被災地応援ファンド 2016年2月21日 10:53

マルトヨ食品 (宮城県気仙沼市/水産加工)の場合

東日本大震災から間もなく5年。
被災地の37社の事業者に現状と課題、必要としていることは何かを聞きました。
今私たちに求められているもの、できることは何でしょうか。
(アンケート実施期間:2015年12月~2016年2月)

◆この5年間を振り返り、ファンド募集時に作成した事業計画に比べ、事業の進捗はいかがですか。

ほぼ計画通り


◆この1年間を振り返り、昨年に比べ、事業の業況はいかがですか。

今年の方がよい


◆上記について、具体的な内容やその要因などを教えてください。

売上の面ではほぼ計画通りですが、利益の面では原料の不安定さも有って厳しい状況です。新しい事業のも例えばネット通販にも取り組みたいのですが、人材の確保がままなりません。


◆現在、直面している課題を教えてください。

土地の確保、人材の確保

現在、営業している場所は都市計画の区画整理事業にかかり、移転せざる負えない状態で、昨年度、移転に伴う補助金申請が認められ、計画が進んでいる状態ですが、用地確保が行政で確保できる場所が二転三転し契約調印まで至っておりません。今後の見通しとして行政と調整中です。

人材確保の面においては、なかなかハローワークを通して募集をしておりますが、人件費の高騰や人口流失の面で確保困難な状態です。


◆今後、出資者や個人の方、もしくは弊社がお役に立てそうなことや期待されることがあれば教えてください。

もう少し、出資者様と交流がもてたらと思います。なかなか私本人も時間の制約があり、昨年度は『顔』が見えなくなってしまったことを悔やんでいます。
今年はもう少し『顔』が見えることもしたいです。


◆今後、事業を進める上で、国や行政、金融機関等から期待する施策や取り組み、関わり方等、あれば教えて下さい。

工場の新設や移転等がここ数年続くと思いますが、低融資の資金調達、または金利補助等が有れば、工場の生産効率が安定するまでの処置としてあればいいです。また金融機関等のネットワークを生かし、今までとは違う販売チャンネルを築ければと思います。


◆震災から間もなく5年を迎えるにあたり、あらためて出資者や応援して下さる全国の皆さまへのメッセージをお願いします。

昨年度の東京で行われた販売会での一コマでした。

『無くしたんです、全部。』その言葉の答えの続きを引き出す言葉が見つかりませんでした。

今回、東京の販売会で私のブースに訪れ、購入していただいた時に『気仙沼ですか?』とポツリ発したことばの続きは『わたし、陸前高田なんです』と言葉少なく商品裏表示を確かめて差し出した商品を、私はレジ袋に入れ、釣銭を差し出した。想いもよらない単語と彼女の表情とが震災風景を呼び戻すには十分すぎる条件には間違いなく、呼び戻された残像によって思考が一瞬止まった。

『ご実家は??』なんて、あの街の状況を知ってる自分には聞けなかったし、聞く必要もなかった、ただ『・・・そうですか。』と受け答えることが精いっぱいの行動でした。

震災前から東京に住んでいるか?震災後にこちらに移り住んだか?そんなことは判らないが、ほんの時間にしたら1分ほどの出来事でしたが、『無くしたんです、全部』。

言葉の重みと、あの状況の映像が重くのしかかってきたのは言うまでもなく私にだけではなく、彼女自身にでも映像が浮かんだことが推測できる。

『無くしたんです、全部』

釣銭を渡し、振り返った後ろ姿に『ありがとうございました』 と小さく声をかけるのがやっとだった。

五年が過ぎようとしても、時間で癒されたものがなんであるのかはわかりませんが、たださまざまなご声援にただただ感謝いたします。今後も見守って頂ければ幸いです。"


→他の事業者のアンケートを見るにはこちら)

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