寄付
2021年4月24日 19:00
「コロナ前とコロナ後では、手術数が半減してしまいました。今回の研究によって、患者さんも医師も安心して手術できる環境を取り戻したいです」と語るのは、耳鼻咽喉科・頭頸部外科が専門で、京都大学大学院医学研究科の山本典生准教授です。
京都大学医学部附属病院では新型コロナウイルス感染症流行前まで年間120件を超える難聴改善手術を行っていました。それがコロナ後は、半減しています。「手術しておいた方がいい」と言っても、多くの患者さんは、「コロナに感染したらどうしよう」と言って延期を希望されます。また、患者さん側だけでなく医師側にも、同様の悩みがあり、半減傾向は続いています。
そこで山本先生が思い立ったのが、2つの研究です。一つ目は、耳のPCR検査の実施です。唾液や鼻の粘膜でPCR検査を受けた患者さんが陰性だった場合、耳の組織も新型コロナ陰性であり、患者さんが完全に陰性であることを証明するために必要な研究です。これが証明できれば、医師は安心して手術に臨むことができます。手術中にフェイスガードやゴーグルなどを、わざわざ着用する必要もなくなるかもしれません。
この研究は、難聴を改善する手術をする場合に、患者さんに許可をもらい、手術の合間に、鼓膜の内側にアクセスすることによって組織サンプルを集めて調査します。3月31日時点で、約50サンプルでの検査が完了しています。しかし、海外では、新型コロナウイルスの死亡患者で、鼻経由で広がったとみられるコロナウイルスが耳から検出されているため、「鼻にないから耳にもない」と言い切ることはできません。山本先生は、唾液や鼻でのコロナ陰性と耳でのコロナ陰性の相関関係が証明できる200サンプルを集めることを目標にしています。
二つ目は、測定装置を使った手術室の飛沫調査です。新型コロナ感染を避けるため、現在、エアロゾルとよばれる飛沫が飛ぶ可能性のある手術は、室外に飛沫やウイルスを拡散させない陰圧室と呼ばれる手術室を使うことが多くなっています。しかし、手術室の中では、依然として、飛沫は飛ぶため、一体どの程度、手術操作により飛ぶものなのか、研究する必要があります。これがわからないことには、医師が、安全に手術を行うことができません。骨を削ることにより飛沫が飛ぶ可能性の高い難聴改善手術をはじめとした耳鼻科手術について、ご献体を用いた手術操作を模した研究で、どの程度飛沫が飛ぶのかを調査する予定です。
この研究を行うためには、今回のプロジェクトの目標金額である1,000万円を集め、飛沫状況を調べる特殊な粒子数計測装置などの購入が必要です。山本先生は、ワクチン接種について、連日ニュースで取り上げる中で、自らの研究の意義について語ります。「ワクチンで患者さんを減らしたり、感染の可能性をなくしたりすることは、もちろん、とても大事です。しかし、それだけで問題が解決するわけではありません。『耳のPCR検査を多数したが、耳からコロナウイルスは検出されない』や、『飛沫の飛ぶ範囲は限られている』というようなデータが提示できれば、患者さんは安心して手術を受けられるだろうし、医師の側も積極的に手術に取り組める効果があるのではないかと思っています」。
新型コロナウイルス感染影響の長期化で、私たちは、すっかり我慢になれてしまいました。
しかし、山本先生は、今こそ、生活の質の向上を希求する欲求を忘れてはいけないと、話します。「患者さんの生活の質、特に耳鼻科が扱っている「言葉を聞く」、「言葉をしゃべる」、「音声を出す」、また、「香りを楽しみながらおいしく食べる」というのは、人間の生活でとても大事な部分です。そういったものがコロナウイルス感染流行で犠牲にされてしまうというのは、非常に不幸なことだと思います。この研究の目的は、安心して患者さんに治療を受けてもらい、かつ、治療する側も心置きなく本来の技術を発揮できるような状況を作ることです。結果をしっかりと出して、そういった環境を実現していきたいと思います」。
セキュリテでは、山本典生先生の研究を応援することを目的に、寄付募集をしております。詳細は、以下の通りです。よろしくお願いいたします。
【基金名】「上気道における新型コロナウイルス感染拡大予防対策基金」
【目標金額】10,000,000円
【募集期間】2020年11月27日〜2021年5月31日
【基金の使途】
本プロジェクトでは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行下で医療者が安全に手術を行うために必要な感染予防策を検討することにより、SARS-CoV-2流行下でも十分医療を患者の皆様に提供し、ひいてはSARS-CoV-2流行の制圧に貢献することを目標としています。そのために、下記の2つのテーマに資金の使用を予定しています。
1.SARS-CoV-2の上気道での局在の解明
2.手術操作によるウイルスの拡散を予防する手段の開発
研究者インタビュー 京都大学医学研究科 耳鼻咽喉科
「コロナ前とコロナ後では、手術数が半減してしまいました。今回の研究によって、患者さんも医師も安心して手術できる環境を取り戻したいです」と語るのは、耳鼻咽喉科・頭頸部外科が専門で、京都大学大学院医学研究科の山本典生准教授です。
京都大学医学部附属病院では新型コロナウイルス感染症流行前まで年間120件を超える難聴改善手術を行っていました。それがコロナ後は、半減しています。「手術しておいた方がいい」と言っても、多くの患者さんは、「コロナに感染したらどうしよう」と言って延期を希望されます。また、患者さん側だけでなく医師側にも、同様の悩みがあり、半減傾向は続いています。
そこで山本先生が思い立ったのが、2つの研究です。一つ目は、耳のPCR検査の実施です。唾液や鼻の粘膜でPCR検査を受けた患者さんが陰性だった場合、耳の組織も新型コロナ陰性であり、患者さんが完全に陰性であることを証明するために必要な研究です。これが証明できれば、医師は安心して手術に臨むことができます。手術中にフェイスガードやゴーグルなどを、わざわざ着用する必要もなくなるかもしれません。
この研究は、難聴を改善する手術をする場合に、患者さんに許可をもらい、手術の合間に、鼓膜の内側にアクセスすることによって組織サンプルを集めて調査します。3月31日時点で、約50サンプルでの検査が完了しています。しかし、海外では、新型コロナウイルスの死亡患者で、鼻経由で広がったとみられるコロナウイルスが耳から検出されているため、「鼻にないから耳にもない」と言い切ることはできません。山本先生は、唾液や鼻でのコロナ陰性と耳でのコロナ陰性の相関関係が証明できる200サンプルを集めることを目標にしています。
二つ目は、測定装置を使った手術室の飛沫調査です。新型コロナ感染を避けるため、現在、エアロゾルとよばれる飛沫が飛ぶ可能性のある手術は、室外に飛沫やウイルスを拡散させない陰圧室と呼ばれる手術室を使うことが多くなっています。しかし、手術室の中では、依然として、飛沫は飛ぶため、一体どの程度、手術操作により飛ぶものなのか、研究する必要があります。これがわからないことには、医師が、安全に手術を行うことができません。骨を削ることにより飛沫が飛ぶ可能性の高い難聴改善手術をはじめとした耳鼻科手術について、ご献体を用いた手術操作を模した研究で、どの程度飛沫が飛ぶのかを調査する予定です。
この研究を行うためには、今回のプロジェクトの目標金額である1,000万円を集め、飛沫状況を調べる特殊な粒子数計測装置などの購入が必要です。山本先生は、ワクチン接種について、連日ニュースで取り上げる中で、自らの研究の意義について語ります。「ワクチンで患者さんを減らしたり、感染の可能性をなくしたりすることは、もちろん、とても大事です。しかし、それだけで問題が解決するわけではありません。『耳のPCR検査を多数したが、耳からコロナウイルスは検出されない』や、『飛沫の飛ぶ範囲は限られている』というようなデータが提示できれば、患者さんは安心して手術を受けられるだろうし、医師の側も積極的に手術に取り組める効果があるのではないかと思っています」。
新型コロナウイルス感染影響の長期化で、私たちは、すっかり我慢になれてしまいました。
しかし、山本先生は、今こそ、生活の質の向上を希求する欲求を忘れてはいけないと、話します。「患者さんの生活の質、特に耳鼻科が扱っている「言葉を聞く」、「言葉をしゃべる」、「音声を出す」、また、「香りを楽しみながらおいしく食べる」というのは、人間の生活でとても大事な部分です。そういったものがコロナウイルス感染流行で犠牲にされてしまうというのは、非常に不幸なことだと思います。この研究の目的は、安心して患者さんに治療を受けてもらい、かつ、治療する側も心置きなく本来の技術を発揮できるような状況を作ることです。結果をしっかりと出して、そういった環境を実現していきたいと思います」。
セキュリテでは、山本典生先生の研究を応援することを目的に、寄付募集をしております。詳細は、以下の通りです。よろしくお願いいたします。
【基金名】「上気道における新型コロナウイルス感染拡大予防対策基金」
【目標金額】10,000,000円
【募集期間】2020年11月27日〜2021年5月31日
【基金の使途】
本プロジェクトでは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行下で医療者が安全に手術を行うために必要な感染予防策を検討することにより、SARS-CoV-2流行下でも十分医療を患者の皆様に提供し、ひいてはSARS-CoV-2流行の制圧に貢献することを目標としています。そのために、下記の2つのテーマに資金の使用を予定しています。
1.SARS-CoV-2の上気道での局在の解明
2.手術操作によるウイルスの拡散を予防する手段の開発
【研究の詳細】こちらをごらんください。
インタビュー実施日:2021年4月7日
ミュージックセキュリティーズ株式会社
産学官連携推進室
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