相馬双葉漁協さんに、「復興義援金」をお渡ししてまいりました。
福島県相馬市、相馬双葉漁業協同組合。
「旬を楽しむ会」でご一緒させていただいている、株式会社ZEN風土の増田社長とともに、義援金748,153円をお届けしてまいりました。(セキュリテラジオでの、増田社長のインタビュー動画は こちら )
「ここは、全国的にも例がないほど沿岸漁業が盛んな地域です。ここのカレイは本当においしい。三陸はカツオやマグロなど遠洋漁業が中心ですが、ここは黒潮と親潮とが季節的に交差する好漁場で、カレイ類のほか、ヒラメ、スズキ、ドンコ、アイナメ、メバル、イカ、アナゴ、タコなど、とても多くの種類の魚が獲れ、海の豊かさを伝えてくれる貴重な漁港です。」
福島県北部、松川浦に面した浜に、いけすやセリ場、製氷工場などとともに、かつて事務所はありました。その日、波は、骨組みだけを残し、港にあるすべてのものを流していきました。
地震のあと湾の水が引き、津波の到来が警告されると、漁師のみなさんは船に乗り、沖へと向かったそうです。迫りくる津波に抗い、船を生かすためです。結果、家を失い、家族を失い、むらを失ったけれど、船が残った。
「われわれの基盤は海。われわれの生活のすべてが海にあるから。」
南部組合長。
結果、ほとんどの漁港が大半の船を失う中、この相馬双葉漁協は160隻を超える船を残しました。奇跡的なことです。ただこれらの船も、まだ陸につながれたままです。原発の問題もありますが、水揚げした魚を受け取る市場、拠点の機能が、完全に失われてしまっているからです。
行方不明者の捜索もまだ続いています。
「3月11日で自分のひとつの時計が止まりました。でも、あんなことがあった後でも、潮は何事もなかったかのようにまわっているし、海は前にもまして美しい。その大きさに比べて、自分のやっていることはとても小さい。」
「これまで、どこか傲慢になってしまっていた部分があったかもしれない。今回、なんでこんなことが起こったのか、その答えを一生かけて、探していきたい。」
震災後、漁協内7つの支所に声をかけ、すぐに仮事務所立ち上げの陣頭指揮を執った寺島総合対策室長が、前を向いた大きな声で話してくださいました。
南部組合長。
「70万円を超えるような大きな義援金をいただけたのは初めてです。本当にありがたい。いま漁業者は、一切の収入が途絶え、この先どうなるのかの見通しすらつかない状況。本当に助かります。それにこうして応援してくださる方々がいるということ、何よりの励みになります。」
いつか、この相馬双葉漁協さんの次への一歩、被災地応援ファンドでご一緒できたらと思わずにはいられませんでした。
「今回のことがひと段落ついたら、逆転の発想で、日本の漁業の新しい姿、考えていきたいと思っています。現場にずうっとある閉塞感を打破できる機会になったら。ファンドの仕組みもおもしろいですね。出世払いということだよね。それならよく分かります。」
一番船が出て、魚を積んで戻ってきたら、また泣いてしまうかもしれない。寺島さんチームの渡邊さんの言葉。
いろいろな思いを抱えながらも、海のおとっつぁん、おかあちゃん、前を向いて進もうとしています。
「大丈夫。必ず立ち上がりますから。」
寺島室長、最後にそう言って、自分の手を強く強く握りしめてくださいました。
(影山知明)
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