今後投資したいと考える人が、株式への投資の5.5ポイント増に次いで高いことは、絶対数が少ない中ではありますが、希望の持てる側面です。
投資型クラウドファンディングに投資したことがある 1.5%
今後(継続することも含めて)、投資型クラウドファンディングに投資したい 5.9%(+4.4pt)
(出所:SIIFの調査結果PDFの11P)
今年度の調査では、インパクト投資の認知度に加え、潜在顧客層の属性や価値観、関心投資分野についても調べられています。
レポートでは、調査の結果から、インパクト投資が重点ターゲットとすべきセグメントについて、セキュリテとは異なる立場から、次のような提案がされています。
・インパクト投資に割いてもよい金額が「50万円未満」の層は、人数は多いものの、獲得できる金額規模は小さい。
・金融機関が、インパクト投資の商品組成や顧客開拓にかけるコストと、獲得できる市場規模を勘案すると、インパクト投資への期待金額「50万円以上」の層(=世帯年収630万円以上、または、世帯金融資産1,400万円以上の層)が、顧客開拓の重点ターゲットセグメントになるのではないか。
(出所:SIIFの調査結果PDFの23P、29P)
上記について、皆さん、どう思われますか。
既存の金融機関の目線で考えれば、いや、一般的な経済合理性で考えても、コストの観点から、大口のお客様を狙っていくというのは、よく分かる話です。その方が、ビジネスとして成り立たせることが簡単だからです。
しかし、セキュリテの通常のファンドでは、あえてそこを狙ってはいません。
小口でいいので、たくさんの方に、参加していただきたいと思っています。
事業者さんに同じ1,000万円をお届けするとしても、1人の方からの1,000万円よりも、1万円ずつ1,000人の方からの1,000万円の方が、その後の事業推進への力が圧倒的に大きいと信じているからです。
私にとってのセキュリテは、小学生の時に読んだ「スイミー」の小魚たちのような、ドラゴンボールの「元気玉」のような、ラグビーで言う「One for all, All for one」のような。まさにそういうようなサービスです。
ただ、話を戻すと、それを実現するのは、本当に簡単ではありません。
当社は間もなく創業20年を迎えますが、20年経っても、周囲に同じようなことをやっている会社はほぼありません。
いわゆるクラウドファンディングの会社は複数ありますが、金商法に則った投資のファンドで、個人からの小口出資で、投資対象が地場の中小企業で、等々となると、どうでしょう。
これまでも、真似されることはよくありましたが、簡単に成功できる、簡単に儲かるビジネスではないからこそ、当社は当社の立ち位置で事業を続けてこれたのかな、と思います。
長くなりましたが、今回の調査の結果を見て、改めて、当社は当社のやり方で、会員の皆さまの思いが込められた温かい資金を1口1口積み上げて、社会課題の解決のために奮闘する事業者の皆さまへ届け、インパクト投資の市場を広げていきたいなぁ、と思いました。
最後に、せっかくですので、現在募集中のファンドの中から、一つ、インパクト投資におすすめのファンドをご紹介します。
■ミャンマー農村ラストマイル配達ファンド■
本ファンドは、ミャンマーの農村部で、新たな金融と流通を創る社会起業家の挑戦を応援するものです。
▶ファンド詳細ページはこちら:
このファンドについては、また後日、詳しく紹介したいと思います。
ご関心のある方は、ぜひ、ファンド詳細ページをご覧になってみてください。
(ミュージックセキュリティーズ・杉山)
▶昨年の結果を紹介した本ブログの記事はこちら:「インパクト投資」を考える (2)
▶今年のSIIFの調査結果はこちら:「インパクト投資に関する消費者意識調査 2020年度」
今年もこちらで少しご紹介したいと思います。
まずは認知度から。
「インパクト投資」について多少でも知っている人 6.1%
「インパクト投資」という言葉を聞いたことがない人 82.8%
(出所:SIIFの調査結果PDFの15P)
昨年から全く増えていません。数字だけみると、昨年の6.8%から減っていますが、統計的な誤差の範囲ということで、認知度については「横這い」というのがSIIFの見解です。
この1年で、「SDGs」と言ったインパクト投資と切り離せないような言葉が大分普及してきたような印象があったので、個人的には少し意外でもあり、残念な結果でもありました。
また、投資経験と今後の投資意向について尋ねた設問では、
投資経験がない 54.8%
今後も投資に関心がない 45.6%
(出所:SIIFの調査結果PDFの11P)
となっています。そもそもの投資経験や投資への関心自体が、相変わらずの低さです。
この調査を担当された方も書いていますが、「老後、年金だけでは2,000万円足りない」とあれだけ大きく騒がれても、なかなか関心は投資に向かないようです。(多くの方は、節約や貯蓄、就労の継続などを軸に考えているのでしょうか。投資もしたらいいのに…。)
私にすぐに答えはないのですが、「インパクト投資を増やしたい」と考える上では、なぜこんなにも投資に関心がないのか、今後、突き詰めて考える必要があると思いました。
設問の中で、セキュリテのファンドに該当する「投資型クラウドファンディング」については、今後投資したいと考える人が、株式への投資の5.5ポイント増に次いで高いことは、絶対数が少ない中ではありますが、希望の持てる側面です。
投資型クラウドファンディングに投資したことがある 1.5%
今後(継続することも含めて)、投資型クラウドファンディングに投資したい 5.9%(+4.4pt)
(出所:SIIFの調査結果PDFの11P)
今年度の調査では、インパクト投資の認知度に加え、潜在顧客層の属性や価値観、関心投資分野についても調べられています。
レポートでは、調査の結果から、インパクト投資が重点ターゲットとすべきセグメントについて、セキュリテとは異なる立場から、次のような提案がされています。
・インパクト投資に割いてもよい金額が「50万円未満」の層は、人数は多いものの、獲得できる金額規模は小さい。
・金融機関が、インパクト投資の商品組成や顧客開拓にかけるコストと、獲得できる市場規模を勘案すると、インパクト投資への期待金額「50万円以上」の層(=世帯年収630万円以上、または、世帯金融資産1,400万円以上の層)が、顧客開拓の重点ターゲットセグメントになるのではないか。
(出所:SIIFの調査結果PDFの23P、29P)
上記について、皆さん、どう思われますか。
既存の金融機関の目線で考えれば、いや、一般的な経済合理性で考えても、コストの観点から、大口のお客様を狙っていくというのは、よく分かる話です。その方が、ビジネスとして成り立たせることが簡単だからです。
しかし、セキュリテの通常のファンドでは、あえてそこを狙ってはいません。
小口でいいので、たくさんの方に、参加していただきたいと思っています。
事業者さんに同じ1,000万円をお届けするとしても、1人の方からの1,000万円よりも、1万円ずつ1,000人の方からの1,000万円の方が、その後の事業推進への力が圧倒的に大きいと信じているからです。
私にとってのセキュリテは、小学生の時に読んだ「スイミー」の小魚たちのような、ドラゴンボールの「元気玉」のような、ラグビーで言う「One for all, All for one」のような。まさにそういうようなサービスです。
ただ、話を戻すと、それを実現するのは、本当に簡単ではありません。
当社は間もなく創業20年を迎えますが、20年経っても、周囲に同じようなことをやっている会社はほぼありません。
いわゆるクラウドファンディングの会社は複数ありますが、金商法に則った投資のファンドで、個人からの小口出資で、投資対象が地場の中小企業で、等々となると、どうでしょう。
これまでも、真似されることはよくありましたが、簡単に成功できる、簡単に儲かるビジネスではないからこそ、当社は当社の立ち位置で事業を続けてこれたのかな、と思います。
長くなりましたが、今回の調査の結果を見て、改めて、当社は当社のやり方で、会員の皆さまの思いが込められた温かい資金を1口1口積み上げて、社会課題の解決のために奮闘する事業者の皆さまへ届け、インパクト投資の市場を広げていきたいなぁ、と思いました。
最後に、せっかくですので、現在募集中のファンドの中から、一つ、インパクト投資におすすめのファンドをご紹介します。
■ミャンマー農村ラストマイル配達ファンド■
本ファンドは、ミャンマーの農村部で、新たな金融と流通を創る社会起業家の挑戦を応援するものです。
▶ファンド詳細ページはこちら:
このファンドについては、また後日、詳しく紹介したいと思います。
ご関心のある方は、ぜひ、ファンド詳細ページをご覧になってみてください。
(ミュージックセキュリティーズ・杉山)
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