Kaien就労支援ファンド 第3回 発達障害者の力を生かしてお金を稼ぐ
発達障害の人の特性が、経済的に価値があるんです
聞き手
Kaienを立ち上げられて3年が経つわけですが、
もともと、就労支援をしようと考えて、立ち上げたのですか。
Kaienは発達障害者支援ということを目指したわけではないです。
発達障害というタイプの人たちの能力が十分に活かされることが少ないから、
「こういう働き方ができるんだよ」というのを世の中に示していきたかっただけです。
立ち上げの頃は自分のところで雇って、発達障害の特徴を活かした働き方みたいなものを
世の中に示す。世の中に示すというのはどういうことかというと、利益を上げる、
つまり、コミュニケーションがすごく上手な人ばかりを集めた会社に勝つことで、
発達障害の人の特性が、経済的に価値があるんですよというのを示すために
作った会社なんです。
聞き手
株式会社として立ち上げたわけですが、NPOとか社会福祉法人といった法人形態は
考えなかったのですか。
株式会社にしたのは3つ理由があります。
一番大きいのは、発達障害者が社会的に意味があるんだよというのを示すためには、
経済組織の方がいいと考えた点です。2つ目は、銀行からの借入れや補助金も含めて、
資金調達がしやすいということです。最後は、意思決定が株主のみでできることですね。
多くの方と接するなかで、資本主義の流れがこの世の中では圧倒的に強く、
その流れには抗しきれない、それならばその流れを理解し可能な限り利用するしかない、
そしてそれが腑に落ちた人は発達障害の傾向が強くても
社会に居場所が見つけやすいという、当たり前のことに気づきました。
発達障害者が生きやすい環境、たとえば、物事の判断がゆっくりでよく、
マイペースが許され、変化が少なくみんなに裏表がなく、
勧善懲悪がはっきりくっきりしていて……というような組織を
この世の中につくるのはとてもできません。
苦しんでいる発達障害の人を前にすると、どうしてもその人の主張を
すべて受け入れたくなるのが人情です。生きやすい場所をつくってあげようと
必死になってしまいます。しかしそれは濁流に抗うような行為で、
結局は仕事に導く可能性が低くなってしまいます。
発達障害の力を生かしてお金を稼ぐ。これ以上に効果的に発達障害の人たちの
社会的な意義を伝える手段はないと思いました。NPOだとこのメッセージが
どうしても弱まると思ったのです。なので稼ぎたいと思ったと言うよりも、
稼ぐことでの発信力・インパクトを考えて株式会社の形態を選びました。
この3人は絶対に就職させよう
聞き手
経営は順調でしたか。
いえいえ、設立当初は、グチャグチャです。当初はIT企業として、
発達障害者を雇って成果を出していくことを考えていました。
しかし、半年くらい経った頃に、現在の人材サービスに変えました。
社員も一回がらっと変わっています。
人材サービスにビジネスモデルを変えた後も苦労しました。
職業訓練を行政から受託しようと相談に行った時に、
最初に担当者から言われたのは、「発達障害というのは一番難しい障害です。
一人につき一人、支援者がついていないといけないと言われています。
きっと失敗するでしょう。最初は半年で3人の訓練しか認めません。」でした。
そういう四面楚歌のような状態でした。
だからこそ、「この3人は絶対に就職させよう」と思って始めたわけです。
徐々に協力してくださる方も周りに増え、お陰様で3人とも就職までつなげることが
できました。行政の担当者の印象も変わりました。
次の半年は3倍に受入を増えす事ができ、当社の形ができ始めました。
ようやく回り始めたなと思ったのが、1年半くらい経ったときです。
それくらいまでは、大変でした。
ビジネスモデルを変えてよかったのは、社会的に与えるインパクトが
より大きくなったことです。自社雇用ですと、たとえば、グーグルぐらい
大きくならないと意味がないくらいの人数ですし、職種も限られてしまいます。
人材サービスの場合だと、多種多様な企業に雇ってもらえますし、
職種が広がりやすい。発達障害は多様ですので、ひとつの職、
ひとつの会社でこだわって雇用の場を作るよりも、
いろんなビジネスに活躍する場を作っていくほうが
当事者のニーズにもフィットしやすいと思っています。
第4回 Small but Big
https://www.securite.jp/news/securite?a=243
Kaien就労支援ファンドの詳細およびお申込はこちら
https://www.securite.jp/fund/detail/308
株式会社KaienのHPはこちら
http://www.kaien-lab.com/
- ニュースカテゴリ
- アーカイブス
-