旧セキュリテニュース 2013年2月20日 13:30

【大田原グリーン・ツーリズムファンド】ふるさと体験を通じた地域おこし 藤井大介代表インタビュー

東京駅から新幹線で71分の那須塩原駅が最寄駅となる栃木県大田原市。

大田原市は、中央を天然鮎の漁獲高日本一を誇る那珂川が流れるほか、八溝山系の里山など自然が豊かで、日帰り温泉など観光資源も豊富な地域です。また、栃木県内随一となる米の生産に加えて、イチゴやブルーベリー、梨などの果物の生産、牛などの畜産が盛んなほか、市内には、安全でおいしい水が育んだ6つもの酒蔵が事業を展開しています。

大田原市の豊富な魅力を首都圏の小学生や中学生から、通常の旅行にはもう飽きてしまった方々にまでお届けすべく、2012年夏に株式会社大田原ツーリズムが誕生しました。設立から半年を経た現状などを、藤井大介代表取締役に聞きました。

農業体験、地域の想いや文化、歴史に触れていただくグリーン・ツーリズム


Q. 最初に、大田原ツーリズムという会社の目的や設立された経緯などを教えていただけますか。

「栃木県大田原市は、栃木県内随一の生産量を誇る稲作、牛などの畜産、さらに林業と第一次産業が盛んです。また、市内には6つの酒蔵があるなど、商品加工業者も多いという特徴があります。同時に、鮎の日本一の漁獲量がある那珂川や八溝山系の里山など自然が豊かで、日帰り温泉など観光資源も豊富です。


しかしながら、これまでの観光では、観光客と地域との関係が一方通行で、旅行者が地域に訪れて、観光名所となるスポットに訪問して帰宅して、旅行の終了が地域との別れになってしまっていました。


また、農業という面では、10年、20年後には生産者の方の高齢化が進み、衰退してしまう可能性が非常に高いのではないかと危惧しています。


一方通行ではない双方向性のある観光プログラムの開発と生産者の方の収入面の向上や生きがいをもっていただくことで担い手の拡大という2つの課題を解決するための施策として、グリーン・ツーリズムが有効であると考えています。農業体験、地域の想いや文化、歴史に触れていただくことで、人と人との交流を通じて、大田原市のファン、生産者それぞれのファンが生まれ、長期的な繋がりができることを期待しています。


2012年7月に大田原市の100%出資によって大田原ツーリズムは設立されたことにも現れているとおり、こうした考え方は、現在の津久井富雄大田原市長のマニフェストとも一致しています。今後は、民間企業による増資も検討しており、行政とは連携しつつも、依存することなく、一日も早く企業として持続的に存続できるような体制を作りたいです。」

 


農を通じて地域活性化という想いで


Q. いま、藤井さんは民間から登用されたとありました。藤井さんのプロフィールを拝見すると、防衛大で航空宇宙工学を専攻され卒業、海上自衛隊を経て、アメリカへ留学。修士号取得後、川崎重工業(株)や本田技術研究所(株)に技術者として勤務。中小企業診断士の資格を取得されると、2009年に、農業経営支援や飲食店経営などを目的に株式会社ファーム・アンド・ファーム・カンパニーを設立されて現在に至っていらっしゃいまして、とてもユニークですね。


技術者から会社設立のあいだに、大きなジャンプがあるように思うのですが、何かきっかけがおありだったのでしょうか。


「防衛大学での教育もあり、将来は日本社会に貢献をしたいと考えていましたので、自分なかでは、すべて一本でつながっています。地域に関わるようになったのは、中小企業診断士の受験合格後からです。栃木県では農業は産業としてとても重要な要素ですので、農を通じて地域活性化という想いで会社を辞めて、ファーム・アンド・ファームを設立しました。


ファーム・アンド・ファームの経営は引き続き行っていきますが、大田原ツーリズムの経営にあたって、ファーム・アンド・ファームで行っている経営コンサルタントや飲食店経営を通じて得たネットワークや経験などは、非常に強みになると考えています。」



 


一番強い商品は「農家民宿」体験


Q. 会社を設立されてから、約半年が経過しましたが、どのようなツアーが人気でしょうか。また、エピソードなどがありましたら教えていただけますか。


一番強い商品は何と言っても、農家の家で泊まって交流する「農家民宿」の体験です。どこでもできる商品ではないので、魅力的な商品となります。農家の家にとまり、農業体験し、地域の人と、地域の資源に触れ合うことができる内容です。田舎体験だとか、ふるさと体験でもいいましょうか。もちろん、酒蔵体験、伝統工芸体験などもできます。」


 

ファンドを通じて長期的な資金の確保とファン作り

Q. 最後に、現在の課題などは、どこにあると考えていらっしゃいますか。


「課題は、全国では後発組であり、現状では認知度が低いことです。また、団体をターゲットとして考えたとき、どうしても売上げが立つまでに時間がかかってしまうということです。というのも、たとえば、2013年度の旅行に関して、2012年度中、あるいは、2011年度中に行き先などを決めてしまうため、今年度中に営業をかけたとしても、早くて2014年度の案件からしか獲得できません。さらに、大田原ツーリズムとしては、地域の生産者の方に最大限、お金が渡るような仕組みをつくりたいと思っていますので、どうしても自社の利益率は低くなってしまうことがあります。


こうした課題を解決するために、今回、ファンドを組みました。できる限り早めたいとは思っていますが、事業計画上、黒字化は設立8年後を予定しています。したがいまして、弊社の役割や特徴を理解していただいた上で、長期にわたって投じていただける資金を確保することは非常に重要な経営課題の1つです。


また、知名度を高めるために、大田原市民の方に加えて、近隣の方にも、出資を通じてかかわりをもっていただき、関心をもっていただけることも、非常に重要であると考えています。ファンド期間は、2013年4月1日から7年間を予定しておりますので、そのあいだに、双方向的なコミュニケーションを取らせていただき、大田原のファンになっていただき、現地にも訪れていただけるようになったら嬉しいです。」

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 大田原グリーン・ツーリズムファンドの詳細・お申込はこちら:
https://www.securite.jp/fund/detail/348

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