被災地応援ファンド 募集中事業者インタビュー第1回 矢部園茶舗編
みなさん、こんにちは。
ミュージックセキュリティーズの猪尾です。
震災から3年と3か月。
今回は、東北にお伺いし、現在も「セキュリテ被災地応援ファンド」を
募集中の事業者の方々に、いまの状況をインタビューしてきました。
全力で駆け抜けていらっしゃる被災地の事業社の皆様、
お伺いする度に、新たな挑戦、取組をされており、
毎回、本当に逆に学びやエネルギーをこちらがもらってしまいます。
そのみなさんのエネルギー、熱量を少しでもみなさんにお伝えしたく、
インタビューの一端をお送りします。
第1回目は、宮城県塩釜にある「矢部園茶舗」代表の矢部さんです。
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猪尾 |
矢部さん(矢部園茶舗代表)、今日はよろしくお願いします。 |
矢部さん |
よろしくお願いします。 |
猪尾 |
久しぶりに塩釜にお伺いしました。 今日は、矢部園さんの事業の状況と、塩釜のこと、両方を伺いしたいと思っています。 まずは矢部園さんの事業の状況を教えてください。 |
矢部さん |
はい。震災からは3年3か月程度たちますが、ファンド募集時に立てた 事業計画通りには推移できてはいません。昨年とは同程度で推移はしています。 |
猪尾 |
いまの取り組んでいる課題は何でしょうか。 |
矢部さん |
当社は卸し販売と直接販売がありますが、地元向けの卸し売上が 伸びないため、いま注力しているのは、個人向けの直接販売です。 東京などのイベントにお伺いして当社のお茶を提供させて頂く機会なども 増えてきておりまして、そこで知って頂き、気に入って頂いた方が購入 して頂ける様にWEBサイトでの販売を強化していきたいと思っています。 |
猪尾 |
被災地応援ファンドで募集した資金の使途にも通販サイトの制作費が入っていましたよね。 |
矢部さん |
はい。いま、セキュリテ被災地応援ファンドでは応援金(寄付金)を含めて、2050万円募集しています。そのうち、83.6%までお申込頂き、あと336万円(6月24日現在) 集めさせて頂いた資金は、伊達茶の製造費は使用させて頂いております。 これから集めさせて頂く資金は、まさに、一番注力しているホームページおよび |
猪尾 |
WEBサイトは既にありますよね。こちらをどのよう変更するのですか。 |
矢部さん |
決済方法や購入しやすくなるように全面的にリニューアルをする予定です。 商品の特徴や生産者の方のご紹介など、 |
猪尾 |
いま、力を入れている商品は何ですか? |
矢部さん |
資金使途にも入っている「伊達茶」ですね。 香料なども使っているお茶も多いですが、伊達茶には純粋にお茶と水だけのお茶です。 年間5,000キロ取れるお茶畑が石巻市にあります。全国の北限のお茶です。 唯一のお茶農家佐々木さんは、子供が3人いて、 その思いから当社で始めました。 最初は試行錯誤の繰り返してで作っては捨てなどをしていました。 3年前に伊達茶という名前に変えました。 これは生産者表示がされている全国でも唯一のお茶です。 通常は大量に生産するため、複数のお茶農家のお茶葉で作りますが、 |
猪尾 |
今後は通販を伸ばしていきたいということですが、卸販売先としては どのようなところがあるのでしょうか。 |
矢部さん |
飲食店や旅館などに卸させて頂いています。 ちょっと自慢なのですが、石川県にある有名な旅館「加賀屋」の |
猪尾 |
ありがとうございます。それでは塩釜のことについてもお伺いさせてください。 せっかく震災後、復旧・修復して建てた現在の店舗を壊すということを伺いしました。 |
矢部さん |
塩釜のこの海岸通り地区には57人の地権者がいます。 この地権者が力を合わせて、新たに街を作り直す プロジェクトをやっています。
多くの被災地の街づくりは行政主導でやり、行政が作った プランを地権者に承認を求めるやり方が多いです。
でもその街づくりがしばらくたって失敗したとしても、 住民は行政のせいにしても、それからでは行政は責任を とってくれるわけではありません。
僕たちはそれはやりたくない。自分たちの未来は自分たちでつくる。
だから地権者主導で街づくりをすることを選びました。 2012年6月に準備組合を設立して66回の理事会、35回の 商業部会をやってきました。
毎週水曜日、みんなで集まって、喧々諤々の議論を してきました。胸ぐらをつかみあうような険悪な雰囲気も たくさんありました。
でも議論を重ねて重ねて、いまやっとこの模型のような 街づくりで行おうというところまで合意するところまできました。 |
猪尾 |
この街のプランはどういうコンセプトで考えたのでしょうか。 |
矢部さん |
塩釜には、奈良時代から東北を守ってきた塩釜神社という 素晴らしい神社があります。 僕たちは、この神社から駅までつながる物語をつくり、 神社の門前町という街を作り上げることにしました。 子供たちにこの街の歴史と文化を伝えていってもらえるようにしたいと思っています。
そして、一番重要なのはお金を作り出す街です。 この真ん中にあるのが、広場を囲んで2階建ての店舗が並ぶ 商店街を作り、滞在型、コミュニティが生まれるような街にしたい と考えています。 |
猪尾 |
この街を作り上げるためには、今ある店舗を壊さないといけないということでしょうか。 |
矢部さん |
そんなんです。 自分の店舗もそうですが、被災して、その後数千万かけて 修復した店舗がたくさんあります。 塩釜には全国からお客さんを呼んでいる、年間3億円を売り上げるような寿司屋さんもあります。ここも壊すことになりました。
理事会でもたくさん議論しました。
街づくりは絶対に片手間ではうまくいかない。 ツギハギでは絶対にダメなんです。 いまのこの街は、僕たちだけの街ではない。 100年後、200年後の子供たちから預かっている街だと話しました。 そのためにも、いま、自分たちの利害だけで考えてはダメだと。 次の世代の人たちが使いやすい街を目指そうと話しました。 そしてみんなの意見がやっとまとまりました。 |
猪尾 |
おそらく、全国の商店街で街を魅力的に作り直そうと思っても、 こうしたそれぞれの利害が対立して、やりたくてもやれないといところが たくさんあると思います。 それを乗り越えて、前に進もうというこのエネルギーは本当にすごいです。 |
矢部さん |
被災地は、頑張っていますとか、もういらないんです。 絶対に形にしないといけないんです。 覚悟なんです。 ですから、被災地応援ファンドに出資していたみなさまには この街にぜひ大切な人たちと一緒に遊びに来てほしいと思います。 |
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矢部さんの街づくりへの情熱、本当に印象的でした。
塩釜という街が魅力的な街にならないと、自分たちの商売もうまくいかない。
そのために57人の地権者最年少ながら、すごいエネルギーで
街づくりを引っ張っていらっしゃいました。
セキュリテ被災地応援ファンドにご出資いただき、
矢部さんとお付き合い頂く10年間は、日本全国にとっても、
地権者主導の街づくりとして、
最先端の新たな取り組みであり、挑戦の連続ですが、
本当に貴重な時間であると痛感しました。
「矢部園伊達茶ファンド」あと、17%、300万円ちょっとまできました。
ぜひ、みなさん、ご一緒してください。
http://www.musicsecurities.com/communityfund/details.php?st=a&fid=372
被災地応援ファンド 募集中事業者インタビュー第2回 鵜の助編はこちらです。
https://www.securite.jp/news/oen?a=2462
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